「マリオットの奴隷」が「株主優待おじさん」から学ぶべきこと

内藤 忍

「株主優待おじさん」として知られている桐谷広人さんが癌の治療を受けていることを公表したそうです。

プロ棋士でもある桐谷さんは、ご自身の資産について約1400銘柄の株と約1億円の現金などを合わせて約7億円と公言する資産家です。

これだけの莫大な資産を保有しているにも関わらず、自転車で走り回り、毎日期限に追われながら膨大な株主優待を使い切る庶民的なライフスタイルと風貌によって人気者になりました。

メディアに登場する桐谷さんのどこまでが本当の自分で、どこまでが演じているのかは私にはわかりません。

本当に株主優待をきっちりと使い切るような質素で堅実な生活に無上の喜びを感じているのかもしれません。

あるいは、もしかしたら庶民的なキャラクターを演じ続けなければいけないと思ってやっているだけなのかもしれません。

もし、本当にやりたいことを「演じなければいけないから」「もったいないから」と我慢して、本望ではない株主優待の有効期限や損得ばかりに縛られて生活しているなら何とも勿体無いことです。

例えば、素敵なパートナーを見つけて、自分の行きたい高級レストランやリゾートホテルにお金を払って出かければ今とは違った別の楽しい人生経験ができたかもしれません。

あるいは自転車の代わりに好きな車を買ってドライブすれば、新しい趣味を見つけるきっかけになるかもしれません。

余計なお世話かもしれませんが、今まで以上に世界を広げられる経済力を持ちながらそれを使わないまま人生を終えてしまうのなら何とかした方が良いのではないでしょうか。

とここまで書いてみてふと自分自身を振り返ってみると、桐谷さんが株主優待に執着するように私も「マリオットの奴隷」になっていることに気が付きました。

旅行に出かける時は滞在先のマリオットグループのホテルを探し、見つからないと何だか損したような気になる。

ちょっと不便な場所にあっても無理矢理マリオットグループのホテルにポイントを使って泊まってしまったりします。

やっていることは何だか似ています。

ポイントやマイルの制約によって自分のライフスタイルを狭めてしまうのは人生の損失。そうわかっていてもつい生まれつきの貧乏性からオトクな生活を選択してしまうのです。

人にお節介なアドバイスをする前に、まずこれからやるべきは自分が「マリオットの奴隷」から解放されること。そんな気付きを桐谷さんから教えてもらいました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年8月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント