テロなき社会の実現は果たして可能か?

2013年01月22日 15:00

アルジェリアで起きたテロ事件は、多くの日本人が犠牲者になると言う想定された中でも最悪の結果で終わってしまった。日本人の多くが行き場のない怒りを持て余し、暗澹たる気持ちに耐えている事と想像する。


しかしながら、嘆いていては前に進めない。日本政府や日本人はこう言う時こそ、どうしたらテロを根絶出来るのか考え、例え細く棘の道であったとしても、道があるならば前に進んで行くべきと思う。

何故なら、テロ問題が根治せねば人々は何時まで経っても不条理極まりないテロへの恐怖や不安の中で漂流を続ける事になるからである。

野口先生のブログによると、アメリカ、イギリスは協調して今回のテロの首謀者の探索に当っているとの事である。

アルカイダの首領、ビンラディンの時と同様有無を言わさず殺害で以て決着する積りなのであろう。

確かに、テロの首謀者が殺害されてしまえば、日本含め指を咥えて同胞がテロリストに殺されるのを傍観するしかなかった被害者を出した国の国民は喝采し溜飲を下げるに違いない。

しかしながら、これは一時的な気休めに過ぎないと思う。

国と国との戦争であれば、武力を行使し、敵軍を殲滅し、相手国を占領すれば戦争は終結する。

テロとの戦いの場合は状況は大きく異なる。そもそもテロ組織自体が集合離散を繰り返すと共に、居場所も転々として得体が知れない。

蜥蜴の尻尾切と言う言葉があるが、如何に蜥蜴であっても頭を一撃すれば死に至らしめる。しかしながら、テロ組織の場合はまるで全てが尻尾の様なもので、一つの組織を壊滅させても又新たな組織が誕生し取って替わる。これが、テロとの戦いの難しさだと思う。

それでは、どうやってテロ組織を根絶するか? 

テロリストの新規参入を無くし、同時にテロ組織の居場所や逃亡先を消失させる事に尽きると思う。

きちんとした職があり、結婚し、子供に恵まれた若者がテロリストを志願するとは思えない。飽く迄、想像であるが、貧しい生まれで、貧困の中で育ち、成人した後も職がなく貧しく、将来に何の希望も持てない若者が、何かを変える事を期待してテロリストを志願したのではないのか?

であれば、こう言う若者に職を与える事がテロ組織壊滅に直結する事になる。

同様、食うに困っていない地域が好んでテロ組織を受け入れるとは思えない。パレスチナのハマースレバノンのヒズボラが現地住民に受け入れられ、人気があるのは飢えて苦しむ貧困層に食料を与える等、貧しい人々に寄り添って来たからである。

人質を取っての身代金が原資であれ、密輸で得た非合法な利益が原資であれ、飢餓に苦む地域の住人に取って食料の配給は滋雨に他ならない。これが、今問題になっているマリを含め飢餓に苦しむ西アフリカ、サヘル地区でテロ組織が拡大を続ける背景である。

実は、私は今回のアルジェリアでの人質事件の如く具体的な場所や中身までは思い付かないまでも、サヘル地区の飢餓の問題は何か良からぬ結果をもたらすと危惧した経緯がある。具体的には半年前のアゴラ記事、食糧危機と広がる飢餓で主張した通りである。

世界が日本に期待するのは、内政がきちんと出来るのは当たり前で、西アフリカの様な最貧国に救いの手を差し伸べる事である。結果、日本が世界の尊敬を集め、日本の安全保障に間接的に寄与するのだと思う。

食糧危機とこれに起因する飢餓は、結果テロ組織の温床を作っているのである。

テロ組織にミサイルと戦闘機で対抗するのは、何処かモグラ叩きに似ていると思う。叩いても叩いても次から次に新たなモグラが顔を出して来て際限がない。

急がば廻れと言う諺がある。

中東及び北アフリカのテロ問題を根絶する為には、この地域の若者に職を与え、飢餓に苦しむ地域に食料を配給するのが最も効果的と考える。サウジを筆頭に石油資源に恵まれた湾岸諸国、この地域に関係する西側諸国は協議し、何らかの具体的なスキーム構築してはどうだろうか?

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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