独の「反イスラム運動」はネオナチ? --- 長谷川 良

2014年12月17日 10:08

独ザクセン州の州都ドレスデン市で12月15日、約1万5000人の市民がデモを行った。デモ主催者は、「西洋のイスラム教化に反対する愛国主義欧州人」( “Patriotischen Europaer gegen die Islamisierung des Abendlandes” (Pegida) だ。独週刊誌シュピーゲル電子版によると、参加者は「フラストレーション、不安、そして怒りを感じている市民たちが自分の懸念を表明するために集まってくる」という。


同市では先週月曜日(8日)にも、約1万人が同様のデモを行った。Pegida は日本人が多く住むデュッセルドルフやカッセル市(ヘッセン州の都市)でも同様のデモ集会を開催している。彼らは「イスラム教の拡大に恐れを感じ、自国文化の異文化を懸念している」という。そして口々に‘Wie sind das Volk’(われわれは国民だ)と叫ぶ。

同運動がドイツ全土に拡大する気配を見せていることから、独連邦政府関係者もその動向に注意を払いだしてきた。与党の「キリスト教民主同盟」(CDU)や社会民主党、野党の「緑の党」、左翼党関係者は Pegida 運動には批判的だ。例えば、旧東独出身のヨアヒム・ガウク大統領は「彼らは秩序破壊者だ」と批判し、ノルトライン・ヴェストファーレン州のラルフ・イェガー内相は「彼らはネオナチだ」と酷評している。

ところが、トーマス・デメジエール連邦内相がここにきて、「彼ら(Pegida)は国民の不安や懸念を代弁している。われわれは彼らの懸念を深刻に受け取るべきだ」と指摘、平和なデモを行う同運動を連邦政治家として初めて評価している。

Pegida参加者は「移住者殺到は限界に達している。経済難民を受け入れるべきではない」と叫ぶ一方、ロシアと対立する北大西洋条約機構(NATO)に反対を叫ぶ者もいる。その主張は多種多様だ。労組や政党主催のデモではなく、一般市民が日頃不満を感じている内容を叫んでいる、といった感じがするほどだ。主催者側によると、「デモは平和的に行う。それを守る限り、誰でもデモに参加できる」という。

同デモには、”Hooligans gegen Salafisten”(Hogesa)や極右派活動家も参加しているが、彼らは異口同音にPegida運動の動員力に驚いている。「われわれが動員できる数は数百人程度だが、彼らはその数倍の参加者を動員する」という。

Pegida のリーダー、ルッツ・バハマン氏(Lutz Bachmann)は「われわれは過激なイスラム教徒に反対し、自国のイスラム化に反対する」と述べている。それに対し、シュピーゲルは「興味深い点はザクセン州に住むイスラム教徒は全体の0・1%、約4000人に過ぎない。彼らのイスラム化の懸念はかなり主観的な感情に基づいている」と分析している。

ちなみに、ドイツ全土には約450万人のイスラム教徒が住んでいる。20年前にはその数は270万人に過ぎなかったから、20年間でほぼ倍化している。また、Pegida が恐れている過激なイスラム教徒(サラフィスト)の数は独連邦憲法擁護局によると、約7000人だ。

(以上、シュピーゲル誌の概要を紹介)

ドイツが東西両ドイツに分裂していた時代、旧東独のドレスデン市はライプツィヒ市と共に、反政府運動の拠点だった。ドイツ再統一が実現して25年が経過しようとしている時、旧東独のドレスデン市を中心に反イスラム・デモが発生してきたわけだ。彼らは旧東独時代の亡霊か、それとも新しい草の根運動の芽生えだろうか。ここ暫くはPegida運動の動きを注視する必要がある。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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