7/30リリースの骨太方針:中身は相変わらずのあり得ない前提でほぼ詐欺

「高市早苗の正体」に国民より先に気づいていた…海外投資家が「日本経済を壊す首相」だと確信した”残念発言”

7月以降、海外の投資家の間では、「骨太の方針=HONEBUTOに注意せよ」との警戒感も高まった。骨太の方針原案の内容を根拠に、高市政権がわが国の経済に深刻な打撃を与えるとの不安は急上昇した。海外の大手投資家は、われわれが考えている以上に高市政策への懸念を抱いているようだ。  昨年10月の首相就任直後から、経済の専門家からは「高市政策のリスクは高い」との指摘はあった。主な指摘の一つは、日銀の独立性についてである。政府が日銀に圧力を掛けて、低金利を継続させるのではないかと危惧された。また、積極財政政策による財政規律の弛緩は、財政破綻リスクを高めるとも懸念された。


骨太の方針が市場にボコボコに叩かれた。「HONEBUTOに注意せよ」だの「サナエ・ショックが来る」だの、海外投資家がそう言い出したのが7月。円は独歩安、新発10年国債の利回りは一時2.90%を突破。財源を示さないまま17分野・総額370兆円の官民投資をぶち上げたのだから、そりゃそうなる。

で、政府はどうしたか。あわてて政府試算を「出し直し」てきた。7月30日、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」。共同通信の見出しがすべてを物語っている。「27年度以降の財政収支は黒字 政府試算、不安払拭狙い透ける」。透ける、じゃないんだよ。透けてるとわかって書いてるだろ、これ。ww

前回のブログでこの試算のインチキを書いたら、わけのわからないリプも。「お前は中国人か」「反日だ」と。私から見たら日本をぶっ壊そうとしている髙市政権こそが反日だ。こういうヤツはそもそもテキスト派読めないから中身も理解できない。
じゃあ徹底的に原典に当ててやろうじゃないの。内閣府のPDFを1枚ずつ開いて、6月版と7月版を並べて、数字を全部拾った。結論から言う。変わったのは、たった1カ所だけだった。

「出し直し」で変わったのは、たった1カ所

政府は6月24日にも、ほぼ同じ試算を出している。「日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算」ってやつ。これについてはすでにブログを書いている。

 

高市政権の2026骨太の計画は、骨太どころか前提条件が甘すぎて旧日本軍の「このままでは全滅だから万歳突撃で玉砕しよう」と同じ
6月30日の経済財政諮問会議に、骨太の方針2026の原案が出ました。370兆円の官民投資、2040年度にGDP1,100兆円、毎年実質10兆円の追加支出。威勢のいい数字が並んでいます。私はこの文書の数字を一つずつ検算しました。結論から言うと…

これと7月30日版を並べると、こうなる。

📄 6月24日版 → 7月30日版 なにが変わった?
・国と地方のPB黒字化:2028年度以降2027年度(1年前倒し!)
・追加の財政支出:「毎年10兆円使う」と明記 → その一文がスッと消える
・2026年度の長期金利前提:2.6% → 2.7%(ほぼ据え置き)
・成長率、そしてTFP(生産性)の前提:まったく同じ。1ミリも動かしていない

わかりますかね。成長のエンジン(生産性や成長率)は1ミリも良くなっていないのに、黒字化の年度だけがヒョイと1年早まった。なぜか。中身が改善したからじゃない。年央改定で去年(令和7年度)の税収の上振れを足しただけ。しかも6月版は「毎年10兆円使いますよ」と正直に書いていたから2028年度までズレていたのに、7月版はその重石を前面から外して「2027年度に黒字!」と胸を張る。これが「不安払拭」の正体。数字を良くしたんじゃない。見せ方を変えただけなんですわ。

そもそも「黒字化」するのは、PBだけ

ここが一番大事なところ。政府が「黒字」と言っているのはプライマリーバランス(PB=基礎的財政収支)のこと。借金の利払いを除いた、その年のおサイフの出入りだ。ところが利払いまで入れた本当の「財政収支」は、いっぺんも黒字にならない。利払いは現在でさえ13.4兆円。そして国債金利の暴騰でこうなっている。毎年150兆円借り換えるから数年後には30兆円に行く勢いだ。
原典の数字を金額に直すとこうなる。

図1:PB(利払いを除く)は2027年度+1.4兆円で黒字。でも利払いまで入れた財政収支は▲7.9兆円→▲34.8兆円へ赤字が拡大していく。「黒字化」の見出しはPBの話であって、国の財布が黒字になるわけではない。

見出しの「財政収支は黒字」から、こっそり「基礎的」の4文字が抜け落ちている。たった4文字。でも意味は正反対。財政収支は2027年度に▲7.9兆円、2040年度には▲34.8兆円まで赤字が膨らむ。黒字になるのは青いほう(PB)だけ。赤いほう(財政収支)はどんどん沈む。この2本の棒のひらき、これが全部利払いです。

その国債利払いが、GDPの4.6%まで膨らむ

じゃあ利払いはどれだけ増えるのか。原典に年度ごとの数字が載っている。純利払費(もらう利息を差し引いた、正味の利払い)の対GDP比を並べたのがこれ。

図2:純利払費(対GDP比)は2024年度0.8%→2040年度4.6%。約3.6倍。金利が上がる局面で借金が世界最大級にあるのだから、当然こうなる。

0.8%から4.6%。約3.6倍。しかもこれ、試算が「うまくいったケース」の数字ですからね。金利が上がる局面で、GDPの2倍以上の借金を抱えている国が、利払いだけで税収を食いつぶしていく絵。PBが多少黒字でも、この利払いに飲み込まれる。だから財政収支は黒字化しない。当たり前の話。

黒字化の主役は「成長」じゃない。「物価」だ

ここからは前提のツッコミどころ。黒字化する2027年度、名目成長率は3.9%とされている。おお、すごい成長。…と思うでしょ? 中身を割ると笑えます。

図3:名目成長率=実質成長率+GDPデフレーター(物価)。黒字化する2027年度だけ、デフレーターが2.8%にピョコンと跳ねている。翌年度以降は1.6%に戻る。この一発は「原油が7.7%下がる」という前提に乗っかっている。

名目3.9%のうち、実際の成長(実質)はたった1.1%。残りの2.8%は物価(デフレーター)。つまり「モノがたくさん売れて豊かになった」んじゃなくて、値札が上がっただけ。しかもこのデフレーター2.8%、翌年からは1.6%にストンと下がる。黒字化する年だけ、都合よく跳ねている。なぜ跳ねるかというと「原油が前年から7.7%下がる(1バレル92.5ドル→85.4ドル)」という楽観的な前提を置いているから。同じ試算が別のページで「中東情勢に注視」と書いておきながら、油価は都合よく下がる想定。ご都合主義にもほどがある。ww 物価が上がれば名目GDPが膨らみ、税収も膨らむ。黒字化を演出しているのは、成長じゃなくて物価上昇なんです。

ほかにも「あり得ない前提」だらけ

① 生産性(TFP)を実績の2倍以上に設定。いまの日本のTFP上昇率は0%台。それを1.4%まで引き上がる前提。押し上げ分の中身は「AIで+0.2、対日投資で+0.1、R&Dで+0.2…」と、全部が上振れ前提の足し算。どれか1つコケたら成長も税収も大きく崩れる。大穴が当たったら返済できるっていってるギャンブル中毒患者みたいなもんです。

② 金利の前提が、もう現実に負けている。試算は2026年度の長期金利を2.7%と置いている。ところが市場はすでに7月に2.90%を突破済み。発表した初日から前提が現実に追い抜かれている。しかも試算上の「実効金利」は2027年度で1.3%と低い。これは昔の低い金利の国債がまだ残っているから低いだけで、新しく借り換えるたびに約2.9%の金利がのしかかる。時間が経つほど利払いは跳ねる。図2のとおり。

そして「都合の悪い数字」は、入っていない

極めつけがこれ。黒字化を主張するその試算に、これから確実に出ていくお金が入っていない

🚫 試算に入っていない「出ていくお金」
食料品の消費税1%減税(年およそ5兆円 × 2年)…首相が同じ時期に指示したのに、試算には未反映
17分野・総額370兆円の官民投資の財源
災害復旧費(7月28日の熊本地震・M7.1・震度7 以前の震災から1〜3兆円は必要)

やり口がわかりますかね。「まだ決まっていないから」という理由で、出ていく減税・支出・復旧費は入れない。なのに、まだ実現していない生産性アップや税収増は「実現する前提で」しっかり入れる。同じ文書の中で、この使い分け。都合の悪い経費は落とし、都合のいい税収は超楽観で盛る。民間企業がこれをやったら粉飾決算です。人口が増える前提のでっち上げ資料で客に部屋を売りつけた、あのサブリース業者と同じ構造。

しかも、持続可能に見えるのは「最良ケース」だけ

借金の重さ(公債等残高の対GDP比)の2040年度を、3つのケースで見るとこう。いちばん都合のいいケース①だと170.6%まで下がる。でもワンランク下のケース②では174.6%、追加の投資が需要をつくるだけの「現状投影ケース」では190.6%まで上がる。政府がドヤ顔で見せているのは、いちばん右端の「うまくいったら」の数字。それ以外は、借金は増える。こんな危ない方針出しているんだから円安になって当たり前。

市場は、とっくに見抜いている

海外の投資家はこの手の化粧をひと目で見抜く。だから円が売られ、国債が売られ、金利が上がっている。SNSでは「#高市不況」なんてタグまで回っているらしい。円安に歯止めをかけようとしているのは片山財務大臣ひとり、なんて言われる始末。GPIFで国債を買い支える案も出たが、法改正が必要で通るとも思えない。焼け石に水。

わたしが言いたいのは1つ。「27年度以降は黒字」という見出しを、そのまま信じちゃダメってこと。黒字になるのはPBだけ。本当の財政収支は▲34.8兆円へ沈む。黒字化の主役は成長じゃなく物価。前提の金利は初日から現実に負け、出ていくお金は入っていない。8月上旬にはいよいよ財源が発表される。そのときは、あなたも小さい字まで読んでほしい。大きい字はだいたいウソだから。ww

📌 出典・確認状況
数値は内閣府の一次資料で全数確認済み:「中長期の経済財政に関する試算(2026年7月)」資料2-1・2-2、令和8年度年央試算 資料1-1、「日本成長戦略の下での…試算」(6月24日 資料5)、TFP押上げ(6月24日 資料6)、および2026年1月試算ポイント。
報道ベース(未確認):国の一般会計利払費13.0兆→54.5兆円、食料品減税の規模、熊本地震、長期金利2.90%、370兆円投資、円安関連の首相発言等(共同通信・プレジデント等)。

編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年8月4の記事より転載させていただきました。

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