国民民主党の玉木雄一郎代表が、食料品の消費税減税について「党の主張ではない」とSNSに投稿し、波紋を広げている。
玉木氏は、党の物価高対策の中心は所得税や住民税の控除額引き上げによる現役世代減税だと説明。食料品だけを対象とした消費税減税については、農家や外食産業への影響などを理由に反対する姿勢を示している。
一方、国民民主党は現在も「実質賃金が持続的にプラスになるまで消費税を一律5%」という政策を掲げている。党の公式サイトにも、消費税を10%から一律5%に引き下げる方針が明記されている。

つまり玉木氏の説明を正確に言えば、「食料品だけを減税するのには反対だが、すべての消費税を5%にするのには賛成」ということになる。
しかし、ここまで来ると「どちらが責任ある政策なのか」という問題ではなくなってくる。
5%減税なら財政に責任があるのか
高市政権は、2027年4月から2年間、食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる方針を示している。高市首相は国債発行には頼らないとしているが、具体的な恒久財源についてはなお不透明だ。
これに対して玉木氏は、食料品減税より所得税・住民税減税のほうが望ましいと主張する。
そこまでは議論として理解できる。
ところが国民民主党自身が掲げる「消費税一律5%」の財源を見ると、話は怪しくなる。
党の公式サイトは、その財源について「国債発行や税収の上振れ分等」と明記している。期間限定の景気対策なので「恒久的な財源は不要」と説明している。

要するに、減税して足りなくなった分は借金で埋めるという話である。
それなら食料品減税を批判する資格がどこまであるのだろうか。
日本財政はすでに4分の1が借金
日本の2026年度一般会計予算は122.3兆円。このうち29.6兆円、実に24.2%を国債発行に頼っている。消費税収は26.7兆円で、一般会計歳入の21.8%を占める巨大な基幹税だ。
しかも国債費は2026年度に31.3兆円に達している。金利上昇が続けば利払い費はさらに膨らむ。財務省の機械的試算でも、利払費は2026年度の13.0兆円から2029年度には21.6兆円まで増えるケースが示されている。
こんな状況で「食料品だけ1%にするのはダメだ。しかし全部5%にするのはいい」というのは、財政責任という観点から見れば五十歩百歩である。
むしろ税収減は一律5%のほうがはるかに大きくなる。
減税の大きさを競う政治
最近の日本政治では、減税そのものが目的になっているように見える。
政府は「食料品を1%にする」。
国民民主党は「いや、それより所得税を下げろ」と言いながら、別のページでは「消費税は5%にする」と言う。
減税案の種類は違っても、共通しているのは「どの歳出を削るのか」という議論がほとんど聞こえてこないことだ。
税金を下げること自体は簡単である。
難しいのは、その代わりに何をやめるかを決めることだ。
社会保障を削るのか。補助金を削るのか。地方交付税を削るのか。それとも国債を増発して将来世代に負担を回すのか。
そこまで示して初めて「責任ある減税」と呼べる。
「食料品減税ではない」は免罪符にならない
玉木氏が食料品だけの消費税減税に反対する理由は、政策論や実務面の問題として理解できる。
だが、それによって国民民主党の「消費税5%」が責任ある政策になるわけではない。
「食料品減税は党の主張ではない」と言うなら、その次に問われるのは当然、「では消費税5%の穴を誰が埋めるのか」である。
答えが「国債発行や税収の上振れ」では、結局は国民か将来世代に請求書を回しているだけだ。
高市政権の食料品減税も、国民民主党の消費税5%も、減税の看板を競う前に、まず国家財政の帳尻をどう合わせるのかを示すべきだろう。
減税のメニューは違っても、財布を持たずに注文している点では変わらない。

玉木雄一郎代表 国民民主HPより








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