ザッカーバーグの寄付への下衆の勘繰り

ザッカーバーグ氏が自己保有FB99%を移す慈善活動の運営主体について釈明?

ザッカーバーグ氏が愛娘の誕生に合わせて自己保有FB株99%を寄付する、とした先が非営利団体ではなく、LCCであったことから「寄付じゃない」という批判を浴びているとのことです。

それに対してザッカーバーグ氏はLCCは税制優遇も何もないが、こちらのほうがミッションに沿った活動を行いやすいから選んだ、という趣旨の釈明をしたとされています。しかし、普通に当たり前の話を行っているだけであり、平易な英語で分かりやすく趣旨が説明されているだけです。

ザッカーバーグ氏が釈明したとされる文章 (英語)

ザッカーバーグ氏の考え方を批判する人々は上っ面のことしか分からない人々

これについて「寄付じゃないのか!」みたいなことを言う人もいますが、そういう人は物事を上っ面の形式でしか判断できない人々であると思います。また、そもそも税金対策じゃないか!みたいな話をしていた人たちは今すぐ切腹してほしいものです。

ザッカーバーグ氏の自己資金をベースに行う慈善活動である場合、わざわざ非営利団体の法人形式を取る必要はそもそもありません。面倒な報告義務なども不要であるし、フレキシブルな経営判断を下しやすい民間企業に近い組織体を取ったほうが効率的です。

非営利団体として登録するメリットは、税制優遇などを受けやすくなることなどがありますが、既にミッションも決まっており、資金も十分にあるなら非営利団体として事業に取り組む必要はないと思います。むしろ、本件については、ミッションを重視して柔軟性を大事にする観点から、ザッカーバーグ氏は妥当な判断をされたと思います。

SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)を想定しているのではないかと推測する

ここからは私の勝手な推測と期待ですが、ザッカーバーグ氏はSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)などを実行していくことを念頭に置いているのではないかと思います。

SIBは、ある慈善団体の活動で減少した政府の支出の一部を慈善団体に提供し、慈善団体の運用資金として債権を購入した人々に利子を配当する仕組みです。つまり、慈善団体の活動で効率的になった政府活動の配当を皆で受け取ろうという仕組みです。

この仕組みが確立することによって、従来までは善意に任せきっていた慈善団体の運営が効率化するとともに、納税者にとっても良い公共サービスが提供されることになります。

私が推測するにザッカーバーグ氏はSIBも含めた投資活動が社会に与える良い影響を理解しており、自らが慈善活動を行うだけでなく、慈善活動の分野の経営革新まで含めた取り組みを想定しているのではないでしょうか。

いずれにしても、金持ちってのは意外と公共心を発揮するものであり、あまり下衆の勘繰りを行って寄付気分を無くさせるほうがよほど問題ではないかと思います。人間は誰しもが自分と同じような卑しい人種ばかりではないのです。

渡瀬裕哉(ワタセユウヤ)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
東京茶会(Tokyo Tea Party)事務局長、一般社団法人Japan Conservative Union 理事
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