中道は来年も「受け子」1人を残して17億円? 幽霊政党の錬金術

中道改革連合が「幽霊政党」になろうとしている。中道は9月9日、立憲民主党出身議員が新党を結成し、公明党出身議員が公明党に戻る「分派」を決めた。所属議員のほとんどが出ていく。

しかし党そのものは解散しない。国会議員をたった1人だけ残し、看板だけは維持するという。人はいなくなる。政策集団としての実体もなくなる。それでも法人格だけは残す。なぜそんな奇妙なことをするのか。理由は政党交付金である。

産経新聞

まず今年の11.7億円を受け取る

中道に対する2026年の政党交付金は約23億4000万円。このうち半分はすでに交付され、10月と12月には残り約11億7000万円が支給される予定だ。中道側は、2月の衆院選で発生した印刷費や広報費などの未払い債務があり、それを清算する必要があるため、すぐには解党できないと説明している。

つまり「借金を返すために党を残す」という話である。ここだけ聞けば、まだ理屈は分からなくもない。ところが話はそこで終わらない。中道が2027年1月1日を越えて存続すれば、来年度も政党交付金を受け取れる可能性がある。

自民党の浅尾慶一郎氏が総務省に確認した額として報じられている試算では、その額は約17億円だという。今年の11億7000万円を受け取って店じまいするどころか、来年になるとさらに17億円が降ってくる可能性があるのだ。

「受け子」1人を残せば17億円?

なぜ国会議員が1人しかいない政党に17億円もの政党交付金が出るのか。政党助成法では、国会議員5人以上という要件だけでなく、国会議員が1人以上いて、直近の国政選挙などで得票率2%以上という条件を満たせば、政党交付金の対象になる。しかも交付額は、現在の所属議員数だけで決まるわけではない。過去の選挙で得た票も計算に使われる。

つまり、議員がほとんど脱出しても、「受け子」を1人だけ置いておけば、過去に集めた票が現金を生み続ける。選挙で有権者が投じた票が、党が空中分解した後もなお、毎年何億円もの税金に換金されるのである。政治資金版のポイント還元制度とでもいうべきだろうか。しかもポイントに有効期限はないらしい。

看板だけ残せば税金が入るという珍商売

普通の会社なら、従業員がほぼ全員退職し、事業も停止し、取締役が1人残っているだけなら、もはや休眠会社である。

ところが政党の場合は違う。国会議員が1人いて、過去の選挙実績さえあれば、毎年巨額の公金を受け取れる可能性がある。商品を売る必要もない。サービスを提供する必要もない。選挙を戦う必要すらない。ただ「政党です」と名乗って看板を掛けておけばいい。こんなに利益率の高いビジネスはなかなかない。

もちろん政党交付金は利益ではない。しかし国民から見れば、自分たちの税金が、実体のほぼ消えた政党に流れ込むという点では同じことだ。法的に可能だから問題ない、という話でもない。政治家が制度の穴を最大限利用する姿を見せておいて、国民には「政治への信頼を」と説教しても説得力はない。

「清算」が終わらないほどお得になる怪

中道側は「清算完了後に最終的な組織整理を行う」としている。ならば簡単な話だ。今年の政党交付金で債務を返したら、いつ解散するのかを明言すればいい。ところが年をまたげば、今度は約17億円の交付金が見えてくる。

17億円を受け取れば、今度はその17億円の使途を整理しなければならない。整理しているうちに、また翌年が来る。これでは「清算のために政党を残す」のか、「政党交付金をもらうために清算を終わらせない」のか、だんだん分からなくなる。政党交付金が政党を延命し、延命した政党がまた政党交付金を受け取る。見事な永久機関である。

中道改革連合は今年1月に結党されたばかりだ。それが8カ月ほどで事実上、空中分解した。有権者からすれば「いったい何だったのか」という政党だが、政党交付金の世界では話が違う。議員1人だけを残して看板を維持すれば、来年も億単位の税金を受け取れる可能性がある。もはや政党ではなく「政党交付金受取法人」である。

中道改革連合のキャッチフレーズは「暮らしが、先だ。」だった。しかし、党が消えても交付金だけはしっかり受け取るというなら、看板を書き換えたほうが正確だろう。「交付金が、先だ。」あるいはもっと端的に、「1人残れば、17億円。」これほど政党助成制度の問題点を分かりやすく示してくれる政党も珍しい。

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