大阪市の市税事務所で、税務システムを熟知した職員が、その知識と権限を自らの利益のために利用する不祥事がまた発覚した。
大阪市は8月24日付で、あべの市税事務所に勤務する58歳の男性事務職員を懲戒免職処分とした。男性は自身の税情報を書き換え、意図的に「税金を払い過ぎた状態」を作り出して還付金を受け取っていた。

大阪市役所本庁舎 Loco3/iStock
「小遣い」のために税務システムを悪用
男性職員は2023年6月、自身の税情報にアクセスし、本来適用される控除を取り消して市民税額を増額。翌年5月、別の職員に控除情報を再入力させて税額を本来の状態に戻し、「過払い」を発生させて9万9000円の還付金を現金で受け取った。
男性は「あとで現金で還付を受け、小遣いにしようと思った」などと説明しているという。最終的には本来の税額と相殺され、税金そのものに過不足は生じなかった。
しかし、問題は9万9000円という金額ではない。男性は税額変更通知書が自宅に届くのを避けるため、送付先情報も変更。自身の税情報を約400回閲覧し、業務上必要がない他の職員の税情報も少なくとも16回閲覧していたという。
なぜ「400回」も見逃されたのか
最大の問題は、こうした不自然な操作が繰り返されながら、長期間発見されなかったことだ。
自分自身の課税情報への大量アクセスや税額変更、送付先変更は、通常の業務とは明らかに異なる。にもかかわらず、システム上で警告が出ることも、上司の確認が入ることもなかったとすれば、内部統制に重大な欠陥があったと言わざるを得ない。
職員本人の税情報は本人が変更できないようにする、変更には複数職員の承認を必要とするなど、本来なら不正を前提とした仕組みが必要だったはずだ。
国税庁でも懲戒処分は毎年数十人
税務職員の不祥事は今回に限らない。2022年には東京国税局鶴見税務署の現職職員が、持続化給付金の不正受給事件に関与したとして逮捕された。税務の専門知識を持つ職員が、虚偽の確定申告書作成に関与したとされ、大きな問題となった。
人事院によると、国税庁で懲戒処分を受けた職員は2024年に43人、2025年にも37人に上る。すべてが金銭的不正ではなく、職員数も多いため単純な評価はできないが、強大な徴税権限を持つ組織だけに高い倫理性が求められる。
納税者に厳しく、自分たちには甘くないか
国税庁は不正還付などについて厳しい税務調査を行い、悪質なケースでは刑事告発も行っている。それは当然である。だからこそ、税務署や国税局、市税事務所の職員には、納税者以上に厳格な法令順守が求められる。
税金は国民が任意に支払うものではない。国家や自治体が強制力をもって徴収する。その制度を支えているのは、「徴税する側はルールを守っている」という国民の信頼だ。
今回問われているのは9万9000円ではない。納税者には1円単位まで申告と納税を求める税務行政が、自らに対しても同じ厳しさを課しているのか。その姿勢が問われている。








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