東京23区の中古マンション価格が下落:在庫33%増と金利上昇で価格調整が加速

東京23区の中古マンション市場に変調の兆しが見えている。長年続いた価格上昇が止まり、売り物件の増加と住宅ローン金利の上昇が重なっている。「買わないと値上がりする」時代から、「買ったら値下がりするかもしれない」時代への転換が始まったのだろうか。

都心6区で値下がりが加速

東京カンテイの2026年9月のデータによると、東京23区の中古マンション価格(70㎡換算)は前月比0.4%下落の1億2629万円となった。都心6区では下落率が1.6%に拡大している。

注目すべきなのは在庫の増加だ。流通戸数は前年の約1万2300戸から約1万6400戸へ、約33%増加した。

価格改定を行う物件の割合も5割を超え、値下げ率は7%台に迫っている。1億3000万円のマンションなら、7%の値下げは910万円だ。ただし、これは売り出し価格の改定であり、実際の成約価格が同じ割合で下落したわけではない。

1億円を超える住宅は誰が買うのか

東京のマンション価格を押し上げてきたのは、共働き世帯の収入増加、低金利、投資マネーなどだった。しかし、1億円を超える住宅は一般的な子育て世帯の購買力を大きく超えている。

子どもが増えて広い家に住み替えようとしても、3LDKには手が届かない。高値で購入した所有者も売却損を避けるため、簡単には値下げできない。

結果として、売りたい人は売れず、買いたい人は買えないという市場の停滞が起きている。

AzmanJaka/iStock

金利上昇がマンション価格を押し下げる

さらに深刻なのが住宅ローン金利の上昇だ。2026年10月には大手銀行の変動金利も上昇し、最優遇水準は1%台が中心となった。

例えば8000万円を35年間の元利均等返済で借りる場合、金利1%なら毎月約22.6万円だが、2%なら約26.5万円になる。年間で約47万円の負担増だ。

金利が上がれば、同じ収入で借りられる金額は減少する。物件価格が多少下がっても、購入者の負担は必ずしも軽くならない。

日銀の金融正常化によって、超低金利を前提としてきた不動産価格にも調整圧力がかかっている。

都心の値下がりは周辺にも波及するか

今後の焦点は、都心6区の価格調整が周辺地域に広がるかどうかだ。

都心のマンションが安くなれば、割安感から買われていた周辺区の物件も値下げを迫られる。特に駅から遠い物件や修繕費負担の重い築古マンションでは、価格調整が大きくなる可能性がある。

ただし、現時点で暴落を断定することはできない。在庫や売り出し価格だけでなく、実際の成約価格と取引件数を確認する必要がある。

マンション価格の上昇を前提に、多額の住宅ローンを組む時代は終わりつつあるのかもしれない。

価格が下がれば買いやすくなるはずなのに、金利が上がって買えない。 これが東京の住宅市場で起きている皮肉な現実かもしれない。

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