あるインフルエンサーの方が、コカインなどの所持・使用容疑で逮捕・再逮捕されたというニュースが連日報じられています。
本筋とはズレますが、取り調べ中のコメントや様子が平然とマスコミにリークされ、こうして発信されることに日本人が慣れすぎているのはつくづくヤバいと思う。。
“ヤマトリノ” 再逮捕 コカインとケタミンを使用か 送検時のポーズは「精神的にとても不安定で・・・」
https://t.co/svOSgyMLUt— おときた駿 / 元参議院議員、しゃほさげフェニックス (@otokita) October 8, 2026
(画像:テレ朝NEWSより)
違法薬物の問題そのものは、もちろん厳正に対処されるべきです。ただ、今日書きたいのはその本筋ではありません。
報道の中身をよく見ると、気になる記述がいくつも並んでいます。たとえば、こんな具合です。
取調べに対して「弁護士と話がしたい」と話している。袋を捨てるとバレると思って怖かったという趣旨の話をしている。送検時のポーズについて「精神的に不安定だった」と話している…。
いずれも、取調べ室の中でしか出てこないはずの言葉です。
それが「捜査関係者によりますと」「関係者への取材で分かりました」という一言を添えて、全国ニュースとして流れています。
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では、これは誰が話しているのか。
普通に考えれば、捜査に関わる警察官や検察官です。つまり公務員です。
公務員には法律で守秘義務が課されています。
国家公務員法100条、地方公務員法34条で「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」と定められ、違反すれば1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
警視庁の警察官の多くは地方公務員にあたりますが、どちらにしても同じ構造です。
加えて、刑事訴訟法47条には「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない」という規定もあります。
取調べでの供述は、まさに裁判で争われうる中身そのものです。
それが公判どころか起訴前の段階で、連日小出しにされている。条文の趣旨から見れば、かなり危うい状態だと言わざるを得ません。
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一方で、こうした報道を擁護する側の言い分もあります。
国民の知る権利に応える必要がある。捜査が適正に行われているかを報道が監視している。著名人の事件には公共性がある。
いずれも一定の理屈はあります。
ただ、ここで漏れているのは「捜査のあり方」ではありません。容疑者が取調べ室で何を言ったか、という個人の供述です。
捜査の監視というより、捜査側の見立てを一方的に流しているだけ、という面のほうが大きいのではないでしょうか。
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なぜこの状態が問題なのか。
一つは推定無罪の原則です。起訴前の段階で「本人がこう認めている」という情報だけが先に世に出れば、裁判が始まる前に社会的な判決が下ってしまいます。
もう一つは、情報の非対称性です。捜査側は好きなタイミングで「供述」を流せますが、身柄を拘束されている側は反論のしようがありません。
今回のように容疑を認めているケースであっても、この構造自体は変わりません。
そして何より問題なのは、守秘義務違反が事実上まったく問われていないことです。
捜査情報のリークで公務員が処分されたり立件されたりしたという話は、ほとんど耳にしません。
「捜査関係者によりますと」という言葉は、いわば匿名の免罪符として機能してしまっています。
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海外に目を向けると、イギリスなどでは裁判前の報道を法廷侮辱として厳しく制限する仕組みがあります。
もちろん制度はそれぞれで、そのまま日本に持ち込めばいいという話ではありません。
ただ、「取調べの中身が翌日にはテレビで流れる」ことが当たり前ではない国もある、という事実は知っておいてよいと思います。
念のため改めて申し上げますが、違法薬物は許されるものではありませんし、報道の自由も大切です。
それでも、取調べ室の中の言葉が当たり前のようにニュースになる現状には、もう少し違和感を持ってもいいのではないでしょうか。
慣れてしまうことが、一番危ないと連日の報道に感じるのでした。
編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年10月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。







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