黒坂岳央です。
少子化が叫ばれて久しいが、結婚数の激減だけでなく「出生数そのもの」も大きな問題になっている。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、子育て世帯のうち「子ども1人」の世帯が初めて5割を超えた。1986年の調査開始以来、初めてのことである。母親の就労率も81.2%と過去最多を記録した。
特に東京は突出して出生率が低く、2025年の東京都の合計特殊出生率は0.96で、子ども1人世帯の比率も高い。
筆者は東京は「半強制的な一人っ子社会」になっていると思っている。持論を述べたい。

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東京に住むと半強制的に一人っ子に
東京では「2人目の壁」が高く立ちはだかる。これにはマンション価格の高騰による住宅の狭さが原因だとされる事が多い。だが本質はそこではないと思っている。
別の調査では、2人目に後ろ向きな世帯のボトルネックは所得水準ではなく、睡眠不足や体力的負担といった主観的な辛さにあるという結果が出ている。金でも部屋の広さでもなく、時間と体力の問題だということだ。これは筆者自身の経験とも完全に一致する。
筆者は東京で正社員をしていた頃、1DKで一人目の子どもを迎えた。近隣の住人に妊娠中にあらかじめ出産を伝えたところ、「それは素晴らしい。いいよいいよ、多少の騒音は気にしないで」とありがたい快諾も得ていた。
実際、生まれた後も苦情が来ることはなかった。だが持たなかったのは相手ではなく、自分たちの側だった。我が子の連日の夜泣きの凄まじさに耐えられず、事前に伝えていたとはいえ、近所迷惑を想像すると耐えられなかった。そのため、すぐに引っ越すことになった。問題はここからで、騒音を気にせず育児をするために引っ越し先は職場からかなり遠くなった。
子ども1人ならまだしも、部屋数を確保しようとすれば都心から離れざるを得ず、そうなれば通勤時間が伸びてフルタイム勤務との両立が崩れる。
東京で子育てをするということは、住宅の狭さと通勤時間という二重の制約がある。「子供は一人が限界」となりやすい。これは個人の努力や覚悟の問題ではなく、都市構造そのものが1人っ子を強制している。
育児はお金より時間が最大のネック
育児で問題とされるのはお金だと言われがちだが、筆者の肌感覚だと圧倒的に「時間」だ。
乳児期を過ぎてハイハイができるようになったと思えば、突然予告なくつかまり立ちが始まる。そうなると床に物を置けなくなり、24時間体制での監視になる。昨日まで通用していた対策が今日には通用しない。局面は毎日変わり、こうなると目を離せる時間はほぼゼロになる。
筆者は独立した後、仕事が落ち着いてほぼ無職に近いフリーな期間があったが、その間ですら育児にかかりきりになった。これで出社が必要なフルタイム労働は無理ゲーである。必要なのはお金ではない。子供を24時間見続ける母親の労働力、つまりは時間だ。
妻の仕事を救ったのはリモートワーク
筆者の妻が仕事を続けられたのは、自社法人でリモートワークが出来たからだ。
これがもしも通勤が必須の職場であれば、引っ越しによる通勤時間の増大の時点で退職は避けられなかった。その後、東京を離れて熊本へ移住した。その際に妻の両親の助けも大きかったが、それは「あれば楽になる」という位置づけであり、必須条件ではなかった。リモートワークという働き方そのものが、時間の融通を利かせる唯一の実効的な手段だったということである。
一方で、この解決策が誰にでも使えるわけではない。筆者の知人に東京在住の女性医師がいる。出産後、「地元に帰りたい」ともらしている。理由は単純で、東京では育てるのがきついということに尽きる。一人生むだけで大変なのだから、二人目、三人目など望むべくもない。
医療職はリモートワークが原則不可能な職種の典型である。こうした職種にとっては、東京在住を続けること自体が難しい。東京は育児をするのに向いていない。
出産女性を救うのは女性はリモートワーク
筆者は出産を望む女性は、リモートワーク前提でキャリアを考えるのがいいと思っている。
自分自身、1日の半分は仕事、もう半分は育児や家事をしているが仕事は100%リモートワークでずっと家にいるのでなんとかなっている。毎日子どもの勉強をみたり、習い事の送迎、学校での授業参観に出る。
これがフルタイム出社となれば、確実に時間の90%仕事となり、残り10%で育児だ。これで子供を複数持つことは考えられない。
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少子化対策の議論は「お金を配るか、住宅を広くするか」の二択に終始しがちだが、それは本質を外している。本丸は時間の融通であり、それを個人の裁量で確保できる唯一の手段がリモートワークである。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)






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