黒坂岳央です。
日本では人手不足が深刻化している。会社は黒字なのに人が来なくて会社をたたむケースすらある。それにもかかわらず、「氷河期世代は非正規雇用で苦しんでいる」という話は今も続いている。だが街中では外国人労働者をあちこちで見る。
これは何が起きているのか。結論から言えば、企業は氷河期世代より外国人労働者を求めているのだ。これだけ聞くと氷河期世代はもう救いがないように思えるが、言いたいのはそうではない。持論を述べたい。

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求められる外国人労働者
ホテル、飲食、観光、物流などでは外国人労働者が増えている。筆者は年に数回、リゾート地へ数週間規模の旅行へいくが、最近は5つ星ホテルでも外国人スタッフが多いと感じる。
彼らは確かに少し日本語が訛りはあるのだが、敬語もしっかり使いこなし、笑顔で対応してくれて物腰も柔らかい。そしてインバウンド観光の現場では、日本語に加えて英語や中国語などトリリンガルな外国人スタッフも珍しくない。
そして語学力について言えば、日本人の外国語話者より、外国人の日本語話者の方が多いという肌感覚がある。彼らの日本語力は非常に高く(というか、高い人を採用して接客させている)、中国語も英語も堪能ですぐにはやめないしお金を払えば残業もしてくれる。インバウンド需要で潤う企業からすれば外国人観光客は「補助」ではなく「メインプレーヤー」なのだ。
その他でも農業、コンビニ、建設現場などでも若い外国人労働者が活躍している。こうした企業が求めるのは「日本人」という属性ではなく、その仕事を引き受けてくれる労働者だ。若い外国人が観光業や飲食業などの求人に応募してくれるなら喜んで採用するだろう。
労働市場では、需要のある仕事に適応した人が採用される。それだけの話で差別でもなんでもない。企業からすれば「利益を出せる人かどうか」以外に見ていないのだ。
氷河期世代は事務職を希望する
未だ、氷河期世代が正社員職に苦労するという話があるのは、事務職を希望しているからだと筆者は見ている。
内閣府の調査によれば、就職氷河期世代が就職・転職する際に希望する職種として最も多いのは「事務職」で28.2%である。不本意非正規雇用者では33.4%に達する。ところが、一般事務は人手不足の代表的な職種ではない。2025年3月時点の一般事務の有効求人倍率は0.39倍であり、少ない枠に殺到して若い世代と戦っている氷河期世代も少なくない。
これは「仕事がない」というより、「求職者が供給過剰になっている仕事」に応募している状態だ。仮に採用されても代わりはいくらでも来るのだから、企業は昇給もしない。
就職氷河期世代の中には、若い頃から非正規雇用やサービス業などで働き続け、50代になって体力的な負担を避けたいと考える人も多い。だから彼らは「できれば事務職で正社員を」と考える。
その気持ちは理解できるが、労働市場は本人の事情だけでは動かない。50代の求職者が「体力を使わず、残業が少なく、安定した事務職」を希望しても、その求人を若い求職者や外国人労働者と奪い合う。企業も50代日本人より20代で日本語堪能で優秀な大学を出た外国人を希望するだろう。
正直いって、戦略を変えない限りはこれは努力ではなく徒労になりかねない。
人手不足の産業へいきなさい
筆者は以前、Abema Primeに出演してこの問題について「産業をずらせ」と提案した。
事務職に殺到して若い世代と競争するのではなく、人手不足になっている産業へ移ったほうがいいという話である。例えば観光産業だ。先程はインバウンド客の対応は外国人労働者がやっているといったが、色んな仕事がある。
ホテルでも、レストランでも、観光施設でも、中高年の日本人が普通に働いているし、山に行けば、ロープウェイの乗り降りを案内するスタッフがいる。テーマパークに行けば、来場者を案内する中高年のスタッフもいる。沖縄のジャングリアは高齢者の年代の人がパークで仕事をしていた姿をみた。
つまり、「50代だから仕事がない」のではなく、「50代でも採用されやすい仕事と、本人が希望する仕事が一致していない」と考えたほうがいい。人手不足で困っている会社へいけば採用してもらえるし、これは日本経済全体で見た場合も合理的な再配置となる。
◇
仕事は「やりたいこと」ではなく「求められていること」をするものである。筆者が今やっている仕事も自分がやりたいことをしても結果はついてこないと感じることが少なくない。
自分が気が進まなくても、世の中に求められていることをしなければ結果は出せない。それは氷河期世代の就活に置いても同じである。労働市場で重要なのは、「自分が何をしたいか」だけではなく、「市場が何に対してお金を払っているか」を考えるべきだ。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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