34歳、筒香嘉智の「第2章」:ハマスタにあの放物線が帰ってきた

横浜スタジアムに、あの豪快な一発が戻ってきた。

横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智が、猛烈な勢いで本塁打を放っている。

8月9日の広島戦。0対0で迎えた4回、筒香は外角のシンカーを右翼席へ運び、先制の11号ソロを放った。これで自身初となる出場4試合連続本塁打である。

しかも前日の8日には、3対3の延長12回に10号サヨナラ本塁打。筒香のサヨナラ打は2019年9月以来、7年ぶりだった。

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一時は「全盛期は過ぎた」と見られていた34歳の主砲に、何が起きているのだろうか。

日本に帰れば打てる、ではなかった

筒香といえば、かつて日本を代表する左の大砲だった。

2016年には打率.322、44本塁打、110打点を記録。本塁打王と打点王に輝き、日本代表でも中軸を任された。

しかし、米国での挑戦を経て2024年にDeNAへ復帰すると、かつてのようには打てなかった。

2024年は57試合に出場して打率.188、7本塁打。2025年も75試合で打率.228だった。

NPB公式・筒香嘉智年度別成績

メジャーで苦戦しても、日本に帰ってくれば簡単に打てる――。そんな甘い世界ではなかったのである。

ところが2025年夏、その筒香に大きな変化が起きた。

7月に一軍を離れて再調整し、8月7日に復帰。それまで42試合で6本塁打だったが、復帰後は33試合で14本塁打を記録した。

その結果、2025年は出場75試合ながら20本塁打まで数字を伸ばした。

復活には、はっきりした理由があった。

二軍で見つけた「ズレ」

筒香自身がNumber Webのインタビューで明かしている。

2025年に二軍で調整していた際、自分の打撃で下半身がうまく使えていないことに気づいたという。

テークバックの際に左股関節を十分に使えず、スイングすると体重がかかと側に残ってしまう。その問題を修正し、前方向へ安定して踏み込める感覚を取り戻したことが復調につながったと説明している。

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2026年は自分のキャリアの頂点に立つシーズンにする――。日本球界復帰3年目となるDeNA・筒香嘉智内野手は、いまそんな意気込みで沖縄・宜野湾キャンプを過ごしている。

ここが重要である。

34歳のベテランが復活すると、「経験」「精神力」「気持ち」といった言葉で片付けられがちだ。

しかし筒香の場合は、もっと具体的だった。

打てなくなった原因を自分の身体の動きまでさかのぼって探し、フォームを作り直したのである。

内角を打てるから外角も打てる

その変化について、元ヤクルトの宮本慎也氏も2025年10月の日刊スポーツで分析している。

宮本氏が注目したのは内角球への対応だった。

体重が後ろに残る癖が修正されたことで、身体の軸を保ったまま内角球に対応できるようになった。そして内角を必要以上に警戒する必要がなくなれば、その分だけ外角球にも余裕を持って対応できる。

宮本氏は、筒香の長打が増えた背景に、こうした打撃フォームの改善があるとみていた。

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8月9日の11号本塁打も興味深い。

筒香が捉えたのは外角へのシンカーだった。それを引っ張って右翼席へ運んだ。

単に甘い球を力任せに飛ばしているわけではない。投球に合わせながら、自分のスイングで強い打球を作れるようになっている。

4試合連続本塁打は、その結果なのだろう。

全盛期に戻ったわけではない

もっとも、「筒香完全復活」と簡単に言ってしまうのも違う。

8月9日終了時点で、今季は62試合に出場して打率.240、11本塁打、31打点、出塁率.344である。

NPB公式

2016年の44本塁打と比べれば、数字には大きな差がある。

だが、34歳の筒香に10年前とまったく同じ選手であることを求める必要もない。

今の筒香に求められているのは、年間40本塁打を打つことだけではない。

相手投手に「この打者だけには一発を打たれたくない」と思わせること。そして僅差の試合を一振りで動かすことである。

8日の広島戦では延長12回にサヨナラ本塁打。翌9日には0対0の均衡を破る決勝本塁打を放った。

2日続けて、一振りで試合の流れを決めた。

こういう打者が打線にいることの価値は、打率だけでは測れない。

「昔の筒香」になる必要はない

筒香は2026年、再びDeNAのキャプテンに就任した。

横浜DeNAベイスターズ公式

春のキャンプでは、米国から日本へ戻って以降では最もいい状態にあるという手応えも語っていた。

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2026年は自分のキャリアの頂点に立つシーズンにする――。日本球界復帰3年目となるDeNA・筒香嘉智内野手は、いまそんな意気込みで沖縄・宜野湾キャンプを過ごしている。

米国へ渡り、思うような結果を残せず、日本に戻ってからも苦しんだ。二軍での調整も経験した。

それでも自分の打撃を一から見直し、30代半ばになってからフォームを修正した。そして今、再び一軍の投手から本塁打を打っている。

若い選手の「成長」はよく語られる。

しかし、ベテランだって成長する。

衰えた部分を認め、別の技術を身につけ、違う形で自分の価値を作り直す。それもまたプロ野球選手の成長なのだろう。

筒香が戻ろうとしているのは、44本塁打を放った2016年ではない。

34歳の身体と経験で、新しい筒香嘉智になろうとしている。

4試合連続本塁打は、一時的な好調に終わるかもしれない。シーズン終了時にどんな数字が残っているかもまだ分からない。

しかし、少なくとも一つだけ言える。

筒香嘉智は、まだ終わっていなかった。

むしろ一度打てなくなったからこそ、自分の打撃を作り直すことができた。

その答えが今、横浜スタジアムのスタンドへ次々と飛び込んでいる。

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