東京都は8月24日、NPO法人「再チャレンジ東京」が自殺対策事業をめぐり虚偽の実績報告を行ったとして、2018~2024年度の補助金4893万9000円の交付決定を取り消した。すでに支払われた3779万3000円について返還を請求しているが、法人は破産、解散しており、回収は困難とみられる。
今回の問題は、一つのNPOによる不正だけではない。約7年間にわたり虚偽申請を見抜けなかった東京都の補助金行政にも厳しい目が向けられている。

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「62日間開催」が実際にはゼロ回
不正の内容は深刻だ。
法人は、実際には支払っていない講師や審査員への謝礼を架空計上し、領収書の金額を水増しするなどしていた。
さらに、自殺防止を目的とした個別相談について「62日間開催した」と報告していたにもかかわらず、都が相談員に確認したところ、実際には一度も開かれていなかったことが判明した。
2025年1月に都職員が事業を視察し、説明と実態の食い違いに気付いたことが発覚の端緒となった。裏を返せば、それまで書類上の報告が長期間通り続けていたことになる。
東京都は7年間、何を審査していたのか
最大の責任が虚偽申請を行った法人側にあることは言うまでもない。しかし2018年度から複数年にわたり同様の申請が認められていた以上、東京都の審査や監査にも大きな穴があったと言わざるを得ない。
福祉や自殺対策では、行政がNPOなどに事業を委ねるケースが多い。だが、実績確認を報告書や領収書に頼れば、書類を偽造する事業者による不正を見抜くのは難しい。
数千万円規模の公金を支出するなら、抜き打ちの現地視察、講師や相談員への直接確認、領収書発行元への照会などが必要だ。東京都は今後、現地確認を強化するとしているが、「なぜ最初からやっていなかったのか」という疑問は残る。
「意義のあるNPOもある」では済まされない
今回の問題を受け、NPOへの補助金そのものを見直すべきだとの声もある。
もちろん社会的に意義のあるNPOも存在する。しかし問題は個々の団体の善悪ではない。騙そうと思えば騙せる余地がある制度そのものだ。
行政が必要と判断する事業についても、成果を第三者が確認できる委託方式や厳格な監査に切り替えるべきだろう。必要性や成果を確認できない補助金は廃止し、その分を減税で納税者に返すという選択肢もある。
3779万円の不正受給、責任追及は
ネット上では、「コンビニで10万円を盗めば逮捕されるのに、3779万円もの公金を不正受給してもなぜ逮捕されないのか」との疑問も出ている。
逮捕は被害額だけで決まるものではなく、犯罪の嫌疑や証拠、逃亡・証拠隠滅のおそれなどを踏まえて判断される。東京都は警視庁に相談しており、刑事責任については今後の捜査に委ねられる。
ただ、法人が破産・解散したから終わりではない。誰が虚偽申請や領収書偽造に関与したのか、東京都はなぜ約7年間も見抜けなかったのか。その双方を検証する必要がある。
約3800万円は行政のお金ではなく、都民の税金だ。「不正が発覚したが、破産したので回収できません」では納税者は納得できない。
今回問われているのは一つのNPOのモラルではない。善意を前提に公金を配り、紙の報告書で確認する補助金行政そのものの限界である。













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