イオン系食品スーパー100店閉店へ:インフレで「増収でも赤字」

イオン傘下のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)が、2030年度までに約100店舗を閉鎖します。首都圏で「マルエツ」「カスミ」「いなげや」などを展開する食品スーパー大手が、構造改革の一環として店舗網の見直しに踏み込みます。

日本経済新聞

増収でも営業赤字に転落

井出武美社長は記者会見で、インフレの影響が想定以上に厳しく、閉鎖する店舗数を積み上げたと説明しました。食品は生活必需品ですが、値上がりしても従来どおりに買ってもらえるとは限りません。物価高は、売る側と買う側の双方を追い詰めています。

同社の2026年3~8月期決算では、営業収益が前年同期比14.0%増の5,447億7,900万円となった一方、営業損益は32億8,300万円の赤字に転落しました。前年同期は1億6,800万円の黒字でした。親会社株主に帰属する中間純損失も46億4,500万円に拡大しています。www.usmh.co

会社側は、資材価格の上昇や価格競争への対応に加え、客数と買い上げ点数が想定を下回ったと説明しています。さらに労務費や販促費、改装費用が増え、販売費・一般管理費の伸びが売上総利益の伸びを上回りました。

値上げも値下げも苦しい

食品スーパーは、仕入れ価格が上がったからといって、その分をすべて販売価格に転嫁できるわけではありません。消費者は商品ごとの価格を比べ、安い店や商品を選び、購入する数量も抑えます。

値上げすれば客離れを招きかねず、価格を抑えれば利益が削られます。今回の決算は、その板挟みを示しています。食品価格が上昇してレジで支払う金額が増えても、スーパーの経営が潤うとは限らないのです。

ただし、閉店の背景をインフレだけで説明するのも適切ではありません。同社は仕入れの統合、物流の共同利用、システム統合、本部の重複機能の集約を進めています。物価高への対応とともに、グループの規模を経営効率につなげる改革が問われています。

インフレは買い物の利便性も奪う

2026年8月末のグループ店舗数は760店であり、約100店は現在の店舗数の約13%に相当します。ただし、今後の新規出店もあるため、店舗数がそのまま100店純減するという意味ではありません。

不採算店舗の閉鎖は、企業が経営を立て直すための選択です。しかし、近所のスーパーを失う住民にとっては、買い物に必要な時間や交通費が増えます。車を使えない高齢者や、仕事と子育てに追われる家庭への影響も小さくありません。

インフレの負担は、商品の値札だけに表れるものではありません。店の採算を悪化させ、身近な買い物の場を減らす形でも暮らしに及びます。「値上がりしても食品は売れる」という見方では捉えきれない現実を、今回の閉店計画は示しています。

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