アゴラでは、延々と「光の道」をめぐる論争が続いてきましたが、きのうの孫正義社長と夏野剛氏との討論で「合意しないことに合意した」ので、これまでの論点をまとめておきます:
- 全世帯をFTTH化するというソフトバンクの計画は、NTTなどの合意を得ておらず、今後も得ることがきわめてむずかしい。
- NTTの構造分離はFTTHとは論理的に別であり、これをバンドルするとソフトバンク案はさらにむずかしくなる。
- 他方、交換機を撤去してオールIP化する計画は、NTTも今年の秋に出す予定で、ほとんどの関係者の合意が得られるだろう(これは全員が合意)。
- 全国をブロードバンド化するコストも、FTTHでは3兆円だがDSLなら600億円ですむので、FTTHの義務づけは効率が悪い(孫氏は「DSLのコストはもっと高い」とのこと)。
- 緊急の問題は、来月にも結論が出て、その後は10年ぐらい変えられないUHF帯の周波数割り当て。
- 日本の周波数割り当ては、電波部が密室で決めるため、きわめて不合理であり、抜本的な見直しが必要だ(全員が強く合意)。
ソフトバンクの「光の道」提案は、アイディアとしてはおもしろいので、NTTが構造分離ではなく連結子会社(機能分離)でやることを検討してはどうでしょうか。孫氏は「NTTがやったのでは公正競争が担保できない」とのことですが、これは総務省が内部補填を禁止するなどの規制を行なえばよい。構造分離のような「外科手術」をやってしまうと、後戻りできなくて危ない。
ただNTTの社員は、FTTHの採算性についてソフトバンクほど楽観的な見通しをもっていません。3兆円もの設備投資を政府の規制によって行なうことはきわめてハイリスクで、失敗した場合の責任を取らされるのはたまらない、というのが正直なところでしょう。
したがって最終的には、やはり経営責任の所在が問題です。特に失敗したらどうするのか、赤字を誰が補填するのか、という問題が残ります。「税金を1円も入れない」とすると、NTTの株主がそのリスクを負担するかどうかが問題です。特に大きな比重を占める外資系ファンドが拒否したらできません。
そういうわけで、私の提案は次のようなものです:
- まず今の周波数の割り当てを凍結し、全帯域にわたってゼロベースで見直す。
- NTTのインフラのオールIP化を「10年後」ではなく前倒しで進める。
- FTTHは中長期の課題として、需要の動向をみながら進める。
インフラ会社の構造分離は(私も含めて)多くの人が今まで提案してきたものですが、私はもう古いと思います。今や有線のインフラがユニバーサルサービスの意味をもたないからです。むしろ分離するならドコモでしょう。夏野さんもいうように、実質赤字の東西会社にドコモが巨額の内部補填を行なっていることが、ドコモの士気を低下させるとともに東西会社の合理化を遅らせています。
私はまじめな話、政府がNTT法を廃止して持株をすべて放出し、ソフトバンクが(ドコモと協力して)NTTを買収するのがベストの解だと思います。これによって日本の資本市場が活性化すれば、「光の道」よりはるかに大きな経済効果があるでしょう。
コメント
池田様
昨日はお疲れ様でした。
有意義な討論だったとは思いますが、不満も残ります。
経営責任の所在や赤字を誰が補填するのか、というアゴラでは
再三に渡ってあがっている問題について、
孫社長が答えなかったことです。
池田様も質問していましたが、はぐらかされていましたね。
こういった問題点をアゴラなどの場で何度も書くより、
昨日の討論の場でハッキリさせることが重要だったように思います。
結果として、視聴者アンケートではソフトバンク案に賛成が多数を占めました。
厳しい言い方をすれば
「池田先生の主張は負け、孫さんの主張が認められた」ということです。
勝ち負けといった話ではないのは十分理解していますが、
池田先生の主張よりソフトバンク案が支持されたのは事実です。
池田先生としては、光の道より周波数割当の問題について
語りたいようにも見えましたが
討論なので、話題を絞って孫社長と議論していただきたかったです。
経営責任の所在は明らかになったと思いますよ。アクセス回線会社は株式分割して公開会社になるのだから、責任者はNTTの株主です。
ただ筆頭株主である政府は、これまでの慣例では議決権を行使しないので、FTTHを義務づけるにはNTT法を改正するしかない。したがって赤字補填も政府がやるしかないでしょう。これを「民営」といえるかどうかは疑問ですね。どっちにしても、構造分離が行われる可能性はないので、これは頭の体操です。
孫氏との討論拝見しました。
内容以前の問題として、”結果”として少なくとも「合意しないことに合意した」ようには見えませんでした。
「実現できるならソフトバンク案に同意する」ということに同意したように見えました。
それを後日になって同意していないというのは、言葉は悪いですが、いささか卑怯というようにも思えます。
確かに、夏野氏が議論も深まらないうちにさっさと進行し、さらに司会者にも関わらず、最後にはメインの討論者になり変わっていたという不幸もあったのかもしれません。
しかしその夏野氏がメインの討論者になってしまったのも、彼の性格的なものだけではなく、池田先生がどうせ「構造分離が行われる可能性はない」、難しいからそんなこと議論しても仕方ない、と思っていたことも一因としてあるのではないですか?
ただ、難しいからやらない、ではなく、目的のために実現が困難であっても、その手段が必要であれば、手段実現のための方法を徹底的に検討し、実現する。そうしていかなければ何も前に進んでいかないと思います。
私は一度も合意していません。それはビデオをすべて見ればわかります。視聴者は私が孫さんを論破するかどうかを見ていたのかもしれないが、私は最初からそのつもりはなかった。今どきNTTの構造分離が実現する可能性はゼロだし、望ましくもないからです。問題は計算の内容ではなく、ガバナンスが本当に民営なのかということです。
構造分離は、AT&Tのように80年代にやっていれば意味があったかもしれないが、90年代のNTTの持株会社体制は失敗でした。IPのレイヤーで「横に」切らなければならなかった組織を、市内と長距離で「縦に」切ってしまったため、NTTのIPネットワークはきわめて非効率なものになってしまった。
これを再編しようとしたのがNGNでしたが、これはビジネスとして大失敗で、政治的にも意味がなかった。このようにフレームワークが大きく変わり、予測の困難な通信業界では、問題はコスト計算が(今の時点で)正しいかどうかではなく、変化に対応できる組織なっているかどうかです。それをNTT法で決めることは危険です。ソフトバンク案は、ブロードバンドに関心を集めた点ではいいと思いますが、これ以上、議論してもしょうがないと思います。
結局のところSB案は以下の目的を達成することが主であるのかと。
・ADSL事業撤退と自社ユーザの円滑な光移行
NTTへ売却を打診したと言われるADSL事業。光への移行が進む中、YahooBBのユーザは草刈り場状態でさらに自社光サービスは断念。この状況では早晩ADSL事業が重荷になります。
光の道SB案が実現すればADSL事業からは大義のもと撤退できますし、しかも半国策の中での撤退ですから自社ユーザをそっくり自社の光サービスに移行できるメリットがあります。
・携帯網の通信量迂回
増え続けるトラフィックを光側に流せればユーザの不満の解消と設備投資の抑制も図れるでしょう。
個人的には光の道のSB案であれば、光だけでなくいずれ携帯網もアクセス会社的な話しが出てくるのではと思います。
事実、SBMの松本氏も欧州の事例を出されていますので。(日本では意義はないとも仰っていますが・・・)
本音ではMVNOに移行したいとのではと思われているのかと。
NTTのNGNも固定と携帯網の融合を目指しているとも聞いたことがありますし。
今後も日本の情報通信の動きは楽しみでなりませんね。
池田様
たしかに池田様は合意はしていません。
しかし、あの討論を見た人は「合意しないことに合意した」とは思っていないでしょう。
「案の内容が正しかったら合意する」というどんな暴論であっても通用するひどいロジックですけど、「合意した」という印象だけは与えることができます。内容はどうあれ。
事実、アンケートはそういう結果でした。
酷評される道路事業計画であろうと「案の内容が正しかったら合意する」は通用します。こんなバカらしい条件付きな合意を求める孫社長にもガッカリしましたが、そのことを百も承知なうえで孫社長の手法に乗った池田先生も残念でした。
あまりに池田先生が黙っているので、夏野さんが空気を読んで多弁になったのも印象的でした。
ぜひソフトバンクが示した試算数字を、池田教授の厳しい目で、検証をお願いします!
6/17の討論の中で数字の根拠を示された後でも、コメントを寄せられた方への反論の中であらためて「赤字」「国が補填」と口にされているのですから・・・なおのこと。教授はこれまで「いろいろ言い訳してるけど」とか「計算が信用できない証拠です。」と、国の提案要求に対する回答としてSBが出した提案書に対して、ネガティブな発言をされ、読者に強い影響をを与えていたわけですから、ぜひ数字を、教授の厳しい目で、検証をお願いします!
なお、今回の討論の中で、「電電公社の時代には、全国一律の料金で引くことが義務づけられていたので、採算を考えなかったから引けたのです。光ファイバーで同じことをやったらどうなるかは、小笠原の例(2500人に100億円)でよくわかります。「アクセス回線会社」は、同じような事業を全国の離島で月1400円でやるんですね?」発言で、持論に必要な点だけ小笠原諸島の例をかいつまんで引用されることで、読者に誤解を与えてしまっていた点を、補筆発言によって周囲の誤解を解こうとされたことは、元ジャーナリストだけあって教授はさすがたと思いました。
ちなみに、まとめの中で、「全国をブロードバンド化するコストも、FTTHでは3兆円だがDSLなら600億円ですむので、FTTHの義務づけは効率が悪い」と書かれている点についても、「効率が悪い」と書くのであれば、メタル回線維持費削減効果(コスト削減効果)に触れていなとフェアではないと思います。著名な経済学者の寄書ですので、ノブレス・オブリージュとまではいいませんが、周囲の影響をかんがみ加筆をされていかがでしょうか。
池田教授教えてください。
「慣例では議決権を行使しない」とコメントを寄せられていますが、金融行政においては、資本注入をした銀行(100%資本注入でない場合含)に対して、議決権が復活すれば議決権は行使すると、これまで、名言されています。郵政においても、西川氏の留任を拒否する姿勢をあらかじめ示すことで事実上の権利行使、その後、後任者の指名・承認を行っています。
これらの事例をみると、政策上必要ならば積極的に権利行使をすると、少なくともここ5~6年で、国の姿勢が変わっていると思うのですが、NTTの場合は、どうして別だと思えるのでしょうか。
私の知らないことをご存じであるように思えますので、どうか、教えてください
政府のNTT持株は普通株式なので、政府がその気になれば議決権(重要事項の拒否権)は行使できます。「黄金株」のようなものです。しかし銀行とは違って、NTTが経営危機にならないかぎり、そういうことはないでしょう。
NTTも「規制をやめてほしい」と口ではいうけど、実は「ものいわぬ安定株主」としての政府を歓迎しています。みんな実は自由になりたくないのです。それが日本の通信業界をだめにしています。
私は構造分離には興味がないけど、政府持株の売却とNTT法の廃止は早急にやるべきだと思います。いま必要なのは完全民営化のための制度設計で、国営化(規制強化)の方向に舵を切るSB案は時代錯誤。
夏野さんは”5年で利活用がそこまで進まない”ということを話されていましたが、要は”需要(加入者数の伸び)の予測はアテにならないよ”ということなのだろうと思います。まあ、ひょっとしたらSBの見積もりの通りになる”かも”しれませんが、、実証不可能ですよね。。
というか、これほどのハイペースで工事を進めつつ大幅なコスト削減も進めるというんですから、それなりのリスクのある案件ですよね。
夏野さんや池田さんの議論には、はこうした”当たり前の前提条件”が存在するのでしょうから、合意に至るはずはありませんね。
とりあえず、”タダで済む”というのなら、”政府保証無しで市場から資金調達してみせる”こと以外、こういったリスクのある案件で”タダで済む”ことを実証する方法は無いのだと思いますが。
『お荷物』とか『撤退できる』という言葉を使われたコメントが寄せられていますが、どうなんでしょう。
大学の講義や町の本屋さんでも売っている経営の入門書を読めば書いてありますが、イーアクセスの決算報告書にもあるように、ADSL事業は開始して10年近く経過し、償却が進んだ設備(資産)で事業を動かしているので、いわゆるキャッシュ・カウ状態(イーアクセスがアッカを買収した論理です)。実際、ソフトバンクの決算報告書をみるとEBITDAマージンは携帯電話事業と変わらない水準です。また、別の視点で、TYPE2のADSLの請求明細(あるいはソフトバンクやイーアクセスの財務諸表)を見る限り、(耐用年数は光ファイバーの方が長そうなのにもかかわらず、現在の)ダークファイバーの価格はADSLのメタル(卸?利用料金)より高い。(現在のNTTダークファイバーの価格は日経で昔報道あり)
経営の観点でいえば、見直す機会をわざわざ与えず、(乗せ換えとなると顧客案内が必要となり経費がかかり、また仕入原価の交渉で大論争になりそうな)光への乗せ替えはやらずに、そっとしておくのが本当は一番いいはずです。
また他のISPの「草刈り場」という点についても、ソフトバンクも他のISP同様にフレッツ光を使ったYahooBB事業を始めたので、『光の道』なんて、ワーワー騒がなくても、YahooBB利用者数の減少はやがて落ち着くのではないでしょうか。
つまり、何が言いたいのかというば、孫正義氏ファンの株主はともかく、冷静・冷徹に、数字を見ているソフトバンクの株主にとっては、今回の『光の道』の構想は、『エライこと言ってくれた』と正直思っていると私は思います。(接続サービスと違ってロックオン効果が小さく、水ものの)コンテンツ関係のビジネスの収益拡大期待との天秤なのではないでしょうか。
一方、独占が強化され、また会計が本当にオープンになるのであれば赤字になるような馬鹿な根付などしなくとも良くなり(あるいは、(ソフトバンク提案とは異なるが)産業政策として国が強固に考えるのであれば、小笠原諸島の例に従って、政府が設備投資し、工事と設備保守をアクセス会社が受託するとかもあるかも。ノーリスクで利益が得られる)、さらに分社化になるのであれば、利益を他部門に回されず(内部流用されずに)、配当として受け取れることになるアクセス会社の株主は、本当はニンマリしてもよいでは。孫氏は社外取締役になってよいと言っていたので、社外取締役になってもらえば、アクセス会社の株主に対する義務が発生するので、孫氏も無茶は言っても無理は言えなくなるはず。(別の視点で、携帯電話みたいに、数年ごとに、設備大幅入れ替え(アナログ⇒2G⇒2.5G⇒3G⇒3.9G(というの?)⇒LTEで、成長はするけど投資もかさむし利用者の移行費用もかかる携帯電話事業とは違うので、配当が大い期待できる)
NTTでプロキシーファイトをやったら、池田教授が口にされる外資はどのように票を投じるのか実は興味津津です。
池田教授、(9項目の)ご回答ありがとうございました。
なるほど、政府の持ち株が、議決権の3割に達しているようですから、拒否権と、1%以上の議決権を持っていると生じる提案権ですね。
では、(亀井氏にならって)自身が押す施策を実施する経営陣を選ぶような、取締役のリストが出てくるまで、拒否し続けることは可能なのですね。(株主名簿によれば)大蔵大臣?が、(慣例破り・秩序乱しの悪評を恐れず)蛮勇を振るえば、構造分割すらできてしまう可能性が法的にはあるように思えます。
アクティビスト・ファンドと分類される投資ファンドが日本国内でも、やられたように。(アクティビスト・ファンドはイメージが悪いのに、買収先企業はファンド撤退後、ご利益もあった言っているのが、不思議)
外資は2割ですから、外資が結託しても、拒否権はないんですね。(個人株主を巻き込んでプロキシーファイトを仕掛けない限り)
(議決権からみても、これはリーダーシップの問題。)
頭の体操ですね。
10番目のコメントですが『ハイペースで工事である』ことはそうだと思いますが、痛んだメタルを修繕のために新しいメタルへ張り替えるのにかかるコストと光ファイバに張り替えるコストは、すごく違っているのでしょうか?
入門書を読むと、コスト削減や製品原価の見積もりの際に基本となるのは原材料費と作業工数、そして作業工数は究極丸めると人間の頭数です。(あいまいな内容にもかかわらず見積もりを出すように要求されたときは、押さえられる人間の頭数と期間で仮見積もりしぶしぶ出すことが事実往々にしてあります)つまり私にはメタル⇒メタルへの張替作業コストとメタル⇒光ファイバへの張替作業コストへはそれほど変わらないように思えます。すると(耐用年数が長い光ファイバへ)張り替えた先から、次から次へと次回の張替作業が(乱暴な言い方をすれば)なくなっていくので、2重運用ためのコストは、どんどん消えていくことになると思うのですがいかがでしょうか?それにちょうど団塊世代の人員を作業要員として当てにしての提案書なので、高給取の定年退職、人件費もどんどん減っていくように見えます。
つまり、コスト削減自体は難しくなく、訪問のアポどりやなんやらで作業量からみて、そんな短期間にできるはずはなく、時間がかかりと、移行期間として必要な運転資金が長く必要となり・・・、完了するまでの”述べ”資金額としては、2.5兆円ではすまないんじゃないの?と夏野氏は指摘しているように私には聞こえました。
私もそれはそうかもしれないと思いました。ただ買収資金と違い一度に総額を調達する必要はなく運転資金的な資金の調達になるという意の孫氏の答弁は少し考えれば分かる常識的な回答で財務諸表がエクセレントになるのが数年伸びるだけ。資金調達や値付に響く単年度の数字がクソになるわけではないように、学生の頃の講義を思い出すと、思えるのですが。
私の周囲にも言質にこだわる方が多いので、こんなことを書くと嘲笑・中傷されることが容易に予想されますが、
ITの投資の乗数効果が、本当に事実として大きく、国民が豊かになるのであれば、(孫氏の提案書の最もコアの部分を除外して)政府が設備投資をする形でアクセス会社へ工事発注し、国が持ち分株式の配当を受け取らない代わりに保守作業をアクセス会社を行わさせたり、ブロードバンド需要の拡大でアクセスの光ファイバの資産価値が増えたことに確信が持てたところでアクセス会社へ買い取らせるのも、有だと私は思っています。(でも、これだと、アクセス会社の株式を、株式分割によって受けとる現NTTの株主があまりにも利すると、(利にさとい)持たざる国民の反発を生む気はしますが)
頭の体操です。
もっとも、そのような論の前に、ソフトバンクの提案が胡散臭いと発言している方、嘲笑される方は、ぜひその厳しい目で提案書の数字を追いかけて提案書を検証してくださいませんか。あの提案書の論法では、売り上げ増を見込まず(=ブロードバンド需要の新たな創出を見込まず)とも、移行期のある時期から、なんと、アクセス会社では、キャッシュであふれかえっている(=配当原資)ことになります。
胡散臭いと思っている方、数字の根拠に穴がないか、ぜひその厳しい目で検証してくださいませんか。
その結論は、どうでようとも、とてもおいしいです。
NTTの構造分離には興味が無いので、光と銅(と無線)の話だけ。
・孫氏のプレゼンで「無線では帯域が足りない」と全国均一に書かれているが、実際には過疎地は(人が少ないので)足りるのでは?
・過疎型CATVを利用するIP網の話が抜けている。テレビの電波が届かない過疎地は、TV用の帯域を全てホワイトスペースとして、その地区に利活用を任せるという手もある。(当然、FTTHに全て統合するという考えもある)
・議論のベースが銅線+交換機なので、CATVを含む銅線+IP 対 FTTH にアップデートして比較を。
NTT以外の要素もあるので、これは政府や有識者が考えるべきなのかもしれませんが。
都市部はFTTHに一本化、過疎地はDSL化又はCATVへ統合(極端な過疎地は無線化)、これを両側から平行して進めてゆき、四半期毎くらいに評価してどこでぶつけるか決めればよいのでは?
Ustreamを見た某官僚のコメント:
孫さんは、熱中すると前後の見境がつかなくなる。あおぞら銀行のときも大規模な「長期プラン」を演説したが、すぐ売ってしまい、金融庁には出入り禁止だ。
あの突破力はすごいが、今回は彼に賛成する人は霞ヶ関にはいない。これ以上、実現性のない話を繰り返すのは、ソフトバンクの信頼性を傷つけるので、そろそろ幕を引いてはどうか。
以下はまったく関係のない話ですが。
プレゼン能力、空気操縦能力がいかに論争そのものとは無関係に大きな力を持つかが良くわかる動画でした。
裁判員制度が大問題であるといまさらあの動画を見て思いましたね。
isoさんの今週のメルマガを読みました。
企業会計の定量的な分析がされていて、
会計スキームとしては可能なのかとも
思いました。
しかし政治的に、NTT的にソフトバンクの提案は
冷え込んでいる上に、やはり
「NTTへのコンサルテーション」でしかないから、
議論を喚起した、というところで終わってしまうのかな?
過去の経緯として、政治決着(NTTの政治力による賜物でしょうか)において”骨抜き”な結論ばかり導かれ、政治には期待できない、NTT自身もNGNで地域会社も含めたグループ統合を進めているような状態でNTTにも期待できない状況で再編自体「実現性のない話」とおっしゃる気持ちもわかります。
ただ、NTT組織問題は政府与党合意で2010年に議論することになっている問題で、現在、『新成長戦略』においても政府としても推進する「「光の道」構想(2015 年頃を目途にすべての世帯でブロードバンドサービスを利用)」と連携して議論をしていくことは至極当然と考えます。
だからこそ、この政治として前向きな議論ができるこの時期にこそ、こういった議論をより盛り上げていくべきではないでしょうか。
そういった意味で、ソフトバンクの案は議論のための単なる一案でしか過ぎず、19の投稿でもご紹介されている磯崎氏のようにより良いと思われる案を提案していくことはとても良い流れと考えます。
週刊isologue(第64号)NTTから「光の道」を分離する方法(問題意識編)より抜粋
「国費の投入が不要なだけでなく、逆に、法人税等の税収が数千億円増えるメリットを国にもたらすことも可能ではないかと思います。」
http://www.tez.com/blog/archives/001644.html
ソフトバンクの構想に賛成する人は、私の知るかぎり行政にも同業者にも研究者にも、一人もいません。論理的には政府が強制すれば立法化は可能ですが、実質的に不可能といっていいでしょう。そして、それは望ましくもない。
望ましいが政治的に不可能だという場合や、望ましくないが立法化されそうだという場合は何とかしなければならないが、望ましくない政策が実現不可能なのは問題ないので、放置するのがベストです。
池田先生
先生が、「ソフトバンクの構想に賛成する人は、私の知るかぎり行政にも同業者にも研究者にも、一人もいません。」からといって、「望ましくない政策」と断ずるのは論理の飛躍ではないでしょうか。
先のコメントで参照されている磯崎氏も賛成とおっしゃらないまでも、メリットがあるという可能性には言及されています。
そういう意味では、「私の知る限り」でもソフトバンク構想への定性的・抽象的な議論での反論は見受けられますが、定量的・具体的な反論は見受けられません。もっといろいろな意見が出てきて議論されるべき重要な問題と思いますので、この状況は残念です。
先生は、電波再編やNTT交換網のIP化が優先すべきと述べられていますが、「光の道」=国民的アクセスの確保+アクセス網の高度化・大容量化とのトレードオフの議論ではなく、どれも必要な措置かと考えます。
あのUST対談の際、先生は「光の道」に関してはほとんど発言をされず、アクセス回線会社のガバナンスについて数度にわたって確認を取った程度と見受けましたが、これも「放置するのがベスト」というお考えに基づくものでしょうか。そういうことであれば、このアゴラやご自身のブログでも「放置」されるのがよいのではないでしょうか。
ずっとアゴラで問題を指摘されていた先生と孫社長のご議論を、あのUST対談の場で直接的かつ具体的にお聞きしたかったところでしたので、対談の場で先生との議論がなく、孫社長と夏野氏の対談のようになっていたことが大変残念です。
率直にいって、実現可能性ゼロのアクセス回線会社を議論してもしょうがない。どうせ実現しないから、がんばって反対する必要もない。私があの討論に出たのは、メディアで取り上げてくれない電波の問題をアピールするためで、これについて96%の賛同が得られたことで、目的は達しました。
130枚もスライドを作るエネルギーがあったら、まもなくデッドラインが来る電波の割り当てに抗議してほしい。これ以上、騒いでもエネルギーの無駄づかいです。