RIZAPグループが、AI活用で事務業務を効率化し、そこで生まれた人材を建設分野へリスキリングする計画を進めていることが話題になっている。2026年度中に最大500人の育成を目指し、すでに一部社員が実践的な研修を始めているという。
【参照リンク】ライザップ社員、建設職人に転向 「ブルーカラー転職」500人 AI活用で事務省人化 日本経済新聞
AIで生まれた人材を建設分野へ
同社はグループ全体でAIなどを活用し、生産性を高める方針だ。定型的な事務作業を減らす一方、人手不足が深刻な建設業へ人材を移すことで、雇用を維持しながら新たな成長分野へ人員を振り向ける狙いがある。
受け皿となるRIZAP建設は、chocoZAPの出店で培った店舗開発のノウハウを外部にも販売している。事業開始から半年で186件を施工し、売上高は約30億円に達したという。
事務職から本当に「職人」になれるのか
ただ、最も大きな疑問は、これまでデスクワークをしてきた社員が短期間のリスキリングで建設職人になれるのかという点だ。
建設現場では、資格取得だけでは身につかない技能が少なくない。工具の扱い、施工精度、安全確認、現場ごとの判断などは、長年の経験によって培われる部分が大きい。体力や高所作業への適性も求められ、誰でも研修を受ければ即戦力になれる仕事ではない。
特に「500人育成」という数字が先行すると、技能者不足を単なる人数不足と捉えているのではないかとの疑問も生じる。建設業で不足しているのは単純な労働力だけではなく、熟練した職人や施工管理を担える人材だからだ。
標準化でどこまで補えるか
一方、RIZAP側には勝算もある。店舗工事を標準化し、設計や資材調達、施工工程をできるだけ共通化すれば、従来の職人技に依存する部分を減らせる可能性がある。
つまり同社が目指しているのは、事務員をそのまま昔ながらの「熟練職人」に変えることではなく、作業を標準化したうえで、未経験者でも一定の仕事を担える仕組みをつくることだろう。
このモデルが成立するなら、建設業の人手不足対策として大きな意味を持つ。
リスキリングか、無理な配置転換か
それでも、本人の適性と意思の問題は残る。事務職として働いてきた社員にとって、建設現場への転向は単なる部署異動ではなく、職業人生そのものを変える選択だ。
AIによって仕事が減った社員を別の成長分野へ移すという発想自体には合理性がある。しかし、建設業を「人手が足りないから余った社員を送ればいい」と考えるなら、現場を軽視しているとの批判は免れない。
RIZAPの試みが成功するかどうかは、500人という人数よりも、未経験者を安全かつ一人前の技能者に育てる仕組みを本当に構築できるかにかかっている。








コメント