
金子書房の編集者である加藤浩平さんの誘いで、「バーという居場所」について、同社のnoteに寄稿した(リンクは末尾に)。知らない方のために添えると、金子書房は心理学や教育、発達支援が専門の出版社である。
前も書いたけど、加藤さんと知りあったのは2020年の秋、コロナ禍が小休止してGoToとかやってたときの静岡だった。ボードゲームで居場所を作る活動をしている現地の団体YokaYokaが、講師として呼んでくれたのだ。

なので、依頼としてはボードゲームカフェとかをめぐる記事を期待されてたのかもだけど、色々あって今回はバーの魅力を語ることにした。ぱっと察しがつくとおり、「ひとりで行ける」のが長所だけど、それだけじゃない。
金子書房のnoteに寄稿するのは、コロナの最初の年の暮れだった2020年12月の、以下の記事に続き2回目になる。なので(?)コロナの “自粛期間” にむしろ通いまくったバーの魅力について、たっぷりお話ししている(笑)。

以下ではより実践的に、ぼくの楽しみ方を「おすすめカクテル」と共にご案内したい。これらもぜーんぶ、コロナで “自粛しなかった” おかげで学べた。元気なのにセンモンカを信じて、機会を失ったみなさんは、お疲れさまでした(苦笑)。
まずなにから頼むか?
せっかくバーテンダーさんがいるお店に入ると、”他では置いてない” ものが飲みたくなるのが人情だ(と、ぼくは思う)。なので、あえてハイボールでなく①ハイランド・クーラーで始めることが、けっこう多いです。
友だちと一緒に来たりして、酒量が増えそうだから度数低めに始めるときは②レッドアイ。「ビールをトマトジュースで割るだけだろ?」と思うかもですが、胡椒やタバスコを添えてもらうと、コースの前菜スープに化けます。
とくに暑い季節なんですが、いちばんオーダーするのは「③赤ワインをコブラ―・スタイルで」。氷を詰めて薄くなる分を、リキュールの濃さで補ってもらい、ストローでゆっくり、暑さを冷ましながら飲むのがたまらない。

サングリアに比べて
ワイン感を残す感じ
名前の由来が諸説あって、判然としないのもカクテルの常だが、もとは靴の修理屋(Cobbler)が仕事中にちびちびやってたという説が好き。フードもだけど、昔からそういう “お仕事飯” に弱い。

なお詳しい人の間では、初めてのお店を知るには「ジンフィズがいい」とされるらしいので、こっそりマネてました。味・炭酸・氷・技術と、色んな要素につき、お店の個性がわかるからとか。鮨屋でいうコハダですかな。
のんびり居るにはなにを飲む?
スマホ時代の知られざる長所は、マイナーなカクテルを気軽に頼めるところだ。店員さんもレシピをその場で検索するし、素人(ぼく)もまた「あ、ネットで見て飲んでみたくて」で、通ぶったりせずにオーダーできる。
ハーブの効いたリキュールがぼくは好きらしいとわかってからは、ドランブイに目がなくて、使ってるカクテルをずいぶん調べた。で、いちばん気に入って定番になったのが、なんとテキーラと混ぜる④コルコバード。

縦長のグラスが正式だけど
ロックやクラッシュドアイスでも
いやーすごい。コルコバードはブラジルの観光名所だけど、スコットランドのハーブ酒を、メキシコの竜舌蘭酒と混ぜる。カシスウーロン並みの「なぜ思いついた?」レシピだが、ぼくの中では同じくらい定番になった。
なおドランブイを使うカクテルで、最も有名なラスティ・ネイルは、俺たちのTAKAICHIが恥ずかしい写真を撮られちゃった際のXの曲名でもあるが、品薄で在庫が逼迫してるそうだ。お前は踊ってないで円安をなんとかしろ。

ここまで “濃ゆいミックス” だと、一気飲みとかありえないので、自ずとゆっくり過ごせてコスパもよくなる。もうちょい万人向けだと、ジャックダニエルにミントリキュールを足す、⑤テネシー・クーラーもよく頼みます。

右上です。
ジェノベーゼとカラーコーデ
ふたたび(?)ブラジルに戻って、甘党な人には⑥カイピリーニャも絶対のおすすめだ。カシャッサという「ブラジルラム」のようなサトウキビ酒に砂糖を足すが、刻んだライムをたっぷり入れるのでむしろ爽やかに飲める。
現地では日常的に愛飲されるらしく、行ってきた人が「なんだっけ、あの甘いのにさっぱりしておいしい…」と名前を忘れてたから自分が言ったら、「なんで知ってるの?」と驚かれた。まさにコロナのおかげである(笑)。

お店によりスプーン型の
マドラーで掬うのも楽しい
ところがこれまた、俺たちのSANAEが外為特会の運用をホクホクにしているせいで、輸入酒の値段が爆上がりしてしまい、カシャッサのようなマイナーなボトルを切らすお店が増えている。円安は文化を殺すのである。
ちなみにお酒弱い人が、度数低めで、ゆったり飲むならアメリカン・レモネード(居酒屋にもわりにあるので、バーで頼んだことはない)。赤ワインが徐々に混じっていく様子もきれいで、知ってると役に立つと思います。
最後の1杯をどう〆る?
バーで気になるのはやっぱり帰り方だ。サクッと飲んで席を立てる感じならキリリとしたショートがいいし、じっくり座って飲んでから〆るなら、ロックグラスに濃いめのロングが向いている。
後者は、有名な候補が多い。口元をさっぱりさせたければカミカゼ、逆に甘さで満足感を増すならゴッドファーザーが定番。せっかくだし作る人のこだわりに触れるなら、オールドファッションをアレンジで頼むとわかる。
ややレアなとこだと、テキーラとカルーアを混ぜる⑦ブレイブ・ブルのクラッシュドアイスなら、氷を溶かすペースで度数も調整できます。

〆のハーブティーならぬ、
ハーブ珈琲感も嬉しい
ショートなら “カクテルの王様” がマティーニで、女王様が(金子書房の方に書いた)マンハッタンだけど、〆の珈琲感覚で⑧エスプレッソ・マティーニも悪くない。別途カフェに寄るのを省略すれば、むしろお財布に優しい。

甘め・苦めもオーダーを。
これはキャラメル味
ハーブのリキュールには、フランスに黄・緑2色のシャルトリューズもある。使ってるカクテルって「ありませんか?」と訊いて、コロナの最中に作ってもらった⑨ラストワードは、禁酒法絡みの由緒もあってじんと来た。

チェリー味のお酒も入って
複雑なのに爽やかな味
緑の方がハーブ香が強く、度数も高い。そちらをジンで割る⑩グリーンアラスカは、たぶんクスリやる人ってこんな感じなのかなと思うくらい「トベる」1杯。もう一度言うけど、ジンを割るんじゃなく、ジンで割ります。
人でなしのセンモンカや支持者と違って、コロナのときはどれだけのお店が潰れ、心が追い込まれる人が出るかと気が気でなかったッスからね。なんと2杯飲んで(!)歩いて帰った日もあったけど、いまは怖くてとてもムリ。

上記のnoteでも書いたとおり、ゲーム仲間でもある加藤さんとはこれまでも飲んだりしていて、金子書房に寄稿したnoteで「居場所」と呼んでるお店にも、先日行ってきた。お酒の写真の大部分も、そちらで撮っている。
とっておきの1枚は、「金やるから自粛しろ」系の補助金をきっぱり拒否して、闇で(?)お店を開けた際のこのメニューだ。入口前に飾られたのを見て、これは応援しなきゃと笑みがこぼれたことを、いまも忘れない。

下から2つめの
CUP NOODLEにご注目を!
では、いよいよお待ちかねの、今回の寄稿のドアを開けよう。そこからバーの文化を愛する人と、なにより「酒は飲んでも、時代の空気に呑まれない」主体性が育つなら、とても嬉しい。

参考記事:


(ヘッダーは、早川パオ『まどろみバーメイド』3巻17話より)
編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2026年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください







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