2月16日松本徹三様の「「公設民営の光通信網」を全国に展開すべし」を拝読し思ったところを投稿したいと思います。
政府が「2005年までに世界最先端のIT国家となる」を標榜したe-Japan戦略や、そのあとをついで総務省が打ち出したu-Japan構想は、構造改革を推進していた小泉内閣ですら、これらの戦略を実現するためにある意味バラまきともいえる予算をつけていました。
たとえば電子政府を実現するためにLGWANと政府基盤認証(GPKI)を各自治体は整備しています。またIT格差の是正(ここでも格差!)のため人口5千人くらいの離島へまでFTTHをひいております。サービス受供者向けのe-Japan政策パッケージ(まるでN、F、H各社のサービスをみているような)実現のためのインフラ整備は概ね2007年までに完了しています。今後、インフラ整備については何をすればよいのかというくらいオーバースペックな装置群が稼動しております。
たとえばネットワーク機器は設計上、大規模になればスパニングツリーなどでノンストップ仕様にしますが、それがお上となるとスパニングツリーのホットスタンバイみたいな概念が登場して(だれが考えるのか二重三重の安全策?)通常の二倍三倍オーバースペックになります。よって民間がサービスしない地域は私達が享受しているサービスの数倍の広帯域回線を使用しています。(しかし通るパケットはほんのわずかでしょう)
松本様の言わんとするところのNTTと同等設備を国がたてて民間がそれをシェアーすることでNTTと競争しようということかと思いますが、NTTに戦いを挑まれている企業であればよくわかります。しかしはたしてこの国にどこまでの光回線が必要かどうかとの議論も必要かと思います。
現在超高級マンションなどでは光を引き込んで、電話、インターネットのみならず、テレビまでパケットで処理していますが、昨年、雷で日曜の8時、篤姫が始まった瞬間ネットワークがダウンしてデベロッパー、キャリア、管理会社打ち揃って大目玉を喰らったということが報道されておりました。もし衛星をパラボラで受信していればユーザーもあきらめられる出来事も提供側のリスクとなる好例ではないでしょうか。
明治維新以後、エネルギーや通信、交通(鉄道)といった分野は国策として発展してきました。(させてきたという表現の方が良いかもしれません)それは安全保障と直接繋がっているからだと思います。回線を増やせば入口、出口も増やさざるを得ません。(増やさなければどこかでつまる可能性があります)出入口が多ければ漏洩のリスクも増えざるを得ません。
また我国の都市計画、土地政策の杜撰さで我国の緑地は激減しています。これは緑地計画なしで民間に任せすぎたために外国人がうらやむ美しい国が、アスファルトジャングルになってしまったと思っています。
私は公共事業には否定的ですが、もしも少しばかり経済と雇用に役立たせるのであれば、上記のオーバースペックネットワークが敷設されている離島や過疎地に赴いて、お年寄りにTV電話の使用方法やPCで双方向対戦型の囲碁や将棋の操作の仕方をじっくり泊り込みで教える、ボランティアを雇った方がはるかに効果的ではないかと思っております。
零細企業取締役、現在上場企業へ派遣出向中のコンサルタント 中川信博