企業の資金調達手法の一つに、メザニンの発行がある。メザニンは、資本と負債の中間にあるから、メザニンの投資家は、株式の投資家よりも上位にあって優越し、負債における債権者よりも下位にあって劣後するわけである。
メザニンが投資対象としての価値をもつためには、その設計に経済合理性がなくてはならない。つまり、何かの権利において優先すれば、その優先権を得る費用が発生していて、逆に、何かの権利において劣後すれば、その補償としての利益が発生していなければならないのである。しかし、この経済合理性に関する判断は、必ずしも簡単ではない。

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この点について、例えば、優先株式を普通株式と比較したとき、議決権を失うことの対価として、どのような内容の配当に関する優先権を得るのが合理的なのか、劣後ローンを普通のローンと比較したとき、どの程度の金利の上乗せがあれば、劣後性が顕在化したときの期待損失と均衡するのかなど、具体例を考えてみれば、わかるであろう。
メザニンは、発行体のおかれた資本不足の特異な状況に応じて、合理的に設計されなくてはならず、その設計には、投資運用業者の高度な専門的知見と経験が要求される。特に、決定的に重要なのは、資本不足が解消していく道筋の想定と、その想定のもとでの投資回収の戦略である。
例えば、業況の自然な回復によって、銀行等から融資が受けられる状況になった段階で、借り換えによってメザニンの償還がなされるとか、資産売却による売却益によって資本不足が解消されると同時に、その売却代金によってメザニンの償還がなされるとか、様々に異なる想定がなされ得るということである。
企業が常態で活動しているとき、優先株式には、配当に関して普通株式に優先していることの意味があるものの、劣後ローンには、普通のローンに劣後していることの意味はない。実は、多くの場合、優先劣後関係が現実的な意味をもつのは、発行体企業が経営破綻し、何らかの法的手続きに移行したときなのである。
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森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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