久々にベッセント砲が炸裂か:ドル売り介入で一時は158円まで円高

30日のニューヨーク外国為替市場で、円相場が突然急騰した。1ドル=162円台後半で推移していたドル円は158円を突破し、一時157円98銭まで上昇した。1日で3%を超える円高で、市場ではすぐに政府・日銀による為替介入観測が広がった。

日本経済新聞

日本だけではなかった「介入」

日本政府がニューヨーク市場で大規模なドル売り介入を実施したとみられている。4~5月に11.7兆円を投入して以来、約3カ月ぶりの実弾介入となる。

今回、注目されるのはアメリカ側の動きだ。米財務省の指示を受けたニューヨーク連銀が、複数の金融機関にドル円の取引レートを問い合わせるレートチェックを実施したと報じられている。レートチェックは実際の為替介入ではないが、通常は介入の前段階で行われるため、市場に与える心理的効果は大きい。

三村淳財務官も31日、米国から「心理的な支援を超えた支援を受けている」と述べ、レートチェックもその中に含まれるとの認識を示した。日本単独の介入ではなく、日米当局が連携して円安を止めようとしていることを市場に見せた格好だ。

ここで思い出されるのが、今年1月の「ベッセント砲」である。当時も米当局によるレートチェック観測が浮上すると、それだけで円相場は大きく円高に振れた。今回も実弾を撃ったのは日本政府とみられるが、その背後でアメリカが動いたことの意味は小さくない。

しかもベッセント米財務長官は今回、円について「非常に過小評価されているように思う」と述べたと伝えられている。これは円安を問題視する米国の姿勢をかなり明確に示した発言である。

163円台から一気に158円へ

直前までドル円は163円台という約40年ぶりの円安水準に沈んでいた。高市政権の積極財政や日銀の利上げの遅れに対する警戒もあり、円売りが止まらない状態になっていた。

そこへ日本政府の円買いと米当局のレートチェックが同時に飛んできた。投機筋から見れば、日本政府だけを相手にしているつもりが、突然アメリカまで背後から出てきたようなものである。

だからこそ5円近い急騰になったのだろう。ただし介入だけで円安の流れそのものを変えられるわけではない。実際、157円台まで上昇した円は31日には再び160円前後まで押し戻されている。4~5月の11.7兆円介入も、その後の円安再開を止めることはできなかった。

本当の「ベッセント砲」はこれからか

それでも今回まで過去の介入と同じだと考えるのは早い。最大の違いは、米財務省が円安を容認せず、日銀にも追加利上げを求める姿勢を強めていることだ。米財務省は7月公表の為替報告書でも、日米金利差が縮小しているにもかかわらず円安が続いていることを問題視し、日銀の追加利上げが必要だとの認識を示している。

為替介入は時間を買う政策にすぎない。円安を持続的に止めるには、日銀が金利を正常化し、日本政府も円の信認を損なう財政拡張を抑える必要がある。今回の157~158円への急騰は、その転換点になるのか。それとも数日後にはまた163円を目指すのか。少なくとも、円売り一本槍の市場を日米政府が放置しないことだけは間違いない。

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