先般私の古いGTRのトランスミッションを分解修理した際にタイヤ4本も入れ替えたのですが、以前から問題だったタイヤバルブからの空気漏れが酷くなり、メカニックの会社にこれも直せるか、とテキストをしたところ、日産の純正は高いのに長持ちしないからドイツのボッシュでどうか、とオファーされ、日産の価格より6割も安い価格で入手してもらい、直してもらいました。
私がこの香港系カナダ人の会社にぞっこんほれ込んだのはプロ意識が高いことと極めてリーズナブルで顧客の立場に立った説明をきちんとしてくれることです。直してもらった際に「ワイパーブレードも古くなっていたから無料で替えておいたよ」と。この会社の社長は「この仕事は儲からないけれど大好きなクルマを扱えるからいいんだ」というスタンスです。今時、珍しいと思います。それ以上に顧客とのコミュを大事にして、何を求めているのか聞くチカラを持っています。
話しは変わってゴミの収集。当地では商業施設などは民間のゴミ収集会社と直接契約をしてゴミの収集をしてもらいます。私どもは週1-2回、2か所で収集してもらい、月に概ね30万円ほど払っています。こういうサービスの会社は仕事のなり手が少ないのでサービス価格は安くないのです。事実、この上場するカナダ最大手のゴミ収集会社について証券アナリストが「この会社はこの業種のモノポリ(=独占企業)だからいくらでも儲かるだろう」と述べています。
そのゴミ収集会社、ゴミ収集ビン(=巨大なゴミ箱)にゴミが半分ぐらいだと収集しない時が続きました。私の右腕がこれにクレームの電話を入れ、「オタクの会社は収集ビンが満杯じゃないと回収しないポリシーなのか?」と私に似たような手厳しい追及。先方は「そんなポリシーはありません」「じゃあなぜ収集しない?」「調べます」の応酬。挙句の果てにその週にゴミ屋が来るのを待ち構えて収集しなかったことを本人に詰ったこともあり、その後は収集するようになりました。(ゴミ屋のお兄さんたちはヤクザみたいに入れ墨だらけのデカい人が多いので正直怖いのです。)これもコミュニケーションをしながら改善を図る努力の結果なのだと思います。
私どもは日本向けギフトのオンライン ショッピングサイトがあるのですが、顧客層が比較的高齢者も多く、Emailで「去年と同じもの同じところによろしく」というメッセージが多いのです。私どももそのような対応になれているので昨年のデータに基づき、発注票を作り、担当者が「こちらでよろしいでしょうか?」と確認します。オンライン ショッピングサイトがあるのにほぼマニュアル作業なので笑ってしまうのですが、むしろ電話越しに直にやり取りした方が圧倒的にコミュニケーションエラーがなく、顧客満足度も上がります。
私や私の右腕が日本に行けば取引先の挨拶を手分けしていきます。だいたい2-3年に一度は各社、顔を出すようにしています。先方も相手の顔が分かると喜ぶものなのです。ひと昔前は「そんな挨拶、時間の無駄」とか言われたのですが、こちらが手土産をもって「今後もよろしく」とやれば向こうも「カナダはどんな感じなのですか?」と興味津々です。私の右腕は更に担当者を飲みに誘うぐらいです。このコミュニケーションのクスリは本当によく効きます。今まで杓子定規なやり取りだったものが「実はこれは…」と言う話が聞けるようになるのです。
LINEはある意味、コミュニケーションの代替手段的なところがあり、私も結構メッセージは貰います。中には面倒くさそうな内容のものもあるのですが、双方で1-2回やり取りするうちにどちらからともなく「面倒だから電話で話そう」で、LINE電話で話せば5-10分でほぼすべてを双方がしっかり理解確認することができます。

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先日東京に行った際に、バンクーバーでお亡くなりなった方の御親戚に御遺灰を持っていくことになりました。亡くなった方も東京に在住する唯一の御親戚の方もよく知っているので一つ返事でお受けしました。ただ、いざ持っていく段になり、はて、これは誰の遺灰かと税関で見つかって聞かれたら厄介だな、と思い、調べるといろいろ書類が必要なことが分かりました。死亡証明、火葬証明、私を代理人とする委任状…。それらを日英両方で揃えてもらい、無事お届けしました。もちろん、無報酬です。夕飯はさすが御馳走してくださいましたが、これもよく知る関係故に気持ちよくお引き受けできるわけです。この方とも会うたびに食事をしていて長年築き上げた人間関係があるからこそできる技なのだと思います。
人間関係が希薄になったとされます。スマホで全部解決しようとする時代だし、タイパもあるでしょう。中には対人恐怖症という人も結構いて、「電話を取るのが苦手」という人もいます。しゃべる練習をしないとトークそのものが相手に理解される訓練がなされないこともあります。友達とは話せるけどそれ以外の人とは苦手という人が若い人を中心に増えていると聞きます。
大概そういう方は要点だけを簡潔にしゃべろうとしてを全体像の説明をしないので聞き手はチンプンカンプンなのです。昨日も私のマリーナのマネージャーから出先に電話があり、トニーがどうしたこうしたと一方的に言うので「トニーって誰だい?」というところに差し戻して説明を聞き返したぐらいです。
コミュ力は人間が持っている有意な能力の一つです。しかし、残念ながらそれを時代が封印する傾向にあります。私は「しゃべってなんぼ」だと思うのです。1時間も討議すれば「そうか、こうすればいいんだ」ぐらいのアイディアも出てくるはずです。知識ばかりでなく、社会におけるバランス感覚を磨くという意味でもスマホにもLINEにも電話機能がついていることをもう一度見直してみるのもありだと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月2日の記事より転載させていただきました。







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