8月18日放送の『マツコの知らない世界』で、「結婚相手に求める年収は5000万円以上」と語った28歳女性が大きな話題になった。

『マツコの知らない世界』8月18日放送より
5000万円という数字だけ見れば、現実離れした「高望み」に映る。しかし、この発言は現代の非婚化・未婚化を考えるうえで、意外に本質的な問題を突いている。
年収5000万円の男性はほとんどいない
国税庁の「民間給与実態統計調査」を見ても、年収2500万円を超える給与所得者は全体の1%にも満たない。5000万円以上となれば、さらにごく一部だ。しかも高所得男性には既婚者や中高年も多い。
28歳前後で、独身で、結婚を希望し、さらに相性まで合う「年収5000万円男性」となると、婚活市場ではほとんど幻に近い存在だろう。
それでも本人が条件を下げなければならない理由はない。希望する男性が見つからなければ、結婚しないという選択肢があるからだ。
ここに令和の婚活の本質がある。
「結婚しなくても困らない」ことが婚活を変えた
かつて結婚は生活そのものだった。特に女性にとっては経済的自立が難しく、男性にとっても家庭を持つことが社会人として当然視された。
ところが現在は違う。女性も仕事を持ち、1人で暮らし、旅行や美容、趣味を楽しめる。結婚しなくても生活は成立する。
そうなれば結婚相手には「今より生活をよくしてくれること」が求められる。今の暮らしが70点なら、60点になる結婚をあえて選ぶ必要はない。
年収5000万円という条件は極端でも、「条件を下げるくらいなら独身でいい」という発想自体は特殊ではない。
男女で違う「独身の居心地」
ここで見落とせないのが、独身でいることの負担が男女で同じとは限らないことだ。
たとえば、同程度の学歴や所得の家庭に生まれても、恋愛市場では男女が違う評価を受けやすい。若い女性は美容やファッションを楽しみながら友人関係を築き、恋愛の機会にも比較的アクセスしやすい。一方、容姿やコミュニケーション能力で不利と見なされた男性は、ネット上で「チー牛」などと揶揄され、恋愛だけでなく社会的にも孤立感を抱きやすい。
もちろん、すべての女性が恋愛や結婚に恵まれ、すべての男性が苦戦するわけではない。しかし婚活市場では、男性に年収や職業といった「達成」が強く要求される一方、若い女性は存在自体が大きな評価要素になりやすいという非対称性がある。
男性側から見れば、「より上位の所得や社会的地位を獲得しなければ恋愛市場にすら参加できない」という感覚が生まれても不思議ではない。
「高望みする女性」で終わらせてはいけない
だから今回の話を「年収5000万円を求める女性がおかしい」で終わらせると、本質を見誤る。
女性側には「理想の男性がいなければ独身でいい」という選択肢があり、男性側には「一定以上の条件を備えなければ選ばれない」という圧力がある。この需給のミスマッチが大きくなるほど、結婚したい男女が存在していても結婚は成立しにくくなる。
現代の未婚化は、単なる貧困問題でも価値観の変化だけでもない。独身生活の快適さ、男女で異なる恋愛市場での評価、そして結婚相手に求める条件の上昇が重なった結果と見るべきだろう。
「年収5000万円」という発言は極端だ。しかし、その極端さゆえに、令和の結婚が抱える構造的な問題を鮮明に映し出しているのである。

最終的には結婚カウンセラーに説得され希望額を800万円に見直したインフルエンサー綾瀬りえさん 綾瀬さんインスタグラムより









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