弱腰外交:日本の外交、どうしちゃったの?

ICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らをアメリカが制裁対象にしたことに対して高市首相が「大変残念」とは述べたものの対抗措置を打ち出す気配はありません。プーチン氏が択捉島を訪問したことに対して日本政府は対抗措置を取る姿勢を見せたもののその後はむしろ、ロシア政府が駐ロシア日本大使を呼び出すなど真逆の展開になっています。

高市首相・赤根智子所長

中国との外交関係は引き続き関係改善の気配がほぼなく、どちらかと言えば中国が面会謝絶というスタンスを取る中、王毅外相が韓国を訪問し、日本と韓国の関係分断化を図っています。

日本の外交、どうしちゃったの?と思いたくなることが続きます。

世界を取り巻く外交は数年前とは比較にならないほど複雑、かつ、繊細な状況になっています。終わらないウクライナの戦争、混迷の度合いを深めたイラン戦争、トランプ氏の独特の外交政策、欧州やカナダとアメリカの外交的乖離、日本と中国の関係の冷却化…あげ始めればきりがありません。これはトランプ氏が登場したからこのような国際環境になったのではなく、このような社会環境だからゆえにトランプ氏が大統領になれる素地があったと考えるべきです。

では方向性が変わるようになったのはいつからでしょうか?私が理解する限り、1991年のソ連崩壊が一つのトリガーでした。これにより東西冷戦が完全終了、アメリカ一国時代とされるパクスアメリカーナが始まります。ところが2000年代初頭に中国が経済的に力をつけ習近平氏がトップに就くと米中大国時代という新たな幕開けとなります。その間、技術発展が政治や国際関係にも大きな影響を与え、経済制裁を一種の戦争の手法の一つとして当たり前に取り入れます。

経済戦争は人がすぐさま死なないけれど長期にわたって国民が苦しむという意味でやはり戦争の一種であります。経済制裁を打ち出す方は戦争という意識よりも強硬な外交的手段の一つとして比較的簡単にそこにのめり込んでいきます。例えば中国は日本の鮮魚をシャットアウトしてますが、昨年11月頃に一旦緩和の気配が出たものの、また元の木阿弥です。あれも一種の経済制裁です。

つまり世界はギスギスしてしまった、これがこの35年の間に起きた地球上の変化であります。

この中で日本は外交的にどう対応していくのか、これが今一つ冴えない気がします。個人的に気になる点の1つとして茂木外相の本心であります。氏は本来持てる能力を出していないように感じるのです。それは複雑な国内政治の駆け引きがそうさせていると思われ、基本的には受け身の仕事ぶりに見えるのです。積極的に動くのではなく、有事に対して最低限のことだけをするに留める、そう見えます。

例えば冒頭のICCの赤根氏の問題は本来であれば日本が本気を見せなくていけないのですが、そもそもトランプ氏が報復を発表する前に日本の外交筋がどこまで努力したのか見えないのです。赤根氏は「ある程度想定していた」と述べているので当然、外務省や政府もその情報は共有していたはずです。今回の問題はICCへ最大の資金を出す日本とアメリカ、イスラエルとの確執的な問題であり、ネタニヤフ氏国際手配となればやり返されることは100%わかっていました。

一方、日本はICCの決定プロセスは尊重するでしょうし、当時はイスラエルの蛮行が世界で批判の対象となっていたのでタイミング的にはICCはアンチアメリカ、イスラエルの姿勢を明白にしたのです。当然アメリカとイスラエルは「ふざけるな!」であります。となればここはICCが責められることを放置し、日本はICC支援国の一つだと消極的関与に留めたということでしょう。もちろん、国際社会はそれでは不満なのですが、「日米関係を考えれば日本には何もできない」と足元を見られたわけです。

同様に日本は中国ともどうにも対処できず、トランプ氏に仲介してもらう画策もあったと思いますが、それもうまく行きそうにない、それが現状であります。

お前はどう感じているのか、といえば外交に独自性がない「仲良しこよし外交」に見えるのです。外交とは何をどうしたいのか、明白な指針をベースに関係を築き、日本の外交的立場を強化するのが主眼だと思います。ただ、国際関係が非常に複雑になった今日、AかBかという二者択一の選択ができない時代になっている、これが外交を難しくし、政権は無難な形に収める一種の「逃げの一手」しかないのだろう推察します。

たとえばウクライナの問題にしても私は当初からどっちもどっちの問題と申し上げました。ロシア支援は出来ないのですが、ウクライナ支援が絶対正しい施策だったかといえば結局あの国はやんちゃで賄賂大好きの性格は今でも全く変わっていないのです。とすれば日本が打ち出せるのは人道支援に限定し、ろくに知りもしない国情問題に深入りしない方が良いのです。にもかかわらず、国際世論に乗せれられて岸田氏は「俺もウクライナ行ったぜ」になってしまったのです。その点、高市氏が未だゼレンスキー氏と会っていないのはそれがたまたまそうであるにしても結果オーライであります。

つまり国際世論に対して日本はそれに引っ張られ過ぎず、日本独自の判断をしっかり持てるようにする、これが重要ではないでしょうか?

最近報道の一部では日本の弱腰外交という表現をポツポツ見かけます。戦前は軟弱外交という言葉もありました。結局、日本は外交的自立がしにくく、アライアンスという枠組みで動くのを得手としているのでしょう。多分、これは今後、何十年経っても変わらないはずです。しかし、世の中の仕組みや国際関係は日本の意図に反してどんどん変わっていくでしょう。その時、外交的に日本の存在感が薄れやしないか、ここは意識して頂きたいものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月23日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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