来年3月からOTC類似薬に1/4追加負担:湿布薬に保険が必要なの?

政府はOTC類似薬(市販薬とほぼ同じ)の保険給付を見直します。まず77成分、約1100品目を対象に、2027年3月から従来の自己負担に加えて薬剤費の4分の1に相当する特別の料金を徴収することになりました。

OTC類似薬(テレビ朝日)

対象になるのは鼻炎、胃痛、痛み止め、肩こり、風邪症状など、日常的な症状に使われる薬です。厚労省の例では、3割負担の湿布薬5日分は45円から72円、抗アレルギー薬30日分は540円から855円になります。

薬をもらうために病院に行く悪習

これに対して保団連(共産党系)などが「追加負担は貧困層をいじめるものだ」と反対していますが、たとえば市販薬を自分で買えば1000円払うところを、病院を受診して同種の薬を処方してもらえば、薬剤費の大部分を健康保険で負担します。

ドラッグストアで自費購入する人と病院で処方してもらう人で、負担に大きな差が生まれるのは不自然です。健康保険は本来、個人では負担することが難しい病気やけがのリスクを社会全体で分担する仕組みです。数百円、数千円で購入できる日常的な薬まで保険で広く補助する必要があるのでしょうか。

病院に行かせることが医師会のねらい

日本医師会はOTC類似薬の保険外しに反対しています。自己判断によって受診が遅れたり、患者負担の増加によって受診控えが起きたりする可能性があり、軽い症状に見えても、診察によって重大な病気が発見されることがあるという主張です。(日本医師会)

そんな可能性を心配していたら、すべての人が風邪を引いたら、すぐ医者にいかないといけない。そんなことをしたら、開業医は風邪の患者であふれ、重症患者が診られなくなるでしょう。

それが医師会のねらいなのです。OTC類似薬を単に保険からはずせばいいのに、自己負担を増やしてでも保険適用を続ける。それによって初診料や再診料や処方料を取る。自己負担は数千円ですが、開業医には1万円近く入ります。要するに開業医に来る回数を減らしたくないのです。

保険は「何でも安く買える制度」ではない

政府も、こども、がん・難病患者、低所得者、入院患者、長期使用が医学的に必要な患者などには配慮措置を検討しています。こうした例外は必要ですが、例外を設けることと、OTC類似薬を一般的に保険給付することは別です。

今回の政府案は、OTC類似薬を保険から外すのではなく、薬剤費の4分の1を追加負担させる穏当な制度です。それでも一歩前進ではありますが、本質的な問題は4分の1か2分の1かではありません。

ドラッグストアで安全に購入でき、家計で十分負担できる薬まで、社会保険料を使って安く提供する必要があるのか。社会保障の重い負担が問題になっている今、そこから議論したほうがよいのではないでしょうか。

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