なぜ既成政党は信頼されないのか

2011年02月21日 12:37

国会の小さな坩堝のなかで、与野党間、また与党内部で権力をめぐる攻防が続いています。またあいかわらずその報道が続いています。

予算の関連法案が通るかどうかも見えない混迷した状態ですが、国民の多くの人は呆れはて、菅内閣、また与党民主党に対してだけでなく、他の既成政党も国民からの信頼や期待が薄れてきているように感じます。ではなぜでしょうか。


それは国民が感じている閉塞感や将来への不安と、既成政党が示してくる政策や主張との間に大きな溝が生まれているからだと思います。

国民は、目先の問題を改善するだけでは、とうていこの経済不況から脱出することも無理で、また将来に明るい展望が見えてこないと感じはじめていると思うのですが、そちらのほうが正しい認識だと思います。

日本は、少子高齢化、財政難、成長力不足という3つの難題を抱えています。しかもそれぞれは別個の問題ではなく、互いに関連している問題であることはいうまでもありません。

人口問題がどのような影響をもたらすかは、野口悠紀雄教授がダイヤモンド・オンラインでコラムを連載されていますので、詳しくはそちらをぜひお読みください。
野口悠紀雄 人口減少の経済学 :

人口減少と少子高齢化で、医療・介護・年金などの社会福祉費の増加を引き起こし、しかもそれを支える働く現役世代の人口が減少していきます。

働く現役世代の人口が減少することで、消費力が落ち、国内市場が縮小し、企業の成長力も鈍ります。企業の成長力が乏しいために国民の所得も伸びず、税収が増えず、財政をさらに悪化させます。このままだと、将来は、中負担中福祉どころか、高負担低福祉国家にすらなりかねません。

しかし、現在は過去の日本がまだ成長力を持っていた時代の延長線の国の枠組み、財政構造が続いており、そのような課題に対応した大きな転換が起こってきていません。国民はそれを見ているのでしょう。

小泉政権、民主党政権に国民が期待したのは、その転換であって、各論の改善策ではなかったはずです。事業仕分けにも最初は期待感が高まりましたが、財政支出の組み替えにはならず、各論の改善にとどまり、国民の失望感がむしろ高まってしまったように感じます。
名古屋での河村市長、大村知事、また地方政党の圧勝もそのシグナルでしょう。

消費税問題も、法人税減税も各論にしか過ぎません。消費税を少々増やしても財政のあり方を大きく変えない限り、財政が改善されることはなく、また法人税をいくら減額しても、企業経営にとってはプラス材料になるとしても、それで工場が海外に移転していく歯止めになるわけでも、企業が業績を伸ばすことにもなりません。

焦点は、少子高齢化、財政難、成長力不足という3つの難題に正面から向き合い、その認識を国民が共有し、どう変わっていけばいいのかを示すことですが、残念なことは、それを示してくれる、あるいは感じさせてくれる既成政党がないことです。

それを示すためには政策に3つの視点が必要になってくるのだと思います。イノベーションと構造改革、そしてそのふたつを引き起こし、促進する政策のしかけです。

菅内閣は福祉と税のあり方を6月までに提示するということですが、そのなかにも、イノベーションと構造改革、そしてそれらを生み出す政策のしかけの3点セットがなければ、現実的ではなく、財政難を先延ばしする改善策になりかねません。

たとえば、医療や介護の問題でいうなら、このままで行けば歳出が増え、財政が悪化する、だから増税だということになりかねません。あるいは、財源が不足しているので、医療や介護のサービスの質を落とすということになります。

それでは国家経営ではありません。医療や介護の歳出を抑え、しかも医療や介護の質を上げていくことを目指す発想に立たなければならないのです。現代は価値革命の時代だと言われていますが、価値革命の本質はそこです。コストを下げ、質を上げる時代です。

それを実現するためには、医療や介護のしくみ、あるいはその方法にイノベーションが必要になってきます。とくに医療はまだまだ効率化できることろが大きいはずです。

都市部と地方では、状況がまったくことなるので、地域の事情にあわせた、自民党が主張している「自助・共助」の文化やしくみ、またコミュニティづくりも必要になってきます。

それこそ、少子高齢化の先端を歩んでいる日本が、医療や介護で先進国となり、この分野で世界のリーダーとなることを目指すなら、医療や介護のイノベーションを起こすベンチャーに思い切った投資を行うべきだし、地方へ大きく権限を移管し、規制緩和を進めながら、柔軟なしくみをつくっていくことも必要でしょう。

今必要なのは、他政党を批判する能力ではなく、この国の将来に向けたビジョンやカタチ、またそこに向かう戦略を構想し、それを示す能力、また情熱やエネルギーだと思います。

選挙は大きな政策のコンペであるべきです。このままではいくら選挙をやっても、国民は不毛の選択を強いられてしまいかねません。おそらく政治家の人たちもそれに気づいている人は与野党問わずいらっしゃるはずです。

日本の変革にむけて、魅力のある、きっと日本は変わると国民が信じるに足るビジョンや戦略が示され、政治が動けば、経済効果も抜群なはずです。
変革の弾みをつくるための競争を政治には期待したいものです。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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