壊れた日中関係、侮れない中国とどう向き合うか?

中国について語る時、残念ながら一部の方は非常に強い感情を伴う認識があり、条件反射的に「反対!」「不同意!」「左派的思想!」と断じる方がいらっしゃいます。では「トランプのアメリカ万歳!」といえばよいのでしょうか?アメリカも中国も、そして日本も欧州もどの国も完璧などないのです。どの国もそれぞれ頭痛の種のような問題を多く抱えていますが、一方で、学ぶべき点が数多くあることもまた事実であります。更にそれを外から見るか、国民として中から見るかによっても全く違った意識になります。

トランプ大統領と習近平国家主席 ホワイトハウスXより

中国をどう見るか、私の観点は

  • 共産党保守主義
  • 思想拡大主義
  • 外部による内政不干渉主義
  • 敵対する相手に戦略的生き残り対策の推進
  • 新しいものにリスクを取りながらチャレンジ
  • 不人気、疎外感が強い故のメンタル的強さ

が、ぱっと思い浮かびます。日本人が中国について根本的に同意できないのは政治的体制であろうと思います。では日本がロシアの政治的姿勢について議論することはほとんどありません。何故でしょうか?利害関係が中国ほどではないからでしょう。かつて日韓関係で盛り上がったように東アジアの国々はある意味似たようなところがあり、似たような強さもあります。戦後日本が経済的リードをしていたものの、韓国が追い上げ、中国が規模の力で津波のようなパワーを見せつけ、この3国間で激しい生き残り競争を展開している、これがもう1つの中国への敵対心の背景であるかと思います。

中国のEVを認めないのは日本は自動車大国という意識があり、つい10数年前まではろくな車が作れなかった中国製を正視できない気持ちがあるわけです。そして仮にそれが古臭い昔話であることを認められない人は死ぬまでそう思い続けるのだと思いますが、認識は時間軸とともに着実にずれていくのです。現在の日進月歩ぶりからはその認識は年単位どころか月単位で見直さざるを得ないところにあります。

今、中国の最先端の強力推進産業と言えばフィジカルAIです。数百社が夜を徹して技術革新を進め、その改革はEV黎明期と全く同じであります。私の見方が正しければ中国製フィジカルAIは世界を席巻する公算は大いにあると思います。もちろんアメリカも負けていませんが、最大の違いはコストであります。それを安物というのか、競争力で他者を寄せ付けないというのか、その言い方ひとつで印象は全く変わります。

ところで岩屋氏が外交団と共に中国を訪問、その際に何立峰副首相、及び王毅外相と会談しました。これはある意味驚いたニュースでした。もちろん、これを言うと「あの岩屋が…」という声がウェーブのように聞こえてきそうですが、そんなことはどうでもよく、大事なのは中国とのパイプをつなげられる人物がまだいたのだ、という点であります。

岩屋と王毅外相 岩屋毅氏SNSより 2026年9月

日韓関係が最悪期を迎えていた頃、日韓のパイプ役がいそうでいないという問題が生じたことがあります。韓国側も日本担当は誰もなりたくないと言って窓口すらない状態にまでなったのです。あれが最悪期。そしてそこから政治家たちの努力で双方の友好ムードが少しずつ醸成されたのは記憶に新しいところであります。

とすれば国家間の関係を壊すのも再構築するのも政治家が主導し、世論がそれをフォローするといってよいでしょう。韓国の時は女性の韓流ブームがそのあと押しとなりました。中国の場合は案外インバウンドで潤った人たちがそれを後押しする気がします。つまりどんな状況においても支援する層はあるのです。

王毅外相は現在の日中関係が正常だとは思えないと述べています。つまり本来あるべき姿に戻すべきであるがそれができないというわけです。そして言葉尻からはどこかの時点で修復のきっかけを作らねばならないという風にも聞こえます。これは大きな風向きの変化と受け止めるべきでしょう。

習近平氏の逆鱗で日中関係は壊れ、先般の米中首脳会談でも当てこすりの名指し批判もありました。が、この状態を元に戻せるのは日本を精通している王毅氏しかいないのも事実なのです。その王毅氏に渡りをつけた岩屋氏は世間が何と言おうと媚中派だろうと私は評価します。もちろん、中国側の巧みな戦術で高市首相に距離感がある自民党ベテラン議員と会うことで現政権に揺さぶりをかけるという意味もあるでしょう。が、APECまであとひと月ちょっとしかないという日程を考えるとそんなことも言っている場合でもないのではないでしょうか?

アメリカと中国はあれだけ敵対しながらも今年最大4回の首脳会談を行う見込みです。つまりトップ外交が最も重要だということをトランプ大統領自らが認めているのです。

日本は「対話の窓口は何時でも開いている」という格好をつけた姿勢ならば誰も日本には近づきません。自らが乗り込んでいく姿勢を見せるべきです。中国経済は崩壊しているとか、日本は永遠に接近する必要ないと主張をしたい人はそうしたら良いのです。日本はそんなレベルで外交を目指すわけにはいかないのです。中国のチャレンジ精神や圧倒的パワーで世界を圧倒するその源泉がどこにあるか見るべきでしょう。そのためにも一日も早く日中関係の正常化を進めるべきだと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月30日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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