黒坂岳央です。
先日、「マイナンバーカードを作らない人で社会的コストを上げているので、有料負担を」という記事を書いた。

だが実はまだ言い足りないことがある。世の中には「何が何でもマイナンバーカードは作らない。国の陰謀に立ち向かう」とばかりに頑なに拒否する人たちがいるのだ。
誤解のないように言っておくが、仕事が忙しくて申請する時間がない人や、面倒くさくて作らない人は本稿の対象外だ。こうした人たちはカードに否定的ではなく、単に時間がなかったり面倒なだけだからだ。
筆者がいっているのは作れる環境にありながら「国が信用できない」「絶対に協力しない」と強い意思で拒絶する人たちだ。

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カードを作らなくても番号はすでに存在する
マイナンバーカードを拒否する理由として、よく聞くのが「国に個人情報を管理されたくない」「情報漏洩が怖い」という意見だ。
だが、そもそもマイナンバーはカードを作るかどうかに関係なく、すでに付番されている。カードを拒否しても番号制度から離脱できるわけではない。この基本的な仕組みを理解せずに拒否しているなら、明らかな事実誤認だ。
マイナンバーカードは、すでに存在する番号を使い、本人確認や行政手続きを便利にするための道具である。つまり、この点は単に情弱というだけだ。
さらに、セキュリティの面でも誤解がある。「マイナンバーカードを持つとセキュリティが不安」という人がいるが、これほどセキュリティが強力なIDはなかなかない。
マイナンバーカードのICチップには電子証明書が搭載されており、秘密鍵を利用した暗号技術によって本人認証を行う。秘密鍵は通常の利用方法では外部に取り出せないよう保護され、ICチップには不正な解析を防ぐ耐タンパー機能も備わっている。
むしろこれまでの本人確認のほうがよほどリスクが大きい。運転免許証の写真を撮影して送信したり、身分証明書のコピーを郵送したりする方法は今どきは漏洩リスクがある。
情報漏洩を心配するなら、マイナンバーカードの電子証明書による本人認証と、従来の身分証明書のコピーを提出する方法を比較してみるべきだ。秘密鍵を利用した電子認証では、本人確認のたびに身分証明書の画像を相手に渡す必要がない。この点では、むしろ安全性を高められる。
「国が勧めるものは怪しい」という思い込み
否定的な人の中には「国があれだけ必死に普及させようとしているものには何か裏がある」という考えを持つ人もいる。だがこれは事実無根の陰謀論的な思考に近い。どちらかといえば国が勧めるのは得なものもあるからだ。
たとえばNISAは国が積極的に普及を進めている制度である。投資には元本割れのリスクがあるが、運用益が非課税になるという明確なメリットがある。普通の人が堅実な投資をするなら非課税な分、お得といえる。
そしてふるさと納税も、条件を満たせば寄附金控除などの恩恵を受けられるのでメリットがある。
もちろん、国の推奨するすべてが正しいとは言わない。だが具体的に精査することもなく「国の推奨するものには陰謀がある」と言わんばかりに印象だけで頑なに拒否する姿勢は「慎重さ」より単なる「思考停止」ではないだろうか。
国の言うことを何でも信じる人と、国の言うことを何でも疑う人は、正反対に見えて実は同じである。どちらも中身を見ずに判断しているからだ。
「無理に作らせようとするから嫌」は逆
「任意のはずなのに、国が事実上強制してくるのが気に入らない」という意見もある。だがこの意見は二重の意味で問題がある。
1つ目はまったく強制していない。マイナンバーカードの取得は法律上、今も任意となっている。
だからこそ困っている。社会は否定的な人を支えるためにコストを払うからだ。人手不足も深刻化する今、本人確認や行政手続きをデジタル化することで、紙の書類、郵送、窓口での確認作業などを減らせる可能性があるのにそれを阻害していると言える。
デジタル方式を整備したのに、従来の方式も同じ規模で維持し続ければ、二重の運用コストが発生するからだ。
「無理に作らせようとするのは迷惑」という意見があるなら「頑なに作ろうとしないのも社会に迷惑」といえる。
もう1つは、拒否することによって自分が何を失うのか、十分に理解しているのかという問題だ。金融機関などの非対面本人確認では、従来の身分証明書の画像送信から、ICチップを活用した本人確認への移行が進んでいる。
今後はマイナンバーカードなどのIC付き本人確認書類を使える人と、そうでない人との間で、手続きの手間に差が生じる場面も増えるだろう。いや、サービスによっては作らないと受けられないものも出てくる。
つまり、カードを拒否し続けることで、不便になるのは社会だけではない。本人自身でもある。そこまで考えて作らない選択が出来ているかは怪しい。
◇
筆者が「面倒くさい」と感じるのは、カードを持っていない人ではない。自分の判断を見直す材料が出てきても、検証することなく拒否し続ける態度である。
怪しいと思うなら自分で調べて納得すればいい。それなのに思い込みが先行して陰謀論のように膨れている人も少なくない。そうした人はマイナンバーカードのテーマに関係なく、付き合いづらさがあると思うのだ。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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