ライフスタイルも消費もマーケティングも変化する

2011年04月18日 12:40

震災、そして長く続く余震、さらに電力不足は、首都圏の人たちのライフスタイルを変えました。マクロミルの東京電力の供給エリアに住んでいる人への調査で、「変化があった」という人は71%に達しています。当然といえば当然ですが、やはり自宅で過ごす時間が増えたという人がほぼ半数です。
Business Media 誠:東電エリアに住んでいる人に聞く、生活が変わりましたか :


さらに「家族と同じ部屋で過ごすようになった」(32%)、「徒歩や自転車での行動をするようになった」(30%)、「早寝早起きになった」(25%)と続いていますが、かなりこの傾向は長期化しそうです。消費をリードする首都圏でのそういった変化の影響が大きいことはいうまでもありません。

ライフスタイルの変化だけでなく、身近な問題での不安が広がっており、それも消費のトレンドを変えていきます。商品やサービスの「虚」の価値には、人びとは反応しなくなります。堅実な消費の時代にむかっていくものと思います。

しかし、そのことは日本のマーケティングの転換を促す重要な節目となってくるのではないでしょうか。小手先のマーケティングが効かなくなります。本質的な価値創造や商品やサービスのイノベーションが求められてくるのだろうと思います。

震災によって自粛されていたCMが、ようやくはいるようになりましたが、従来なら新製品ラッシュとなる4月にはいっても、新製品のCMは少なく、またネットでウォッチしている新製品ニュースも激減しています。

それは震災後の自粛ムードのなかで、派手なことはやりにくいということだけではなく、この傾向は続くと思います。目先だけを変える新製品や新サービスでは、変化しているライフスタイルや慎重になった消費心理に響いてこないからです。

ではどのような価値を求めたトレンドが生まれてくるのでしょうか。想像してみました。さまざまなトレンドが考えられますが、次の3つの価値を重視する傾向が起こってくると思います。

重要なのは「絆の価値」だと思います。家族、友人、また、被災地の人たちとの絆、価値観を共有する人たちとの絆です。絆を確かめ、絆を深めるための商品やサービスへのニーズが高まってくるのではないでしょうか。

さらに「時間の価値」です。どのように時間を過ごすかに意識はいやがおうでも向かいます。

もうひとつが、「変化の価値」です。生活のリズムや気分を変えることへの価値意識が高まってくるものと思います。

いずれにしても、供給側よりも需要側のほうに主導権が移ってきている顧客主導の経済の時代はすでにやってきて久しいのですが、それを多くの企業が直視してこなかったと感じています。むしろ、消費の停滞による売上減を、ライバルとの相対的なシェア争いでカバーしようとし、新製品、新サービスに頼り、結果として開発期間の短縮やノルマ化、当然の結果としての製品ライフサイクルの短縮化、価格下落などの悪循環が見受けられましたが、おそらくそういったマーケティングは成り立たなくなってきます。

おそらく、商品やサービスの開発のハードルがあがり、それにチャレンジする企業とそうでない企業の格差がでてくるでしょうし、じっくりブランドの価値をあげ、人びとの共感をつくる努力をする企業と、そうでない企業の格差もでてくるものと思います。

厳しい状況であることには変わりありませんが、そういった課題を克服することを通して、日本のマーケティングが目先をもとめるフロー型から、長期を見据えたストック型に変化していくことを期待します。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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