日本の総所得は多いのか? 第1次所得バランス(総)の国際比較

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この記事では、第1次所得バランス(総)の国際比較についてご紹介します。

1. 第1次所得バランスとは?

私たちの経済活動を網羅的に集計した体系が国民経済計算SNA:System of National Accounts)です。

SNAでは、付加価値の生産を起点として、その後の私たちの経済活動が整理され、統計データとして集計されています。

仕事を通じて加えられた金額的価値が付加価値ですが、国内の付加価値を全て合計したのが国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)です。

GDPは生産に寄与した部門それぞれに分配されます。

その後、付加価値生産の伴わない財産所得が足し引き去れ、再分配前の総所得となるのが第1次所得バランスとなります。

この中から、再分配が行われ、消費・貯蓄や投資・資金調達へと繋がっていく非常に重要な指標となります。

今回はまず、1国全体の第1次所得バランス(総)についてご紹介します。

ここから固定資産の維持費用である固定資本減耗を差し引いたのが第1次所得バランス(純)となりますが、こちらについては別の機会にご紹介します。

また、厳密には雇用者報酬の海外からの純受取も加わるのですが、こちらも別の機会にご紹介します。

図1 第1次所得の配分勘定 日本
国民経済計算より

日本の第1次所得バランス(総)は、GDPの合計値とほぼ同程度で推移してきましたが、近年ではGDPをやや上回っています。

国内部門同士の財産所得は相殺しますので一国全体で見た場合の財産所得の純受取額は、海外とのやり取り分となります。

日本は対外直接投資が超過している分もあり、海外からの所得(第1次所得収支)が増えていて第1次所得バランスが拡大しています。

このような推移を踏まえた上で、国際比較していきましょう。

2. 1人あたりの推移

まずは、人口1人あたりのドル換算値で、日本の第1次所得バランス(総)の水準を国際比較してみます。

図2 第1次所得バランス(総) 1人あたり
OECD Data Explorerより

図2が主要先進国の人口1人あたりです。

1人あたりGDPと同様に日本は1990年代に高い水準に達した後、横ばい傾向が続いています。

近年まではフランスやイギリス、カナダと同程度でしたが2022年度以降は円安の影響もあり水準が低下しています。

2023年にはイタリア、2024年には韓国に抜かれています。

基本的には第1次所得バランス≒GDPなのでGDPベースの購買力平価でドル換算しても良いのですが、本来の購買力平価の使い方から外れてしまうので今回は省略しています。

3. 1人あたりの国際比較

つづいて、人口1人あたりの水準について最新のデータで国際比較してみいましょう。

図3 第1次所得バランス(総) 1人あたり 2024年
OECD Data Explorerより

図3が2024年の国際比較です。

日本は35,818ドルで、OECD32か国中19位と、やや低い水準となっています。

スペインやスロベニアとの差もかなり小さいようです。

日本では国内での付加価値が停滞してきた代わりに、海外からの所得が増えてきました。

他国では対外直接投資が双方向的な事もあり、海外との所得の純受取は日本ほど多くありません。

それでも第1次所得バランスで見ると日本の水準は相対的に低い事になります。

4. 対GDP比の推移

続いて、国内で生み出された付加価値の合計であるGDPとの比率でも国際比較していきましょう。

まずは主要先進国の推移からみていきます。

図4 第1次所得バランス(総) 対GDP比
OECD Data Explorerより

図4が第1次所得バランス(総)対GDP比の推移です。

日本は1994年から急激に大きくなるのですが、これは1993年までは別の基準(1993SNA)のデータのためです。

1993SNAでは考慮されていない項目があったため、当時の水準が小さくなっていた事がわかります。

日本は上昇傾向が続いていて、近年では主要先進国で最も高い水準となっています。

日本同様に対外直接投資が超過しているドイツも高い水準です。

近年のアメリカが低下傾向なのも興味深いですが、金額水準では上昇傾向ですので、財産所得の拡大よりもGDPの拡大の方が大きいと捉えた方が良さそうですね。

5. 対GDP比の国際比較

最後に第1次所得バランス(総)対GDP比の国際比較です。

図5 第1次所得バランス(総) 対GDP比 2024年
OECD Data Explorerより

図5が第1次所得バランス(総)対GDP比について、2024年の比較グラフです。

先進国の中では日本105.8%と最も高く、ドイツ、フランス、韓国も高い水準である事がわかります。

対内直接投資が超過しているアメリカが100%を切っているのが特徴的ですね。

また、アイルランドとルクセンブルクが非常に小さな水準です。

国内で生み出される付加価値に対して、海外への所得支払が大きく超過している事になります。

ルクセンブルクの場合は、越境労働者が多く、その給与(雇用者報酬)の支払が大きく超過していると言われています。

アイルランドは、海外からの投資(タックスヘイブンによる節税目的なども含む)が多く、その支払が多い事が指摘されていますね。

6. 第1次所得バランス(総)の特徴

今回は、一国全体の総所得となる第1次所得バランス(総)について国際比較をご紹介しました。

日本は対外直接投資が多く、対内直接投資が少ないので、海外から受け取る財産所得が大きく懲戒知るため、第1次所得バランスも嵩上げされている状況です。

一国全体の第1次所得バランスは、国民総所得(GNI)と同じものになります。

次回からは部門ごとの第1次所得バランスについてご紹介していく予定です。

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編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年9月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

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