プルデンシャル生命で発覚した顧客からの資金の不正詐取問題は社内体制の抜本的な立て直しに発展し、営業のドライバーとされていたフルコミッション(完全歩合制)を撤廃する方向性が示されました。

プルデンシャル生命HPより
完全歩合制という過重労働を招く報酬体系が営業スタッフが不正に走る温床になったと見ているようですが、なんだか違和感を感じます。
完全歩合制が問題だとするなら、日本全国にいるオーナー経営者はどうすれば良いのでしょうか?
自分でリスクを取って収益を上げるために死に物狂いで事業を進めているオーナー経営者は全員が完全歩合制です。
しかし、このような報酬体系で仕事をしている経営者の大半は不正を働くことはなく、金銭トラブルを起こすのはごく一部に過ぎません。
ということはプルデンシャル生命の事件の原因の根幹もフルコミッションではなく、別のところにあるのではないでしょうか?
私は「長期的」な顧客との関係が「短期的」な収益の確保に変わってしまったことにあると見ています。
ビジネスを短期的な視点で行うと顧客の利益が損なわれることは少し考えればわかることです。
わかりやすいのが観光地の飲食店です。人気の観光地の近くにある飲食店は値段が高く味はイマイチであることが珍しくありません。これは、多くの観光客は一見客で次に来ることはほとんどなく、お店側は短期的な利益の極大化を目指してボッタクリに走ることが多いのです。
常連客の多いお店は顧客との長期的な関係を大切にします。顧客が満足できなければ次から来てもらえませんから、毎回最高レベルの対応を行おうと思う訳です。
プルデンシャル生命が扱っている保険という商品は、本来は顧客の人生に長期間寄り添い、万が一の際に守るための超長期的な契約です。
顧客との長期的な関係を構築すべききだったのに、目先の数字や短期的な報酬を追い求めるあまり、顧客の利益よりも自分たちの今期の成果を優先してしまう構造が生まれてしまったことが最大の悲劇と言えます。
社内改革でやるべきなのは完全歩合の廃止ではなく、長期的な顧客との関係構築にインセンティブを与える報酬体系を導入することです。
長期的な顧客や取引先との関係が大切なのは保険業界に限りません。観光地の飲食店のような目先の利益だけを考えたビジネスをやっている会社は長期的にはプルデンシャル生命と同じ道を歩むことになるでしょう。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年7月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。







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