来年の参院選を「インターネットが影響力を発揮する選挙」に! - 松本徹三

松本 徹三

先にも提案したことですが、既存メディアが持つ政治力の陰に埋没することなく、一般の人達の声が、インターネットを通じて、直接日本の政治・経済に何がしかの影響力を持てるようにする為には、先ずは、全ての政治家が「インターネットを無視しては、もう選挙は戦えない」と考えるに至るだけの、「確固たる実績」をつくらなければなりません。


現実に、今回の米国の大統領選では「インターネットが選挙戦を制した」という「確固たる実績」がつくられたわけですし、盧武鉉氏が選出された以前の韓国の大統領選挙でも、インターネットの力が大きかったことが知られていますから、日本で同じことが実現できないことはない筈です。一旦この実績が出来れば、各政党は必ずインターネットを意識する事になりますし、筋を曲げてまで既存メディアの歓心を買おうとするようなこともなくなるでしょう。

インターネットが選挙に大きな影響を持つ事が可能なのは、浮動票を呼び覚ますからです。浮動票が動かなければ、長年にわたり地方に地盤をもち、固定票をがっちりと固めている候補者(多くの二世議員もこれに該当します)や、宗教団体や労働組合などの組織票を頼れる候補者が有利になりますが、浮動票が動くとその力は薄まります。

従って、インターネットの力で出来る事は、先ずは、主として都市部に居住する一般市民の選挙に対する関心を高め、次に、「このような政策に賛同するなら、この政党(或いは候補者)に投票するのがよい」というキャンペーンを展開することです。それから、国の将来を危うくするような「まやかしの人気取り政策」については、その問題点を鋭く且つ丁寧に指摘し、一般の人達が簡単には騙されないようにすることです。

さて、来年の参院選ですが、どの政党を応援するかを決めるのは、本当に難しい事です。民主党も自民党も、言っている事はあまり変わらないという一面がある一方で、民主党も自民党も共に内部に矛盾を抱え、その標榜する政策は必ずしも一貫していないからです。

(先の選挙では「みんなの党」が健闘し、アゴラの読者の中にもこの党を推す人達が結構いましたが、小さな党がレバレッジを効かせて結果を出していける確率はあまり高くないので、私などはどうしても二の足を踏んでしまいます。)

先回の選挙では民主党が勝ちすぎた嫌いがあります。大勝すれば社民党や国民新党に気を使わないで済むだろうと考えていたのは、「参院選までは、民主党はそうも出来ない」という事情を読めなかった私の読み違いでした。しかし、今度も大勝すると、絶対多数の上にあぐらをかき、批判勢力が無いのをよい事に、無理な政策を強引に推し進める危険性もなきにしもありません。

内部矛盾を抱えた民主党と自民党がともに割れて、一旦は小党が分立し、その上で、「共に成熟した考えを持ち、しかし明らかに異なった政策を標榜する二大政党」が、堂々と国民に信を問う形になれば一番良いと思うのですが、なかなかそうも行きそうにありません。それ以前に、政局が複雑になって、合従連合がめまぐるしく行われるようになると、そこで活躍するのは、小沢一郎氏や亀井静香氏のような老獪な古い形の政治家で、真面目な政策論争はますます脇に追いやられてしまうでしょう。

そうなると、仮に、インターネットを駆使して、有効な選挙活動が出来るようになったとしても、その力をどう使えばよいのかが分からなくて、困った事になってしまいます。

しかし、ちょっと視点を変えて考えてみると、もし、現時点で、「今度の参院選には、インターネットが相当の影響力を発揮する事になるだろう」という事を、各政党が信じるに至るだけの「構え」を見せる事が出来れば、意外に大きな成果がすぐにもたらされる事になるかもしれません。

政府が種々の政策を立案するごとに、インターネットを通じて即刻その政策に対する様々な意見が集まるようにすれば、次の選挙の事を考えている政権党は、そういった意見を無視して「独りよがりの政策」を強引に推し進める訳にはいかなくなると思うからです。

しかし、もうあまり時間はありません。上記のような事を実現するためには、「来年の参院選」を明確なターゲットにして、色々な仕組みを今からつくっていくしかありません。来年の参院選が終わると、もうしばらく大きな選挙は無いので、影響力を行使できるチャンスはなくなります。ゲームオーバーです。

旗揚げから九ヶ月を経たアゴラは、「正論が展開される場」として、それなりの評価は得られてきたのではないかと思っていますが、「言うばかりで、現実の世界には何の影響も与えられなかった」という事になると、「インターネット上の言論などは、所詮は主流を外れた人達のガス抜きの場でしかない」というようなマイナスイメージが、却って定着してしまう危険性もあります。

アゴラの記事を読んで頂いている方々は、インターネットの力と効用を信じる方々と思われますので、「インターネットが選挙戦に大きな影響を与える」為に必要な仕組みについて、是非とも色々なアイデアを出していただきたいと思います。また。こういった考えに賛同して頂ける他の組織やサイトがあれば、幅広く連携していきたいものです。

私にも若干のアイデアがないわけではありませんが、まだ生煮えで、とてもこの場でご披露できるようなものではありません。また、長年実業の世界に身をおき、「百戦錬磨」を自称してきた私も、この分野での経験は殆どありませんので、まだまだ「ひよこ」のようなものです。インターネットの影響力を活用してきた経験をお持ちの方は、日本中にごまんとおられると思うので、先ずはそういう方々に先頭に立って頂く事を、切に希望する次第です。

松本徹三

コメント

  1. clydemender より:

    先の衆院選だと、若者がよく利用するウェブサービスで投票を促進するような運動がもっとあっても良かったですね。SNSや掲示板で騒ぐだけでなく、実際に投票所に向かわせるような。

    マニフェストを読んだだけで自分の将来の状況がどうなるか想像しにくいですが、ネットでマニフェスト実現後の状況を予想するソフトを無料で提供すれば面白いかもしれませんね。自分の職種や年齢、家族構成などを入力すると、マニフェスト実現後の収入や支出の増減が表示されるような。多少信憑性がなくても○○占いといったジェネレータに比べれば実用的で、個人レベルの影響を考える機会にもなります。事業化してシンクタンクが予測するようになれば信憑性も上がり、他のメディアには提供できないサービスになるかもしれません。

    アメリカの二番煎じにしても一年かそこらでネットが活用されるようになるのは難しい気がしますが、4年ぐらい見据えて良いアイディアを期待しています。

  2. disequilibrium より:

    結論から書きますと、立候補されるのが良いのではないでしょうか?
    と、特に支援できるわけでもないのに無責任なことを書きますが、

    とりあえず本題として、なぜ政治とネットが中々結びつかないのかを考えると、1つは、政治家側が、ネット技術・文化に非常に疎いこと、もう1つは、ネットを活用している人間にとって、現状では魅力的な政治家・政党がないことが挙げられると思います。

    前者の問題はどうしようもないというか、それがこの国がネットへ注力しない要因でもあるのですが、これは人を代えるしかない。

    後者の問題は、誰かが、そういった魅力的な政治家になったり、政党を立ち上げる必要があるということになると思います。

    それ以外にも語りきれない問題が非常に多くあるのですが、それは本題から逸れ過ぎるのでまたの機会に。

  3. sponta0325 より:

    >現実に、今回の米国の大統領選では「インターネットが選挙戦を制した」という「確固たる実績」がつくられたわけですし、盧武鉉氏が選出された以前の韓国の大統領選挙でも、インターネットの力が大きかったことが知られていますから、

    ここについて、多様な考察が必要だと考えています。
    オヨンホ氏がやったことについては、お会いしたときに述べました。時事通信の湯川さんは、「オ氏は大衆を騙って自説を主張しただけ」と、分析しています。オバマvsヒラリーにしても、互いの誹謗中傷合戦の舞台がインターネット・YouTubeになっただけで、無組織な個人が世論を形成し選挙結果を左右したのではないのです。つまりは、インターネットが選挙戦を制したのではなく、二番手の勢力たちがインターネットを使うことによって逆境を挽回したに過ぎぬ…。

  4. sponta0325 より:

    では、本当の市民のためのメディアとは何か。それは、政治利権の影響を脱し、「非組織のありふれた民間人・無名人」の意見が選挙結果に影響させること。そのために、何をすればいいのか。否、そもそも政党という争点は妥当なのか……。

    松本さんの問題意識の高さは理解します。とはいえ、選挙というアスペクトも価値を相対化しないと陳腐化の謗りは免れません。私はJANJANの「ザ・選挙」を知っていますが、彼らの選挙事大主義を古めかしいものと感じています。
    選挙、政治、制度、法律、行政、経済、企業など、さまざまなアスペクトの価値を相対化しつつ、その中で選挙の重要度を勘案し、提示することがウェブでやるべきこと。でなければ、二大政党制の権力闘争を客観的に批判することなどできない。
    2005年あたりから日本のウェブで起きてきたことをご理解いただければ、素直に納得いただけると思うのですが…。

    とはいえ、愚痴ってばかりでも仕方ないので、2009年なりのやり方で、何かやってみましょう。私の失敗した状況も刻々と変化しているのですから、次も失敗するとは限らないでしょう。

  5. disequilibrium より:

    もう1つの話へのコメントですが、

    自民党が負けて、政界に大きな変動があったはずなのに、自民党が負けたこと”以外”の変動が未だ起きてないことが残念なのですが、
    まあ、選挙前にみんなの党が生まれたりはしましたが、

    自民党が負けてまだ1ヶ月余りしか経っていないので、これから何かが起こるという見方もできます。
    例えば、これからの自民党総裁選の結果を見てから、自民党から分離する勢力が現れるとかはありそうです。

    しかし、それ以上のことは特に起きそうもない気もします。
    例えば、民主党から有志が集まって分離して、自民党から分離した勢力と合流するとか、そういったことが起こり得るでしょうか。

    もし起こるとすれば、自民党・民主党・新勢力という、三大政党という面白い展開も期待できそうですが、そんな理想的には進まず、
    そもそも、今自民党の中で自民党に不満を持っている議員達が、同じ意見や政策を持っているとはとても思えないので、
    これからの動きには期待できないと思います。

  6. advanced_future より:

    基本的には、ネットでしか入手できない価値のある情報が増えることしかないのだと思うところは皆さん共通認識だと思いますが、その方法だと日本の現状からして地味に長い時間がかかるような気がしています。(官庁の徹底した情報公開とか首相Blogはじめるとか全国の大学教授はBlogつけるの当たり前になるとか)
    それならば既にある価値のある情報に辿りつけることを重視するとが効果的なのではないかと思います。
    そこで、日本で最も人気(特に女性)のポータルサイトYhoo Japanの1丁目1番地をゲットするのがお金かかりますがよろしいのではないでしょうか。サイトに政治色がつかないような形でうまくWin-Winのパートナーシップを組めればコスト控えめに維持できるかもと深く考えもせず、安易な発言をお許しください。

    私は自民党が負け切っていないので変化が少ないのだと思います。過去の成功体験というのは残酷ですね。次の参院選でもボロ負けすればさすがに動きが出ると思いますが。

  7. disequilibrium より:

    あの、今更ですけど、自民党の新しい総裁って、もう決まってたんですね。
    完全に忘れてました。失礼しました。