天領日田の記憶を辿る:豆田町の町割りと建築を歩く

今年の夏季休暇は大分県を旅行しました。

先月の大地震で隣の熊本県は大きな被害を受けましたが、大分県ではその影響はなく、旅行に支障はありませんでした。

日田駅は特急ゆふいんの森号などのD&S列車のデザインを手がけた水戸岡氏のデザイン。駅前のシティサインはぼっち旅では完成しないデザインです(泣)

九州の中央部に位置し、九州一の大河、筑後川に繋がる三隈川が流れ、物流手段にも恵まれた日田市は江戸時代、交通の要衝として発展しました。主に隈(くま)、豆田町を中心に町が発展していき、隈地区は日田温泉の旅館が建つなどして町並みが変化していきましたが、豆田町は今も古い街並みが残され、多くの観光客が訪れています。

前述の通り交通の要衝だった日田は、1639(寛永16)年にいわゆる天領(幕府直轄地)に組み入れられ、日田陣屋(日田代官所)がおかれました。1759(宝暦9)年には九州の天領を統括する郡代がおかれて、日田は九州の政治経済の中心地となり繁栄を極めていきます。幕藩体制が終わった明治以降はその地位を失い、林業を中心とした都市に再生していきました。

日田駅から1.5キロほど歩いて豆田町の付近までやってきました。九州の内陸に位置する日田は九州で最も暑い町として知られています。この日も暑かったんですが、台風が奄美地方にいたこともあってか34℃程度でそこまで暑さを感じませんでした。34℃って結構暑いんですけどね。40℃に耐えた名古屋人にとってはこの程度は何てことはありません。

上の水路は中城河岸とよばれる港があった場所の跡。ここから年貢米を蔵のあった場所まで運んでいました。そのためこの地域は今でも港町という行政区画名となり歴史を今に伝えています。

港町を過ぎればいよいよ豆田町の古い街並みが現れます。豆田町はこの御幸通りと上町(うわまち)通りが南北に走り、その2つの道路を結ぶ路地が何本かある梯子状の造りになっています。

御幸通りの入り口に立つ大きな屋敷は草野本家。江戸時代初期にここに居を構え、蝋や酒を造って財を成してきました。明治以降も金融業などを営み地域の中心的な役割を果たしています。

古い街並みの中に、洋風モダンな建物もちらほら見られます。地方の古い街並みを歩くとこういう光景をよく目にするのですが、だいたい病院であることが多いです。こちらは旧古賀医院。今は豆田まちづくり歴史交流館となっています。

モダンな建物は御幸通りから住吉町の通りに入ったこちらにもあります。大正3年に建てられた3階建て洋風建築の旧船津歯科。こちらは歯科医院だった頃の展示も多くされています。

町を歩いていると、このようなマンガの看板を目にします。日田市は「進撃の巨人」の作者、諌山創さんの出身地であることから、タイアップした看板が多く掲げられており、進撃の巨人ファンを喜ばせているのです。日田市郊外には「進撃の巨人」ミュージアムもありますよ。

さて、町を歩いていたらさすがに暑くて喉が渇きました……おやおや?町の一角にいかにもお酒を造っていそうなレンガ煙突が見えますね。

日田の地酒、薫長さんの酒蔵。酒の販売のほか、試飲もできるようなので、ここで一休みします。

こちらの唎酒セットは1200円。季節のおすすめは本醸造辛口。切れ味よくてさっぱりするので夏は辛い方がいいですね。金山寺味噌をつまみに地元の酒を頂きましたが、おちょこというよりは小ぶりの湯飲みサイズの器で3杯も飲むと結構いい気分になってしまいました。ごちそうさまでした。

酒蔵の一角に故真屋順子さんがイメージガールを務めた薫長さんの広告がありました。真屋さんは高校時代まで日田市で育っています。水曜の欽どこは毎週見てました。地元企業のPRにも貢献しておられたんですね。

上町通りのなかでひときわ目立つのが木造三階建ての岩尾薬舗。江戸時代に開業した九州最古の薬屋で今も現役です。明治時代に日本丸(にほんがん)という万能薬を販売し大ヒットしました。今もある正露丸のようなものでしょうか。春と秋には日本丸や日本の薬の歴史展示する展示室も見ることができるそうですが、夏は閉館中。残念でした。

木造の庇が伸びる独特のアーケード。

いや、そうなんだけどもう少し涼しい気持ちになるのが欲しかった…。

日田まぶしで有名なうなうなぎの名店、千屋。

観光客向けの商店だけでなく地元の方向けの商店や塾も時代を感じさせる建物が多く残る日田市豆田町。ほかにもうなぎの名店など立ち寄りたいスポットが多く集まる魅力的な歴史保存地区でした。かつて九州の要衝として栄えた町を是非一度訪ねてみてもらいたいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年8月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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