共通番号制度は監視社会につながると朝日新聞に知恵をつけたのは、「監視社会を拒否する会」である。主な活動は、街中への監視カメラ(彼らは、防犯カメラを監視カメラと呼ぶ)の設置に反対すること。防犯カメラによって誰が、いつ、どこにいたかが知れるのは、重要なプライバシー侵害と主張する。というわけで、1千万円ひったくり事件で犯人の映像が公開されたのは、彼らにとっては犯人のプライバシーを侵害する重要問題である。
グーグル・ストリートビューにも反対した。「公共空間を通行する市民や車、住宅や個人の庭などを無断で撮影し、本人の同意なくこれをインターネット上に公開するものであり、プライバシーを保障した憲法13条に違反する人権侵害」という主張である。
ところが、人権保護派「監視社会を拒否する会」共同代表の田島泰彦上智大学教授は、別の側面でもメディアに登場する。アルジェリア人質事件で被害者名の公表が遅れた際には、産経新聞(2013年1月23日)で次のようにコメントした。
遺族への配慮は大事だが、被害者がどういう人で、現地でどんな役割をしてきたかを明らかにすることが、テロの全容を解明する上で必要となる。身元が分からなければ、会社や政府の対応に問題がなかったかを検証することもできない。この先もずっと名前を出さないという対応には疑問が残る。
週刊朝日が橋下徹大阪市長について差別記事を掲載した時は、サンデー毎日(2012年11月4日)で「国政参加が見込まれる公人中の公人、橋下氏の本質に迫るためのノンフィクション的な一手法であり、橋下氏の反論は当然だが、取材拒否は権力的であり、読者の知る権利を塞ぐ行為」とコメントした。
要するに、田島教授は自分のプライバシーは徹底的に守りたいが、他人のプライバシーを暴くには躊躇しない人物なのである。とても正常とは思えない。そんな会とつながって記事を書けば、信用を落とす。朝日新聞に取材姿勢を変えるよう忠告する。
山田肇 -東洋大学経済学部-