黒坂岳央です。
最近、旅行をすると観光地でインバウンド向けの店舗をよく見るようになった。現在の日本では日本人向けの店と、インバウンド客向けの店が別の経済圏として分かれ始めている。たまにインバウンド向けの飲食店へ行くと本当に「別次元の価格」に度肝を抜かれることがある。
正直、インバウンド飲食店に日本人は行かないほうがいいし、店舗側も外国人以外を想定しないと思っている。

日本の中の「外国」
筆者は以前、北海道のニセコを観光した。宿泊した外資系のホテル内はスタッフも宿泊者も外国人しかいない。店員によっては、こちらが日本語で話しかけても英語で返ってくる。
そしてレストランでは普通のうどん1杯が3,000円。ポテトサラダが2,000円である。日本人の日常的な感覚からすれば、かなり高い。宿泊した部屋に、分厚い英語の冊子が置かれ、ニセコのラグジュアリーな物件を紹介されていた。ページをめくってみると、3億、中には5億円の物件もある。冊子は英語で書かれており、少なくとも日本人の日常的な住宅購入を想定した商品ではないことは明らかだった。
また先月、旅行でタクシーに乗った際、運転手に「最近どうですか」と聞いてみた。やはり話題になったのはインバウンドであった。「正直、バブルです」と返ってきた。面白かったので話を聞いた。
外国人観光客は、タクシーを使って観光。しかも、単なる駅とホテルの往復ではなく、長距離を移動するそうなのだ。運転手から聞いた話では、応援業務で長野県に行った際、成田から長野まで外国人客を乗せ、往復60万円を支払った欧州人がいたという。
日本人の日常生活では、タクシーに60万円を払う人など皆無である。レンタカーや新幹線を使わず、オールタクシーという外国人がいるのだ。これは極端な例かもしれないが、総じて遠距離で高額支払いをしてくれる外国人は多いといっていた。
沖縄で「50分10万円」のアクティビティ
筆者が沖縄で宿泊したマリオットボンヴォイに加盟しているホテルでは、スイートルームに2連泊した客だけが申し込める特別なアクティビティがあった。だが半年くらい前からスイートルームから順に部屋は埋まりつつあった。おそらく利用者は外国人だろう。
自分が子供と参加したアクティビティは貸し切りプランだったのもあって「50分で10万円」だった。参加者には外国人が多いようだ。
筆者自身も宿泊やアクティビティなどを利用し、このホテルに支払った金額は54万円。冷静に考えるとかなりの高額である。おそらく外国人の利用者を想定しての価格だ。
自分にとっては「結構いったな」と感じるが、円安を味方に出来る外国人にとっては「コスパがいい」と見えているだろう。
外国人には「安い日本」
ここまで見てくると、日本人が感じる違和感の正体が見えてくる。同じ日本に二つの価格感覚が存在しているのである。
ハッキリいって日本人がインバウンド店にいくメリットはほぼないだろう。何度か派手さにつられて利用してみたが、日本人向けの普通の店と味も接客もそこまで変わらない。
先日、寿司屋にもいってみたが、ご飯に古代米を使っていたり地元の珍しい魚を使っているということで、店内は自分たち以外には欧米系の外国人利用者しかおらず、大将に「Oishi!!」「Arigato!!」といっていた。自分は正直、普通の店との大きな違いがわからなかった。だが、値段は普通の店の数倍は高い。ここもインバウンド向けである。
インバウンド店は、料理そのものに加えて「日本に来た」という体験、「外国語で注文できる安心感」、「観光地という立地」、「SNS映え」などに価格が乗っているので、日本人がそこにコストを払うのは合理的ではないのだ。
◇
インバウンド店へ行くなというと、外国人嫌いの人は「日本が乗っ取られる!」と感じるかもしれないが、自分はむしろ逆で外国人が高い金を払ってくれるなら、外国人向けのサービスは外国人向けに提供して日本経済をまわすべき、ということだ。
納税を通じて社会全体でメリットを享受できるし、わずかながら円安を食い止める力もある。それならガンガンお金を使ってもらえばいい。
だが日本人はそこに付き合う必要はない。少なくとも自分はもうインバウンド店は積極的に行こうとは思えないし、仲のいい人にはおすすめしない。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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