トランプは認知症か:TIME誌のインタビューは支離滅裂

TIME誌が10月1日、トランプ大統領への長時間インタビュー全文を公開した。イラン戦争、AI、FRB、最高裁、中間選挙など重要な話題が並んでいるが、内容以上に気になるのはトランプの受け答えである。

質問に答えている途中で別の話へ移り、そこからさらに別の話へ飛ぶ。そして最後には何を聞かれていたのかわからなくなる。現在80歳のトランプは大丈夫なのだろうか。

AIについて聞くとゴルフとヘリコプターの話になる

冒頭からすごい。TIMEがAnthropicのダリオ・アモデイCEOとの夕食について尋ねると、トランプはAI安全性について答え始める。

ところがすぐに「彼と奥さんが気に入った」という話になり、夕食は午後7時の予定だった、自分はシカゴのゴルフ大会に行っていた、会場は「Marion……いやMedinah」だった、ヘリコプターで帰ってきたので夕食が午後10時になった――と話が広がる。

「あなたが任命した裁判官ですよ」

報道の自由についての受け答えはさらに気になる。なぜ一部メディアのホワイトハウスへのアクセスを制限するのかと聞かれると、CNN批判が始まり、自分は選挙で大勝した、激戦州を全部取った、自分ががんを治してもCNNは批判するだろう、と話が飛ぶ。

裁判所が記者のアクセス回復を命じた問題では、担当判事を「反トランプの判事」と批判する。そこでTIMEが「彼はあなたが任命した判事ですよ」と指摘すると、トランプは「そうだ。よくあることさ」と認める。

さらに命令に従わないのかと問われると、「どんな命令? 私は知らない」と言い、側近のスティーブン・チャンが横から判決内容を説明する。

イラン戦争からアイオワのガソリンスタンドへ

TIMEは「6~8週間で終わると言っていたイラン戦争が7カ月目に入ったのはなぜか」と質問すると、トランプは「予定通り終わった。ただ、もっと先までやりたくなった」と説明する。

そこからイラン海軍を破壊した、空軍を破壊した、レーダーを破壊したという話になり、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争と話が移る。さらにベネズエラ戦争になり、ベネズエラ原油を売っている話になり、最後に「アイオワではガソリンが1.90ドルだった。1.85ドルのスタンドもあった」。

イラン戦争の長期化について聞かれていたはずだが、読者はいつの間にかアイオワ州のガソリンスタンドに立っている。

「ネタニヤフを支持するのか」に答えられない

もっと単純な質問でも同じことが起きる。「イスラエル国民はネタニヤフ首相にもう1期与えるべきか?」とTIMEが聞く。トランプは「私はイスラエルで99%くらい人気がある」と答える。

質問はトランプの人気ではない。そこでTIMEがもう一度、「ではネタニヤフはもう1期やるべきか?」と聞くと、今度はエルサレムへの米大使館移転やイスラエル防衛の話になる。

3度目に聞かれてもイランの核兵器の話になり、結局、YesかNoの質問に答えない。

AI→温暖化→ロシア疑惑→叔父→遺伝

AIの話になると、連想ゲームはいよいよ激しくなる。「AIが成長を牽引している」とTIMEが指摘すると、トランプは自動車工場やAppleの話を始め、突然、「私はもうAIとは呼ばない。SIだ。Super Intelligenceだ」と言う。

では、そのSI Forceは何をする組織なのか。トランプは「Super Intelligenceだ」と答える。TIMEがもう一度、「何をするのですか」と聞く。

そこからなぜか「地球温暖化はでっち上げだった」という話になり、ロシア疑惑もでっち上げ、「トランプ錯乱症候群」だ、という話になる。

Sam Altmanを信用するかと聞かれると、「誰を信用するんだ?」となり、Altmanは頭がいい、Darioも頭がいい、という話を経て、「私の叔父の話を知っているか?」とMIT教授だった叔父の話になる。

さらに「私はIQが高い」「私は遺伝を信じている」「私はこの分野を他の大統領より理解できる」と続く。

質問に答えないまま終わるようになった

ただトランプの話が脱線するのは、80歳になって突然始まった現象ではない。第1次政権が始まったばかりの2017年、TIMEが「真実と虚偽」をテーマにインタビューしたときにも、すでに現在とよく似た話し方をしている。

盗聴疑惑について聞かれると、Devin Nunesの記者会見、ニューヨーク・タイムズの見出し、自分の選挙予測、Brexit、NATOと話題が広がり、「私は多くのことを予測し、それが後になって正しかったとわかった」という自己正当化に戻ってくる。

それでも、記者が具体的な質問を繰り返せば、最後には質問に答える場面がかなりある。今回のインタビューで気になるのは、質問の本題から脱線したまま終わる答が目立つことである。

たとえばFRBについても、ケビン・ウォーシュFRB議長を後悔しているかと聞かれ、FRB理事、経済成長、外国との貿易、関税へ移り、そこから最高裁批判になる。

最高裁判事について「忠誠心があるところは評価する」と発言したため、TIMEが「最高裁判事にも忠誠心を求めるのか」と聞くと、トランプは「いや、忠誠心はいらない。良い判断が欲しい」と答える。

40兆ドルに達した政府債務についても、バイデン、移民、FRB、雇用統計、経済成長、貧困率、殺人率、犯罪率と話が広がる。

TIMEが医療保険料やガソリン価格を持ち出すと、なぜか薬価の話になり、薬価を「40、50、60、70、80%」下げた、言い方によっては「400、500、600%」とも言える、と続く。

昔から支離滅裂だったが、何が違うのか

今回のインタビューで目につくのは、質問を忘れたように見える場面、固有名詞や数字の言い直し、自分が任命した人物についての混乱が重なっていることだ。

もちろんインタビューの文字起こしだけで認知症と診断することはできないが、政治的には十分に問題である。世界最大の大国の最高司令官として核兵器を管理し、イランとの戦争を指揮する80歳の大統領が、質問されたテーマをどこまで保持し、情報を整理し、判断できているのか。

トランプを認知症と断定するには医学的な検査が必要だが、このインタビューだけでも加齢による認知能力の衰えは明らかで、それは大統領としての職務遂行能力を疑う根拠になる。合衆国憲法修正25条(職務遂行不能になった大統領の解任)の適用を含め、ホワイトハウスと議会は真剣に対応を考えるべきだ。

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