「年功序列」にこだわる人は「老害」に陥る

内藤 忍

日本経済新聞のコラムでエンジェル投資家の川崎裕一氏が「老害とは加齢や性格ではなく「再び初心者になるコスト」を払うことを拒否した人の別称」という独自の見解を披露しています。コラムを読んで強く共感しました。

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今まで積み上げてきた自分の経験から生まれるプライドを捨て、過去の実績をゼロクリアして「わからないので教えてください」と素直に誰にでも頭を下げられなくなった時に「老害」は始まるという訳です。

だから老害になるかならないかの分岐点は能力の差ではなく、無知な自分をさらけ出す勇気があるかどうかです。過去の自分のやり方に固執して新しいことを「自分の若い頃はもっと大変だった」「そんなやり方は邪道だ」と受け入れようとしなくなったら、自分はそろそろイカれてきたと自覚するべきです。

私は老害を生み出す原因の1つは「年功序列」という慣習にあると思っています。この慣習は以前に比べて随分薄れてきていますが、未だに官僚や日本の銀行などには根強く残っています。あるいは政治家の世界でも「当選〇回」といった暗黙の序列があるようです。

相手の成果や能力をフェアに評価するのではなく、「若くて何も知らないくせに」「若いのに生意気だ」などと、年上・先輩というだけで価値観を押し付ける方法では価値観の変化やイノベーションに対応することはできません。

周囲から尊敬される人は先輩・後輩関係や年齢を気にしません。過去の実績に関係なく、例え年下であっても優れた能力を持っている人に対して「教えてください」「すごい方法ですね」と素直に耳を傾けられる人です。

彼らは「年上」だからリスペクトされるのではなく、「常に学び続けている」から魅力があるのです。

価値があるのは経験年数ではなく、その中でどれだけ自分をアップデートし続けてきたかです。

「自分の方が年上だから」「この組織に長くいるから」といった理由だけで敬意やポジションが得られると信じている人は既に老害の罠にはまっています。

まず年功序列というぬるま湯から抜け出すことが、老害に陥らないための最初の予防策になるのだと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年8月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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