消費税政局に新展開:右派議員も反対に回って党内は大混乱

高市早苗首相が打ち出した「2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる」という方針に、自民党内から予想以上に強い異論が噴き出している。

これまで河野太郎氏や小渕優子氏など財政規律派の反対が目立っていたが、31日に始まった党内議論では、右派議員からも慎重論が出た。消費税政局は「高市首相対緊縮派」という単純な構図ではなくなりつつある。

税調の合同会議

西田昌司氏「減税には賛成だが、時間をかけるべき」

食料品の消費税減税をめぐり、自民党は31日、税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議を開いた。この中で政府は、高市総理大臣が来年4月から2年間、税率を1%に引き下げる方針を表明した。

しかし出席者からは「財源が明確でない」とか「減税をしても物価は下がるのか」あるいは「消費税減税は高所得者優遇につながる」として、減税ではなく給付を求める声も上がり、意見は集約できなかった。週明けの来月3日にも再び会合を開き、引き続き議論することになった。

高市首相に近い税調幹事の西田昌司参議院議員は、記者団に対し「2年後は常識的に考えて税率を戻すことはできない。戻すと大混乱、戻さなくても大混乱、どちらにしても大混乱になるのでもう1度思いとどまってほしい」と述べた。

そのうえで「きょう意見はまとまっておらず、重苦しい空気だった。現実を把握しなければ石破前総理大臣の二の舞になり、ここで判断を間違えると取り返しのつかないことになる」と述べた。

稲田氏「総理が言っているから、では自民党らしくない」

稲田朋美氏も高市首相の方針に注文を付けた。稲田氏は「高市総理が言っているから」という理由で党内が了承することに疑問を呈し、給付付き税額控除、財源、そしてつなぎとしての消費税減税の3点を一体で議論すべきだと主張した。食料品減税ではなく給付という選択肢もあるとの考えを示している。(nikkansports.com)

稲田氏は高市氏と同じく自民党保守派を代表する政治家の1人である。その稲田氏が政策内容だけでなく、首相主導で結論を急ぐ党内手続きそのものに異議を唱えた意味は小さくない。

31日の合同会議では、逢沢一郎氏も「明確な反対の声が多かった。にわかには賛成しがたい」と述べた。反対・慎重論が相次ぎ、初日の議論では意見集約に至らなかった。

「右対左」ではなくなった消費税政局

興味深いのは、反対派の理由がバラバラなことである。河野太郎氏らは財源や財政への信認を問題視する。小渕優子氏も財政規律を重視する立場から慎重姿勢を取ってきた。一方、西田氏はむしろ積極財政派であり、消費税廃止論者である。それでも今回の「食料品1%」には慎重だ。

稲田氏の場合は、政策効果だけでなく党内民主主義の問題を提起している。つまり高市首相の消費税減税には、緊縮派からも積極財政派からも、そして党内保守派からも異論が出ていることになる。

これはかなり異例の構図だ。そもそも高市首相が今年2月に掲げていたのは、給付付き税額控除が実現するまでの2年間、飲食料品を「ゼロ税率」にする構想だった。それが国民会議での調整を経て「1%」となった。

政府自身も減税終了後は現在の8%へ戻すことを想定している。そのため、「なぜ巨額の財源とレジ改修などの事務コストをかけて、わずか2年間だけ税率を変更するのか」という疑問が、党内でも共有され始めた。

最大の問題は、2029年4月に増税すると決めると、その前年7月の参議院選挙で野党が「増税反対」で攻勢をかけてくることだ。消費税が争点になって倒れた内閣は多い。

高市首相は押し切れるのか

高市首相は30日、「党議決定した公約」であるとして党内の理解を得られるとの考えを示している。しかし31日の会合を見る限り、首相の一声で党内がまとまる状況ではない

政府は8月5日に閣議決定する方向で党内調整を進めているが、それまでに意見をまとめられるかは見通せない。消費税をめぐる対立軸は、「減税派対増税派」ではなくなった。

財政規律を重視して反対する河野氏らと、もっと抜本的な減税を求めながら今回の制度設計には反対する西田氏、そして拙速な党内決定に異議を唱える稲田氏。それぞれ別の方向から高市首相の「1%減税」に疑問符を付けている。高市首相が始めた消費税政局は、野党との戦いより先に、自民党そのものを割る政局になってきた。

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