トランプ米政権の新しい報道官、ケイティ・ザカリアに、弁護士資格をめぐる疑惑が浮上している。トランプ大統領も本人も「弁護士」と説明してきたが、米メディアの調査では、米国内で弁護士登録されたことを裏付ける記録が確認できない。

「どの州で合格?」に「中国に移った時」
トランプは10月9日、保守系コメンテーターとして活動してきたザカリアの報道官起用を発表した。ザカリアはトランプ・メディア&テクノロジー・グループの広報顧問を務め、FOXニュースなどにも出演していた。任命に際してトランプは、本人を弁護士と紹介するとともに、長年の忠実な支持者であることを評価した。apnews.com
問題が表面化したのは、13日の初会見後だった。記者がトランプに、ザカリアはどの州で司法試験に合格したのかと質問。トランプが本人に問い直すと、ザカリアは「中国に移った時」と答えた。しかし、資格を取得した州や登録先は示さなかった。abc.net.au
この回答は、必ずしも「中国の司法試験に合格した」という意味ではない。中国への移住時期を説明した可能性もある。ただ、取得した資格の所在を尋ねる質問への答えにはなっておらず、疑問をかえって広げた。
法科大学院卒業と弁護士資格は別
ザカリアが2011年にペパーダイン大学の法科大学院を卒業したことは、大学側が確認している。また、本人のLinkedInには、2011〜2013年に北京の中倫法律事務所で勤務した経歴が記載されているが、法科大学院を卒業したことと、弁護士として業務を行う資格を取得したことは別だ。
調査報道サイトPopular Informationは、全米50州と首都ワシントンの登録について調べたが、ザカリアの弁護士資格を裏付ける証拠を見つけられなかったと報じた。サウスチャイナ・モーニング・ポストも、ニューヨーク、カリフォルニア、テキサス、フロリダ、首都ワシントンの登録記録で本人を確認できなかったとしている。
サンフランシスコ・クロニクルによると、カリフォルニア州の弁護士資格管理機関は、結婚後の名前と旧姓の双方について、同州で資格を取得した記録はないと回答した。単に現在の姓で検索して見つからなかった、という話ではない。
「適切な資格を備えていた」と説明
ザカリアは声明で、必要な資格を備えたうえで国際取引法の業務に従事していたと説明した。しかし、NPRが米国で弁護士資格を持つのか確認を求めたのに対し、具体的な登録先は示されなかった。KPBS Public Media
法律事務所で働いた経験だけでは、その人が登録弁護士だったとは証明できない。一方、登録記録が見つからないという報道だけで、過去の業務がすべて虚偽だったとも断定できない。確認すべきなのは、資格の種類、取得した国や州、登録時期、そして実際に担当した業務である。
本人はカリフォルニア州の非営利団体Fix CaliforniaでGeneral Counsel、通常は組織の法務責任者を意味する肩書も掲げていた。こうした経歴と資格の関係についても、具体的な説明が求められる。
政権の説明役こそ説明を
13日の初会見は約14分で終わり、質問を受けたのは3媒体だけだった。トランプは出来栄えを称賛したが、短い会見と対応ぶりには批判も出ている。CNN.co.jp
報道官に必要なのは、弁護士という肩書そのものより、事実を確認し、国民の疑問に正確に答える能力だ。だからこそ、自分の資格についての基本的な質問を曖昧にしたままでは、今後の説明にも不信がつきまとう。
資格があるなら、登録先と取得時期を示せばよい。紹介に誤りがあったなら、訂正すればよい。大統領への忠誠心をいくら強調しても、「本当に弁護士なのか」という問いへの答にはならない。







コメント