パリの劇場といえば、「パリ国立オペラ座」や「コメディ・フランセーズ」など、オペラやバレエ、演劇や音楽会などが催される劇場が頭に浮かぶ。これらの劇場は、文学でいえば純文学的なイメージの催し物を多く上演するが、一方で、大衆文学的な楽しさを満喫できる劇場もある。その代表が、キャバレーだ。
19世紀末あたりから次々と誕生し、ダンスや歌などの華やかなショーを楽しみながら食事もできる、大衆娯楽施設。ロートレックやドガなどの画家たちもキャバレーを題材に作品を多く描いているので、当時のキャバレーの雰囲気を絵画を通して知った方も多いだろう。
今のパリのキャバレーといえば、「ル・ムーラン・ルージュ」や「クレイジー・ホース」に「ル・パラディ・ラタン」が有名どころ。一流のダンサーや歌手、パフォーマーたちによる華やかなショーを料理やワインを味わいながら楽しめる、人気観光スポットになっている。
そんなパリのアートシーンの一端を担うキャバレーで、今、最も注目を集めているのが「アルカザール」だ。

「アルカザール」店内。
奥と中央の舞台の周りにテーブルが配置された広い空間。上階にはバースペースも。
©️Thibaud_Georges
1968年に、シックで文化的雰囲気が漂うサン=ジェルマン・デ・プレ地区に誕生した「アルカザール」は、アヴァンギャルドで洗練されたミュージックホールとしてすぐに大人気となり、パリのナイトシーンを牽引するキャバレーだった。
ジョセフィン・ベイカー、セルジュ・ゲンズブール、ジョニー・アリデー、デヴィッド・ボウイ……。ショービズ界のトップたちもこぞって訪れ、人生を謳歌するような歓びあふれた華やかなショーや美食を堪能していた。その人気は世界的なものになり、80年代にはラス・ヴェガスでの公演も実現。「アルカザール」は、伝説のキャバレーとして高い名声を博した。
その後営業形態は変わり、90年代末には、デザイン界の巨匠サー・テレンス・コンランの手により、モダンデザインな内装が魅力のシックなブラッスリーとして一世を風靡した。
そして誕生から60年が近づいた今、「アルカザール」は再び、ラグジュアリーなキャバレーとして新たに扉を開いた。

1968年にオープンし、ゴージャスで洗練されたミュージックホールキャバレーとして一世を風靡した。
©️GettyImages
新生「アルカザール」は、誕生当時のエスプリを大切に、オーディションで厳選したダンサーや歌手、アクロバットらによる華やかで魅惑的なショーと洗練されたフランス料理を提供するスタイル。往年のシャンソンから現代のポップミュージックに乗って、艶やかな衣装に身を包んだパフォーマーたちによるショーは、照明の美しさもあいまって、ワクワク感満載のスペクタクル。
目の前で繰り広げられるショーを楽しみながら、フォア・グラ、トリュフ入りクロック・ムッシュ、マグロのタタキ風、牛ステーキ、オマールエビのパスタ、プロフィトロール、ベリー&クリームなどから選べる三皿コース料理をゆっくり味わえる。
メインのショー&ディナーは20時からだが、早めの時間に短縮版のショー&軽食をカジュアルに楽しむこともでき、週の前半はピアノや歌手やバンドによるシンプルなパフォーマンス&軽食、というプログラムもある。

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©️Walter Butler

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大衆娯楽をパリらしく華やかにゴージャスに洗練させたキャバレーという文化。新生「アルカザール」は、パリのキャバレーシーンをさらに輝かせる。
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