10校受けて、10校落ちた。偏差値で高校は決めなくていい

10校受けて、10校落ちた。

筆者(尾藤)の高校受験の話である。私立ばかり10校。二次試験まで含めて、きれいに全滅した。学力の問題ではなかった。内申書だ。詳しい経緯は別のところに書いたので繰り返さないが、要するに、書類の段階で終わっていた。

面接で何を言われたかは、いまでも覚えている。人としての尊厳を踏みにじられるような時間だった。あれを15歳に浴びせるか、と思う。冷静に書こうとしているが、やはり腹立たしい。

だから私は、この手の話には偏りがある。最初に断っておく。

中学からの勉強は、こう変わる。はじめての自学自習のキホン』(野英利香 著)すばる舎

さて、本題。中学2年生くらいになると、「受験」という言葉が急に増えてくる。やっと学校生活に慣れて楽しくなってきたのに、もうその話か。気が重くなる人もいるだろう。分かる。

そこで学校では「実力テスト」が行われる。結果のシートに偏差値が並び、「あなたに合っている高校はこのあたりです」と示される。

これを鵜呑みにしなくていい、というのが今日の話だ。

偏差値は現時点での結果でしかない。当たり前の話なのだが、渡された紙に数字が印刷されていると、なぜか運命を告知された気分になる。あの紙のデザイン、もう少しどうにかならないのか(いや、そこは本題ではない)。

本書の著者は、20年以上、中学生を見てきた人だ。そこにこんな話が出てくる。目標校を決めた生徒は、そこに向かって勉強し、偏差値を10以上、なかには20近く上げて進学していく。

考え方が変わると、行動が変わる。行動が変わると、結果が変わる。書いてしまえば標語みたいな一文だが、20年見続けた人が言うと重みが違う。

では、何を基準に選ぶか。私が一番いいと思ったのは「想像してみろ」という指摘だった。

高校生活も3年ある。毎日ここに通うとしたらどうだろう、と考える。通学時間。朝、家を出る時刻。校舎の雰囲気。地味だ。パンフレットには載っていない。でも、この3つが3年間を左右する。

だから実際に行けという話になる。説明会、オープンスクール、文化祭。行った生徒は「思っていた感じと違った」と言う。この一言のために足を運ぶ価値がある。

そしてもう一点。ここは声を大にしたい。高校によって、その先の進路の選びやすさが変わる。

普通科が一番多いのは事実だが、外国語に強い学科、理数系の学科、芸術系の学科がある。工業高校、商業高校のように専門的な学びを早く始める道もある。高等専門学校なら5年学んで大学の3年次に編入できる。

「今の成績で行けそうだから」だけで選ぶと、あとから「やっぱりこの分野をやりたい」と思ったときに、自分で補う勉強が増える。進学できないわけじゃない。ただ、遠回りにはなる。

で、現実の話。

第一志望に届かなかった場合に備えて、安全校を用意しておく。今の学力で合格の可能性が高い学校のことだ。少し上を狙うほうは挑戦校。この2つを分けておくと、安心して挑戦できる。

公立は基本1校しか受けられない。だから公立の前に私立を受け、すべり止めにする人が多い。私立には「単願」と「併願」がある。単願は受かったら必ず行く約束で受ける方式。あとから変更できないから慎重に。併願は他校の結果を見てから決められる。公立志望なら断然こちら。

夢と現実。両方要る。私はそれを、10連敗という形で学んだ。

その後、1年遅れで高校に進み、大学を出て、大学院で経済学と経営学の修士を取った。ダブルマスターというやつだ。役に立っているかと聞かれると、正直、あまり。学歴の話題は今でも出るが、それで人生が決まらないことは身をもって知っている。まだ何者にもなれていない。それでも後悔はない。

準備はしろ。安全校も用意しろ。ただし、あの紙に印刷された数字に人生を採点させるな。

それだけは、言っておきたかった。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

日本初のClaude実用書です。発売即重版しました。

3時間で身につくClaude活用術』(WAVE出版

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント