高島宗一郎 福岡市長にみる「組織の新陳代謝」

福岡市の高島宗一郎市長が11月の市長選に出ないと表明しました。現在4期目であり、氏の人気は高いので出れば再選の公算は高かったと思いますが、あえて市長の座を16年で降りると決めたことに「ご立派!」と申し上げます。私からしたら16年も長いと思いますが、一つの街を変えていくには10年単位であり、氏の福岡市改革路線は全くご縁のない地でありながら素晴らしい成果を上げてきたと思い遠くから眺めておりました。

福岡市の高島宗一郎市長インスタグラムより

その高島氏は「『首長という立場は、予算も、人事も、多くの権限が一人に集まる特別な立場』とした上で、『同じ人間が長く続けることには、慎重でなければならないと思っています』(産経)と述べています。人は権力の座に胡坐をかきやすい、これは誰も否定しないでしょう。苦労してトップに上り詰めたらしがみつくような人もいるわけです。同じ福岡でも県議会のほうは大荒れでしたが、ドンと称される蔵内勇夫議長はそれまでの発言に反して辞任を表明したのは多分、某国会議員の圧力があったのだと思います。トップに立つと何が楽しいのか、といえばオーケストラの指揮者の如く自らのタクトで振り回せると考えるわけです。これはもちろん大間違いで、指揮者はタクトでハーモナイズ(調和させる)ことが重要なのですが、独善的になりやすいのです。

私は長年NPOの理事をしており、5年ほど前には会長職をお引き受けしました。但し、2年であっさり下ろさせて頂いたのもまた事実です。理由はこの組織には若い人たちがどんどん入会し、極めて新陳代謝の高い組織であったために私との年齢差が感性的なコミュニケーションをするうえで難しくなると考え、ある程度の勢いがあるところで後任にバトンタッチするのが妥当と考えたからです。

現在は更に一歩引いて理事であるものの私が出来ることだけに関与を留めています。その代わり、今週、ある別の団体に入会申請書を提出させて頂きました。この年齢になって全くご縁のなかった団体でゼロスタートを切ってみたいと思ったのです。その団体のことは昔から知っていたものの、ご縁はないだろうと思っていたのですが、たまたまお誘いがあり、その団体側から「あなたのような方こそ会員として求められる」と踊らされ、これもまた新風かな、と思い、入会を決意したのです。

組織の新陳代謝は重要であり、長すぎてもいけないのですが、短すぎてもいけないと思います。たとえば日本の首相は1年ごとに変わると言われてきました。1年だと正直何もできないのです。というのは政権運営は予算縛りのところがあり、どうしても前政権の流れを継いで運営しているので、新年度の予算成立までは個性を全面的に出すのは難しくなります。となるとそれまではどうしても外交などがポイントゲットの対象になりやすくなるのです。私が中立的な目線で考えれば首相は3-4年程度出来るしっかりしたビジョンとバランス感覚をもつ人がなるべきだと思っています。それ以上の任期は必要ないと思います。人間は与えられたポジションに必ず甘えるからであり、また首相という激務を長期間やり続けるのは普通に仕事をするなら体力的に難しいと考えるからです。

新陳代謝のもう一つの意味は社会の変化対応です。我々の日々の生活ではこの1-2年だけを見ても激変しています。例えば私の知る人は多くが「チャッピー漬け」になっているのです。一昔、SNS漬けが流行ったのですが、今はチャットGPTあるいはそれに準ずるAIとのやり取りを延々とやる人が想定以上に多いのです。「チャッピー漬け」の問題点は①友達とのリアルSNSを避けたり、その時間が激減する ②自分のことをさらけ出せる「親友効果」があり、チャッピーのいうことを全面的に信じてしまうことでリアル社会と乖離が生じることがあるのです。

たとえばチャッピーに恋愛相談や夫婦関係の問題をする人はものすごく多いのですが、相方の言動をチャッピーに伝え、自分の考えを示すとまるで恋愛相談、人生相談となり、一定の結論を導きだされてしまうのです。きっとチャッピー離縁が今後続出するのでしょう。「私、あなたと別れるわ」「えぇ、何故だ!」「だってチャッピーがそう言ったんだもん」と。

こういう時代には人間力がある人がリーダーには求められるのです。この辺りの変化を社会が認識する前に組織が変化を先取りすることでその組織は新しい時代対応が出来るとも言えないでしょうか?

会社組織でも同様です。日経ビジネスなどにはよく社長談話やインタビューが出ているのですが、読んでいて時代のずれを感じる社長さんはいます。私も「昭和のおっさん」であるので最近は極力昔話はしないことにしています。そして後任を育て、自分は違うチャレンジをすることを強く意識しています。私は社長業なんてさっさと辞めて、違うことでリーダーシップへのチャレンジをしたいのです。ただ極小零細企業なのでそう簡単に投げ出しも出来ず、何年もかけて準備をさせて頂いているというのが実情であります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月27日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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