昨日、久しぶりに池田信夫に会って、コーヒーした。そして、スパコンについて意見交換をしたので、忘れないうちに私の言った考えをを文字にしてまとめておきたい。
2009年11月15日 12:14 の池田信夫BLOG「沈没した「スパコンの戦艦大和」」における池田の4つある指摘(全文引用)とそれに対する西の考え。
池田「予定した性能が実現できるのか:事業仕分けでは「世界一に意味があるのか」という疑問が出たというが、そもそも京速は世界一になるかどうかが疑わしい。今年6月のTop500リストのトップは、IBMのRoadrunnerの1.1PFLOPS。NECと日立が脱落して設計が根本的に変更され、110TFLOPSの実績しかない富士通が単独で設計をやり直して、その100倍の性能が2年で実現できるとは思えない。」
西「これは出来るのではないかと考える。CPUが128GFLOPSで、4つ乗ったのがマザーボード。これで512GFLOPS.このボードがおそらく20枚で1台のキャビネット。合計1Tera FLOPS。このキャビネットを100台x100台並べれば10000Tera=10PetaFLOPS。あえて問題にするなら、CPU間のインターコネクトか。」
池田「スパコンは道具にすぎない:理研で行なうのは学問研究であって、コンピュータ開発ではない。ハードウェアは道具にすぎないのだから、国際入札でもっとも低価格の機材を導入するのが世界の常識だ。たとえば韓国の気象庁は今年、クレイの600TFLOPS機を4000万ドル(約36億円)で導入した。これに対して、京速が予定どおりの性能を実現したとしても、そのコストは1230億円。TFLOPS単価は、クレイの600万円に対して京速は1230万円で、ムーアの法則で割り引くと4倍だ。」
西「理研はスパコンの基本設計をしている。富士通はそれを実施設計をしている。とくに富士通はCPUを自分で作っている。これが大きい。買うだけだったら、誰でもどうぞ、誰でも出来る。昔、渋谷の連れ込みホテル街にもスパコンがあったよ。CPUの設計はともかく、日本の半導体FABで作ったCPUで、日本の会社が世界一のスパコンを作るというのに、大きな意味があると思う。」。
池田「調達に談合の疑いがある:理研の京速プロジェクトリーダーである渡辺貞氏は、元NECの社員。ITゼネコンの元社員が随意契約で外資を排除し、自社を含む3社に共同発注したことは、談合の疑いがある。官公庁では、1000億円を超える調達を随契で行なうことは許されないが、このルールを理研というダミーを使って逃れたのではないか。これはITゼネコンがよく使う手口で、デジタルニューディールで富士通が国際大学GLOCOMをダミーに使ったのと同じだ。」
西「これは、難しすぎて私には判らない。私が富士通のヒトなら、三社で共同受注したときに、日立にハードディスク買うから、手を引いてくれとか、NECにメモリー買うから手を引いてくれぐらいしか思いつかないけど・・・」
池田「「日の丸技術」の開発には意味がない:スパコンというのは、きわめて特殊な科学技術用コンピュータであり、世界で年間数十台しか売れないものだ。富士通がクレイの4倍以上のコストのスパコンを開発しても、世界市場では売れない。日本の大学でも中規模のスパコンをリースで利用するのが常識であり、このような「日の丸技術」の開発にはビジネス的な意味もない。」
西「これは間違い。この度の富士通のスパコンは、凄い商品になる。CPUのSPARC64は凄いチップで、1基で128GFLOPSの性能を持っている。それが、マザーボードの上に4基のって512GFLOPSできる。このマザーボード1枚だけで、凄い科学技術計算機になる。AMDのOPTERONが128基繋がったクラスターが、ピザの箱ぐらいの大きさで可能になる。世界中に売れる商品になる。アメリカにもOEM出来る。」
池田「国際入札をやり直せば、実用的な性能は100億円以内で実現できるだろう。その差額の1100億円を研究やソフトウェア開発にかけるほうが、理研にとっても効率的である。」
西「100億円で使い勝手のいい、こじんまりしたスパコンを日本は手にするが、スパコンを作れない国になってしまう。これは日本の選択の問題である。ここのところの考えかたについて、多くの人に納得して貰えるような説明が求められているのであると認識している。」
以上
コメント
こんにちは。自分はスパコン計画を当初の予算そのままで復活させることには反対ですが、ネット上の市井の議論では「基礎研究」を神聖視しているかのようなスパコン賛成派が多く、科学信仰に似たものを感じて「これでは賛成する気になれないな」と辟易していたので、前のエントリも含めて、まともな擁護論が聞けて何よりでした。
ただ、文中の
>日本の会社が世界一のスパコンを作るというのに、大きな意味があると思う。
の「大きな意味」というのがもう少し説明がほしいと思いました。ネット上の擁護派の人は、いつもこういう抽象的な言葉で我々一般人を煙に巻いて誤魔化してしまうので・・・。技術的な内容でもいいし、「こんなことが出来るんじゃないかな」という「夢」のレベルでもいいので、面倒かもしれませんが、是非お願いします。前回のエントリでもありましたが、「GOOGLEで調べろ」というのはやはり暴論です。こういうことを一つ一つ説明してもらえれば、もう少し建設的な議論が構築できると思います。
西さん
>CPUの設計はともかく、日本の半導体FABで作ったCPUで、日本の会社が世界一のスパコンを作るというのに、大きな意味があると思う。
しかし、ニュースリリースでは富士通は40nm以降はファウンドリとの”共同開発”になります。(つまり、プロセスは最先端でもユニークでもなくなります。。)
NECがIntelのCPUを採用したのも上記に近い事情があったのではないでしょうか。
ファウンドリ(と事実上同じプロセス)で独自ではないアーキのCPU(SPARC)を作っても競争力はなさそうです。
故に、今回(45nm)で打ち止めの可能性が高いので将来的には(富士通でやる)意味はない気がします。
>このキャビネットを100台x100台並べれば10000Tera=10PetaFLOPS。あえて問題にするなら、CPU間のインターコネクトか。
>CPUのSPARC64は凄いチップで、1基で128GFLOPSの性能を持っている。
超人的な物理設計なんでしょうね。しかし、集積度とTrの速度を上げてるんで電力(熱)はどうなんでしょうか。Intel45nmの時のHi-k・メタルゲートに匹敵するブレークスルーが無いと厳しい気もします。というか、スパコンに使うんだからコッチが問題になりそうな気もしますね。。
西さんの意見を大変貴重に思います。ここ何年かの私の知識は、池田信夫ブログを通じてのものが多かったのです。このよう反論を実際に読むことは、とても貴重な体験です。
私は更に他の(アゴラに出せるレベルの言論の力を持つ方がいいです)方の意見も聴きたいです。私自身の意見は、池田氏に少し近いところにいます。
>このマザーボード1枚だけで、凄い科学技術計算機になる。
>AMDのOPTERONが128基繋がったクラスターが、
>ピザの箱ぐらいの大きさで可能になる。世界中に売れる商品になる。
>アメリカにもOEM出来る。
数年後アメリカは何十分の一のコストでnVidia Teslaを買った(笑)
科学や科学技術の進歩の最後の瞬間は予測不可能なアクシデントから生じることが多いように思います。そのアクシデントは何故か比較的暇な(お金があって、遊び心の持てるような)人物の上に舞い降りるようで、今回のスパコン計画は、そのような人物に日本にいても仕方がないよと教えてくれているようで寂しい限りです。特に国産CPUには期待していただけにバカ議員にダメにされるのは何とも脱力気分です。今の政権は国民からやる気をなくさせるところが一番イカンと思います。
以前のエントリーでは丁寧な内容の返答を頂きありがとうございました。
このエントリーも非常に意義のある内容だと思います。
仕分け会議やマスコミでもこれぐらいの論争して頂けるといいのですが・・・。
ただやはり気になったのがコスト意識です。
「これは間違い。この度の富士通のスパコンは、凄い商品になる。」のであれば、国が1000億も出すのではなく、ビジネスとして民間でやるべきではないでしょうか?ビジネスとして回収出来る見込みがあるのであれば、民間でやるかもしくは民間も出資すべきです。国が金を出しているせいでスパコン開発業者のコスト意識が低くなり、その結果として国際競争力が落ちるようでは本末転倒です。
1. gase2 2009年11月20日 02:43
ただ、文中の
>日本の会社が世界一のスパコンを作るというのに、大きな意味があると思う。
の「大きな意味」というのがもう少し説明がほしいと思いました。ネット上の擁護派の人は、いつもこういう抽象的な言葉で我々一般人を煙に巻いて誤魔化してしまうので・・・。
西:私がGOOGLEで調べてくださいといったのは、このスパコンの計画が進む過程で、いかに多くの人が関わり、知恵を出しながら進んできたかと言うことが判ってもらえると思ったからです。それらを読んで要約してお話しするより、直接読まれる方がいいのではありませんか。
前回のエントリでもありましたが、「GOOGLEで調べろ」というのはやはり暴論です。こういうことを一つ一つ説明してもらえれば、もう少し建設的な議論が構築できると思います。
西:スパコンの意義は、数値計算というより、大規模なシュミレーションができるということです。筆と墨と紙がなくても、文章が書ける。モノを削らなくても、モノが作れる。ワープロや3次元CADに、時間的な拡大、縮小ができるということも大きな一つだと思っています。自動車の衝突試験の度に自動車を壊さなくてもいいわけです。
2. henachoco_e 2009年11月20日 03:42
ニュースリリースでは富士通は40nm以降はファウンドリとの”共同開発”になります。(つまり、プロセスは最先端でもユニークでもなくなります。。)
NECがIntelのCPUを採用したのも上記に近い事情があったのではないでしょうか。
ファウンドリ(と事実上同じプロセス)で独自ではないアーキのCPU(SPARC)を作っても競争力はなさそうです。
故に、今回(45nm)で打ち止めの可能性が高いので将来的には(富士通でやる)意味はない気がします。
西:それは間違っています。CPUを自前で作るのに大切なことは2つあって、アーキテクチュアと製造プロセスです。ファウンドリするということは、プロセス開発にたくさんのお金がかかるということなんでしょう。内でも外でも、そのプロセスにアクセスできればいいわけで、そして、まっとうな値段でウエハーを買ってくることが出来るならば、それでOKです。
お金がかかるのは、設計の人件費とシミュレーション代です。
外部で先進のプロセスを使えるようになってきていますので、意味は十分あります。
3. henachoco_e 2009年11月20日 03:59
集積度とTrの速度を上げてるんで電力(熱)はどうなんでしょうか。Intel45nmの時のHi-k・メタルゲートに匹敵するブレークスルーが無いと厳しい気もします。というか、スパコンに使うんだからコッチが問題になりそうな気もしますね。。
西:富士通によると、消費電力は前のSPARCより少なくなったと言うことです。将来、問題になっても、この問題は、パッケージの「ダイヤモンドカーボン化」とメタル配線の「銀化」で乗り切れると思っています。高くなるけど・・・
「日の丸技術」の開発には意味がない、とは思いますが「日の丸の技術力」を付けることには意味があると思います。スパコンを使った研究は後者に当たると思いますが、スパコン自体の調達について疑問を感じます。
科学技術の研究開発は最終的なアウトプットだけではなく、それを作るための道具を含めて研究開発なのだと思いますが、この道具であるスパコンの位置付け(道具として必要なのか、基礎研究なのか)の認識が錯綜しています。ここがハッキリしないと金額、調達方法がどんなに適切でも絶対に理解されません。
設計書無しでデバックを始めた典型的な例ですかね。デスマーチにならないことを祈るばかりです。
ただ単に神聖視するような擁護ではなく、非常に有意義な擁護論を投稿していただいたことを、うれしく思います。
このような論議を仕分けでも行うべきだし、プレゼンとしても
行うべきだと思います。
西氏のお話の中である意味結論的な、というか擁護しているようで擁護していない部分と感じたところは、
>世界中に売れる商品になる。アメリカにもOEM出来る。
です。
ですから、これなら民間でするべきでしょう。
世界中に売れるすごい商品ということは、採算が取れるという事ですよね。
もし国が出すにしても、1000億円を貸す。
数年後のその他へ販売した価格を引いた額を返してもらう。
または、販売する度に価格の数%を返す。
もちろん進歩の早いものですので、一台も売れないかもしれない。
それならば、その他のメーカーのスパコンの価格と比較して、その差額を返してもらう。
こういう手もありなのではないかと思います。
5.https://me.yahoo.co.jp/a/WgyH7r5lYpJYyaTL3MZeuKW_sU65rTE-#fc85b 2009年11月20日 06:28
>このマザーボード1枚だけで、凄い科学技術計算機になる。AMDのOPTERONが128基繋がったクラスターが、ピザの箱ぐらいの大きさで可能になる。世界中に売れる商品になる。アメリカにもOEM出来る。
数年後アメリカは何十分の一のコストでnVidia Teslaを買った(笑)
西:競争さえあれば、富士通のSPARC64が4基乗ったマザーボードが、秋葉でCPU付きで10万円で売られることも可能であると思います。富士通は売らないでしょうが、それは競争がないからです。AMDのOPTERONは競争があるから、そうなっています。
6. qkjm 2009年11月20日 07:17
科学や科学技術の進歩の最後の瞬間は予測不可能なアクシデントから生じることが多いように思います。そのアクシデントは何故か比較的暇な(お金があって、遊び心の持てるような)人物の上に舞い降りるようで、今回のスパコン計画は、そのような人物に日本にいても仕方がないよと教えてくれているようで寂しい限りです。
西:そのとうりです。もし、私に予算を査定することができるなら、私は迷わず国立天文台の牧野淳一郎博士に100億円ぐらい使ってもらって、スパコン作ってもらいたいと思っています。とりあえず10億円でも、ビックリするような結果は出るでしょう。残念ながら、個人的にはとても無理な金額ですが。
特に国産CPUには期待していただけにバカ議員にダメにされるのは何とも脱力気分です。今の政権は国民からやる気をなくさせるところが一番イカンと思います。
西:誰かに言われたから、それによって希望をなくすというのは、いやです。どんなときでも希望を持つというのは、その人の責任です。いまは何とか復活できないかどうかで、頭がいっぱいです。
7. bobbob1978 2009年11月20日 08:24
ただやはり気になったのがコスト意識です。
「これは間違い。この度の富士通のスパコンは、凄い商品になる。」のであれば、国が1000億も出すのではなく、ビジネスとして民間でやるべきではないでしょうか?
西:ところが、それをやれる会社が日本にはNECも日立も降りてしまって、富士通しかないから、それだけ払わなければならないようになってしまったのではないでしょうか。
ビジネスとして回収出来る見込みがあるのであれば、民間でやるかもしくは民間も出資すべきです。
西:民間に出資できるお金があればね。
国が金を出しているせいでスパコン開発業者のコスト意識が低くなり、その結果として国際競争力が落ちるようでは本末転倒です。
西:富岡の製糸工場を初めとし、日本の産業はそのようにして育ってきたのです。共産圏の国営企業ではあるまいし、富士通のコスト意識が低いとは全然思っていません。ご指摘の点は違うと思います。このスパコンのキモは、CPUとインターコネクトと並列ソフトです。あとは、普通の箱です。いま富士通のスペックを読んでいるところなので、詳しくは後ほど。
この手の話は、ビジネスの話を最初に出すべきではないと思います。
GXロケットもですが、国策として先端技術を今後どうしていくのか、という話が先では無いでしょうか。
スパコンだろうがロケットだろうが、海外から調達することはできるわけで、今後日本は全てのものを海外から調達すればよいという方針があるなら、「税金を投入するからには費用対効果を」という話をするべきだと思います。
しかしこれでは、国に技術が蓄積することは無いですよね。
様々な国が、国費を注ぎ込んで先端技術を研究し国力として蓄積しようとしているわけで、最初からビジネスとして回収するなんてことを言っている国なんて無いでしょう。
逆に、先端技術は簡単に国外に出していかない、というものじゃないでしょうか。
資源も土地も無い日本が、今後世界で生き残っていくためには、先端技術の追求は必要不可欠だと思います。
ハードウェアは道具だから買ってくればよい、なんて言っていては、いつか日本もどこかの国の少数民族になってしまうかもしれないですね。
アポロ計画があったように、技術立国の貢献に見合うコストなのかを、十分評価されずに議論してます。
自分が思いつくだけでも以下があります。検証して公表されることを望みます。
アーキテクチャー、プロセス、実装、コネクションの何処に独創性があり、特許として成り立ち、産業競争力が増すのか?
とうぜん、やってみなきゃ分からないのはどの点か?
技術開発は、一度中止すれば、再度追いつけないマラソンのようなものです。 将来 スパコンの開発の先にビッグバンが待ち構えている可能性は?
>西:それは間違っています。CPUを自前で作るのに大切なことは2つあって、アーキテクチュアと製造プロセスです。ファウンドリするということは、プロセス開発にたくさんのお金がかかるということなんでしょう。内でも外でも、そのプロセスにアクセスできればいいわけで、そして、まっとうな値段でウエハーを買ってくることが出来るならば、それでOKです。
いや、上記おっしゃる通りでw
ですから45nmの後は、
>CPUの設計はともかく、日本の半導体FABで作ったCPUで、日本の会社が世界一のスパコンを作るというのに、大きな意味があると思う。
ということではないですよね(笑)
16. mttip23 2009年11月20日 13:59
この手の話は、ビジネスの話を最初に出すべきではないと思います。
西:全くそのとうりですが、今、ここでそういったら、お終いといわれそうですね。
GXロケットもですが、国策として先端技術を今後どうしていくのか、という話が先では無いでしょうか。
スパコンだろうがロケットだろうが、海外から調達することはできるわけで、今後日本は全てのものを海外から調達すればよいという方針があるなら、「税金を投入するからには費用対効果を」という話をするべきだと思います。
西:日本がそんな国になるのは、誰も望んでないと思います。
しかしこれでは、国に技術が蓄積することは無いですよね。
様々な国が、国費を注ぎ込んで先端技術を研究し国力として蓄積しようとしているわけで、最初からビジネスとして回収するなんてことを言っている国なんて無いでしょう。
逆に、先端技術は簡単に国外に出していかない、というものじゃないでしょうか。
西:商品は輸出しても、それを作るノウハウは、国にとどめておくべきでしょう。アメリカ製の戦闘機でも、キモはBLACKBOXです。
16. mttip23 2009年11月20日 13:59
資源も土地も無い日本が、今後世界で生き残っていくためには、先端技術の追求は必要不可欠だと思います。
ハードウェアは道具だから買ってくればよい、なんて言っていては、いつか日本もどこかの国の少数民族になってしまうかもしれないですね。
西:全く、そのとうりです。ご意見ありがとうございました。
17. shlife 2009年11月20日 14:28
アポロ計画があったように、技術立国の貢献に見合うコストなのかを、十分評価されずに議論してます。自分が思いつくだけでも以下があります。検証して公表されることを望みます。
アーキテクチャー、
プロセス、
かなりユニークです。SPARCというWSの名機の流れをくむ64ビットですが、ほとんどのプログラミングはCなので、CPUのFLOPSが問われていますが、いまのところ128GFLOPSで、最高です。つぎの16コア版のCPUも来年2月には発表されるでしょう。プロセスは普通の45nm。
実装は普通の富士通のものであると推測しています。
コネクションはCPUが8個で128GFLOPSなので、CPUあたり16GFLOPSです。そうすると、望まれるリンクのスピードは16GBPSではないかと思われます。マルチラインのバス、例えば6ラインのGigabit Etherの様なモノなら安くできます。一応考えましたが、何が素晴らしいかは、今のところ判っていません。
17. shlife 2009年11月20日 14:28
何処に独創性があり、特許として成り立ち、産業競争力が増すのか?
西:これは富士通に聞いてみなければ・・・
とうぜん、やってみなきゃ分からないのはどの点か?
西:リンクの信頼性と効率ではないでしょうか。
あと、運転のソフトの使いやすさ。
技術開発は、一度中止すれば、再度追いつけないマラソンのようなものです。 将来 スパコンの開発の先にビッグバンが待ち構えている可能性は?
西:ペタコンピューティングの課題はペタストレージの課題でもあります。データの量が巨大なデーターベースでは、ダウンロードというコンセプトが成り立ちません。多くの人が一つになったデーターベースを共有するということはどういうことなのかという課題は、たいへん興味深いと思います。
18. henachoco_e 2009年11月20日 17:21
いや、上記おっしゃる通りでw
ですから45nmの後は、
>CPUの設計はともかく、日本の半導体FABで作ったCPUで、日本の会社が世界一のスパコンを作るというのに、大きな意味があると思う。
ということではないですよね(笑)
西:両方とも正しくて、共同で自分たちの無理な要求を聞いてくれる、進んでいるけど、安いファウンダリーを作ろうとしているのではありませんか。商品によって、ファウンダリを使い分けていくようになると思います。大日本印刷か凸版印刷か、それともXXグラビア印刷かのように。ほとんどは台湾のファウンダリに行きますが、そのうちまた日本でファウンダリという話が復活するのではないでしょうか。いま、そういうことを考えている会社と、別のプロジェクトをしています。
技術立国としての今後を説いておいて、
>この手の話は、ビジネスの話を最初に出すべきではないと思います。
というのは、おかしいです。
技術立国というのは、今後日本が世界の中でどういう生き残るか?という話でしょう。とどのつまり、どうお金を稼いでいくのかではないのでしょうか。
スパコンが必要で、富士通がそれを作れる。
ただ富士通には開発するだけの体力がない。
なら、貸せばいいだけではないんですか?
支援をするのではなぜダメなんでしょうか?
1000億円近い額の妥当性も見えません。
次世代スパコンの目的は、計算能力なのでしょうか? 世界一のタイトルでしょうか? 国産技術の継続なのでしょうか?
どうも、いくつも追いすぎて中途半端になっている感じがします。(税金が落ちてくればいいというのあるかもしれません)
計算能力であればCOTSを活用して力ずく(それでもソフトやネットワークなど相当の技術がいりますが)で開発するのが、開発時間もコストも将来性もあるでしょう。今回いきなり5位に入った中国の天河-1がいい例だと思います。XeonとRadeonです。
国産技術であれば5年や10年での戦略的な基礎研究からの積み重ねでなければ、プロジェクト毎に散逸してしまうでしょう。またはSuperHやGRAPEを大化けさせるとか。
SPARCはTop500でも2台だけです。他はほとんどx86で、スパコンのCPUも既に差別化要因ではなくなっている感じがします。しいていえば単独でTFlopsをたたき出すGPUをいかに使うかが今のポイントです。
CPUとGPUはCOTSに割り切って、何年も使えるソフトウェアやネットワークの技術に注力したほうが良いのではないかと思います。
FabよりもFabに渡される設計図のほうが価値があると思います。Fabはどこだろうといいと思います。日本は地震が多いのでFabには向いていない場所でもありますし。
西さん
率直なご意見に感動すらしてしまいますw
業界再編への展望も取り組まれているというプロジェクトも素晴らしいですね!
しかし、経産省が手を突っ込むかどうかはわかりませんが、ず~~っと昔からいわれている業界再編がうまくいかないとスパコン経由で税金を突っ込んでも無駄になりそうな気がしますが。。というか税金を突っ込むと一息ついちゃって逆に再編が進まん、、というのがこれまでのパターンのような気がしますが。。
まなぶさん
>FabよりもFabに渡される設計図のほうが価値があると思います。Fabはどこだろうといいと思います。
CPU以外についてはおっしゃる通りでしょう。しかし、CPUについてはアーキとトポロジだけではなく、プロセス・デバイス・物理設計も含めた総合力の勝負といったところでしょうか。AMDもCPUをTSMCで作るのはまだまだ先でしょう。
まあ、11nmあたりまで行くと話(前提条件)は変わってくると思いますが。
日本のメーカーがスパコンで頑張ってほしいという意見には賛成します。
ところで、スパコンの目的は速度です。更にいえば、商品です。たとえ世界一にしろ、商業的な価値のないスパコンを作っても意味がありません。
現在調達可能なあらゆる技術の中で、速度という目的を、商業価値を損なわないように、全体最適化された設計を行えば、超高性能だが非常に高価なCPUを使うより、OpteronやCellのように、速くて安いCPUを選択する方が、より大規模なシステムを(一定の予算で)築時しやすいと考えるのは合理的ではないでしょうか。
NECのSX-9にしろ、富士通のSPARC64 VIIIfxにしろ、自前の半導体技術に拘りすぎて、本末転倒しているのではないでしょうか。
戦艦大和は、無数の艦載機に撃沈されました。それを忘れないようにすべきです。
> 技術立国というのは、今後日本が世界の中でどういう生き残るか?という話でしょう。とどのつまり、どうお金を稼いでいくのかではないのでしょうか。
「最初に」とつけていますので、最終的には、お金を稼ぐという話にも繋がる可能性はあります。
しかし、技術を国内に蓄積するということは単純にお金では計れない面もあると考えます。
例えば、アメリカがF22を日本に売ろうとしないという話は、非常にわかりやすい話では無いでしょうか。
日本の技術で、人工衛星を飛ばすことができる、最先端のスパコンが開発できる、
など、どこまでのことをやっていこうとするのかという話を抜きにして、いきなりビジネス性が無いからヤメと言っていては、研究なんて成り立たないでしょう。
地震予知なんて研究も長期間にわたり、何百億というお金が注ぎ込まれていますが、研究自体がお金を稼ぐという話ではないですね。
その点スパコンは、その他の研究等で利用することによって、お金を稼ぐことに繋がる可能性はあると思いますが。
> なら、貸せばいいだけではないんですか?
> 支援をするのではなぜダメなんでしょうか?
国策として行うという前提なら、そのような企業への支援という形はおかしいと思います。
それに、企業も、国がお金を出さなければやろうとしないでしょうね。
> 1000億円近い額の妥当性も見えません。
たしかに、富士通さんの設計見積りが300億ぐらいという話らしいので、この金額は問題がありそうに見受けられます。
研究を続けることになるなら、1230億になるという見積りの内容を精査して、減らすべきところは減らす必要があるかもしれませんね。
24. bakabakaweb 2009年11月21日 09:17
技術立国としての今後を説いておいて、
>この手の話は、ビジネスの話を最初に出すべきではないと思います。
というのは、おかしいです。
技術立国というのは、今後日本が世界の中でどういう生き残るか?という話でしょう。とどのつまり、どうお金を稼いでいくのかではないのでしょうか
西:おカネの話は、避けて通ることは出来ないと思います。
あらゆる技術がいいのかというと、お金の儲かる技術がいいのだと言うことになります。
スパコンが必要で、富士通がそれを作れる。
ただ富士通には開発するだけの体力がない。
なら、貸せばいいだけではないんですか?
西:もしかしたら、失敗して返せないということになったら、
大変だから、リスクマネーは借りないのです。
経営者の考え方です。
支援をするのではなぜダメなんでしょうか?
西:支援とは、補助金を出すか、
出来たモノを買うかではないでしょうか。
1000億円近い額の妥当性も見えません。
西:この資料は、政府が持っていることになっています。
25. まなぶ 2009年11月21日 09:28
次世代スパコンの目的は、計算能力なのでしょうか? 世界一のタイトルでしょうか? 国産技術の継続なのでしょうか?
どうも、いくつも追いすぎて中途半端になっている感じがします。(税金が落ちてくればいいというのあるかもしれません)
西:目的は計算能力です。世界一であればなお良いということです。あと、大切なのは、神戸に作られているスパコン共用施設は、研究者の間で、共同利用が出来ると言うことです。今までスパコンは大きな大学の研究者のほうが使いやすかったようなところがあります。これからは広く、多くの人が使えるというものです。
計算能力であればCOTSを活用して力ずく(それでもソフトやネットワークなど相当の技術がいりますが)で開発するのが、開発時間もコストも将来性もあるでしょう。
西:それは今の中国のやりかたで、腕力でスパコンを作っても、それこそ、後になってみるとネットワークスイッチだけがやたらに高いモノだったりして、アンバランスなものが、ことスパコンの場合は出来るような気がします。
25. まなぶ 2009年11月21日 09:28
今回いきなり5位に入った中国の天河-1がいい例だと思います。XeonとRadeonです。
西:まあ、メインメモリー、メインCPUはありものとしても、インターコネクトはかすたむでしょう。中国も次は、なにかオリジナルを取り入れるようになるのではないでしょうか。注目しています。
国産技術であれば5年や10年での戦略的な基礎研究からの積み重ねでなければ、プロジェクト毎に散逸してしまうでしょう。
西:いまさら、此処にいたって、そう言うことができない崖っぷちに我々は立たされています。
またはSuperHやGRAPEを大化けさせるとか。
西:GRAPEは間違いなく大化けするでしょう。ファンディングするべきだと思います。
SPARCはTop500でも2台だけです。
西:富士通やSUNが基板を売れば、1割ぐらいはすぐでしょう。
他はほとんどx86で、スパコンのCPUも既に差別化要因ではなくなっている感じがします。
西:いいえそうではありません。x86でもAMDとインテルではメモリーへのスピードは違いますし、キャッシュメモリーの構成も違います。CPUはこれからも大きな差別要因であり続けると思います。
しいていえば単独でTFlopsをたたき出すGPUをいかに使うかが今のポイントです。
西:LINPACKのためならそうかもしれません。
CPUとGPUはCOTSに割り切って、何年も使えるソフトウェアやネットワークの技術に注力したほうが良いのではないかと思います。
西:それはエンジンを作ることを止めたフェラーリですね。
FabよりもFabに渡される設計図のほうが価値があると思います。Fabはどこだろうといいと思います。
西:FABも設計図も両方大切です。なにが大切かというと、なるべく細いルールのFABとなるべく安いFABです。細ければ細いほど、クロックの周波数は上がります。消費電力はトランジスタの数が一定であれば、細いほど、低消費電力です。
日本は地震が多いのでFabには向いていない場所でもありますし。
西:新幹線の浜松駅の近くにROHMのFABがありますが、作った技術者は、ぜんぜん問題ないと、言っていました。
26. henachoco_e 2009年11月21日 14:35
経産省が手を突っ込むかどうかはわかりませんが、ず~~っと昔からいわれている業界再編がうまくいかないとスパコン経由で税金を突っ込んでも無駄になりそうな気がしますが。。というか税金を突っ込むと一息ついちゃって逆に再編が進まん、、というのがこれまでのパターンのような気がしますが。。
西:コンピュータで富士通とNECと日立が生き残って、他が駄目だったのは通産省の再編のお陰であると思います。潰れないと言うことが大切で、カネがないところは潰れたらよいと言っていいのかということは、どう思われますか。コンピュータ的に言って富士通とNECと日立も日本を代表する大切な会社です。
27. henachoco_e 2009年11月21日 14:58
CPUについてはアーキとトポロジだけではなく、プロセス・デバイス・物理設計も含めた総合力の勝負といったところでしょうか。
西:プロセス・デバイス・物理設計については、
プロセスは細くて、メタルは銅か銀にバンプ、
デバイスは、低電圧のCMOS、
物理設計はIBMのPOWERシリーズが進んでいます
AMDもCPUをTSMCで作るのはまだまだ先でしょう。
西:サンタクララとドレスデンがあるからね。
まあ、11nmあたりまで行くと話(前提条件)は変わってくると思いますが。
西:今は45と言ってるのに、11なんて誰が今頃話をしているのか、判りません。
28. bobby2009 2009年11月21日 23:11
現在調達可能なあらゆる技術の中で、速度という目的を、商業価値を損なわないように、全体最適化された設計を行えば、超高性能だが非常に高価なCPUを使うより、OpteronやCellのように、速くて安いCPUを選択する方が、より大規模なシステムを(一定の予算で)築時しやすいと考えるのは合理的ではないでしょうか。
西:そのとうりです。
NECのSX-9にしろ、富士通のSPARC64 VIIIfxにしろ、自前の半導体技術に拘りすぎて、本末転倒しているのではないでしょうか。
西:それは、そうするしか、高性能なモノを作れなかったからです。何処もやってくれなかったからです。
戦艦大和は、無数の艦載機に撃沈されました。それを忘れないようにすべきです。
西:第一次世界大戦では強かった「巨砲」が空母と艦載攻撃機の「機動性のある爆弾と機関砲」に負けたということであって、大きなベクトルのスパコンは、超並列のスカラーにすでに負けていますが、このたとえはちょっとおかしいと思います。
29. mttip23 2009年11月22日 00:10
「最初に」とつけていますので、最終的には、お金を稼ぐという話にも繋がる可能性はあります。しかし、技術を国内に蓄積するということは単純にお金では計れない面もあると考えます。例えば、アメリカがF22を日本に売ろうとしないという話は、非常にわかりやすい話では無いでしょうか。日本の技術で、人工衛星を飛ばすことができる、最先端のスパコンが開発できる、など、どこまでのことをやっていこうとするのかという話を抜きにして、いきなりビジネス性が無いからヤメと言っていては、研究なんて成り立たないでしょう。地震予知なんて研究も長期間にわたり、何百億というお金が注ぎ込まれていますが、研究自体がお金を稼ぐという話ではないですね。その点スパコンは、その他の研究等で利用することによって、お金を稼ぐことに繋がる可能性はあると思いますが。
西:賛成です。
30. mttip23 2009年11月22日 00:10
たしかに、富士通さんの設計見積りが300億ぐらいという話らしいので、この金額は問題がありそうに見受けられます。
西:誤解されるといけないので説明させてください。
池田信夫との会話で、コストはおそらく330位と言ったのは私ですが、それには富士通の開発費や利益を含んでいません。ハードの部品代だけです。それも私の勝手な想像です。
研究を続けることになるなら、1230億になるという見積りの内容を精査して、減らすべきところは減らす必要があるかもしれませんね。
西:精査するのは難しいです。作文は何とでも書けるから。減らしたいなら、競争入札しかありません。
>潰れないと言うことが大切で、カネがないところは潰れたらよいと言っていいのかということは、どう思われますか。
DRAM再編時に失われたものの大きさを考えると、確かに単純に資本の論理に任せるのが良いかどうかは分かりません。しかし、各社が個別に90n~65n~45nと無理をして作ってきた結果(そしてそれをスパコン等を通じて国はサポートしていた)、日本の会社がリードする40nm以降のプロセスは存在しなくなった。トータルで見れば日本にはその力が十分以上にあったにも関わらず。
以上、釈迦に説法みたいで恐縮です(汗)。。
>西:サンタクララとドレスデンがあるからね。
単に既存のFabがあるという話ではなくて、ことCPUに関してはポーティングが非常にコストが掛かるしperformanceを出すのが難しいのだろうと思います。
そもそもデバイスからして違ってそう。
>西:今は45と言ってるのに、11なんて誰が今頃話をしているのか、判りません。
独自のテクノロジ(とそのロードマップ)を持っているかということですね。インテルは11nmまで独自でやるといっているので、45nmベースで22nか11nまでやれるメドが立っているのかもしれません。勿論、途中で新規技術がある程度必要なので単純なShrinkは無理でしょうが。
>西:それは、そうするしか、高性能なモノを作れなかったからです。何処もやってくれなかったからです。
いや、もうおっしゃる通りで!
ファウンドリってなかなか微細化を進めないし、HP版もなかなか作ってくれない。故にHPC向けCPUを作るのに独自のテクノロジ・ロードマップを持たないというのは(Portingの難しさとも合わせて)戦略的に非常に不利。コストダウンの計画もたてづらい。この点、有識者にはこのスパコン議論において突っ込んで欲しいとこなんですが。。。
西さんのおっしゃるようなFABが日本できたら素晴らしい。(非常にカゲながらですが)応援したいです!
色々、勉強になるご意見・ご教示、ありがとうございました。
ENIACの使われ方からして安全保障上の意味合いだったり、
核保有国なんか特に「しのぎを削る価値」があるかも知れませんね。
まぁ防衛関連予算にのっけていたらどうなのかみたいな議論も
国内ではそれはそれとして別にあるんでしょうが。
>西:ところが、それをやれる会社が日本にはNECも日立も降りてしまって、富士通しかないから、
>それだけ払わなければならないようになってしまったのではないでしょうか。
ほんならNECと日立こそ責任を取るべき。公的資金使ってるくせに勝手に逃亡するなら、
そごうやダイエーや熊谷組と同じ「不良債権」だ。政府は直ちに両社に損害賠償請求すべき。
コンピューターとIT、通信機器で日本を代表する両社の2000年代の売上高推移は、ほぼ拮抗しながらもNEC
が上回ることが多かったが、07年3月期以降はコンスタントに富士通が上回るようになった。10年3月期には、
NECは富士通に1兆円以上の差をつけられる見通しで、両社の体力差が明白になってきている。
http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPJAPAN-12487720091116
仕分け人 (NECと日立が)撤退するときに、これは1154億で18年度から24年まで開発するときに、
契約を組まれていると思いますが、何らかの撤退条項というのは入れていましたか。
文科省 そのような形では入れておりませんでした。
仕分け人 そうすると、これまで国費でお渡ししていた部分は今後どうなっていくんでしょうか。
文科省 あとは損害賠償の問題と考えております。
http://ascii.jp/elem/000/000/479/479852/