トヨタ最終利益3.25兆円へ上方修正:HVで稼ぐ巨人とEVで消耗するライバル

トヨタ自動車は8月4日、2027年3月期の連結最終利益予想を、5月時点から2500億円引き上げ、3兆2500億円に上方修正した。前期比では15.5%減となるが、自動車業界では突出した利益水準である。

業績を押し上げたのは、ハイブリッド車(HV)の堅調な需要と円安だ。世界の自動車メーカーがEV投資の負担に苦しむなか、トヨタはHVから巨額の利益を生み続けている。

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同業他社と広がる利益格差

トヨタの最終利益予想は、ホンダの2600億円の約12倍、日産の200億円の約160倍に当たる。

日産は早くから「リーフ」を発売し、EV市場の先駆者となったが、その先行を高収益には結びつけられなかった。ホンダもEV事業の見直しで巨額損失を計上している。

一方、トヨタはEV、HV、プラグインハイブリッド車などを地域ごとに使い分ける「マルチパスウェイ」を続けてきた。「EVに出遅れた」と批判された慎重さが、結果的には収益を守った。

EVには物理的な限界がある

EVには価格や政策以前に、技術的な制約がある。

最大の問題は電池の重さだ。航続距離を延ばすには大量の電池が必要になるが、電池を増やせば車体が重くなり、さらに多くのエネルギーを消費する。

充電時間にも限界がある。急速充電の出力を高めれば、発熱や電池劣化、安全性の問題が大きくなる。多数の車が同時に充電するには、発電所だけでなく送電線や変電設備の増強も必要だ。

寒冷地では航続距離が低下し、充電時間も長くなる。長距離移動、集合住宅、災害時、大型車まで、すべてを電池だけで代替するのは容易ではない。

都市部の短距離走行など、EVに適した用途はある。しかし、あらゆる自動車をEVに置き換える構想には、経済的にも技術的にも無理がある。

BYDもEV一本ではない

EVの勝者とされる中国のBYDも、純粋なEVだけでなく、エンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド車を大量に販売している。

世界有数の電池メーカーでさえEV一本に絞っていないことは、消費者が航続距離や充電環境、価格を重視している証拠でもある。

HVは現実的な解決策

HVは小型電池で減速エネルギーを回収し、モーターとエンジンを効率的に使い分ける。充電設備を必要とせず、寒冷地や長距離でも利便性が落ちにくい。

限られた電池を1台のEVに大量搭載するより、複数のHVに分散して搭載した方が、社会全体の燃料消費を減らせる場合もある。

今回の上方修正には円安の影響も大きく、トヨタにも中国市場やEV開発という課題は残る。

それでも決算が示したのは明確だ。トヨタはEVを否定したのではなく、万能技術として扱わなかった。EV全面移行という理念より、消費者の使い勝手と技術的現実を優先したことが、3兆円を超える利益につながっている。

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