五月革命の英雄が英EU離脱に胸がすく批判

2016年06月27日 06:00

ダニエル・コーン=ベンディットイギリスのEU離脱が決まった夜、フランスのTVニュースに懐かしい顔が登場した。ダニエル・コーン=バンディ(ドイツ語ではベンディット)。1968年のフランス五月革命のヒーローである。

フランス生まれのユダヤ系ドイツ人で、「赤毛のダニエル」と愛称された。いったんフランスから国外追放になったが、ドイツで緑の党の欧州議会議員、フランクフルトの副市長などをつとめ、こんどは、フランスから緑の党の欧州議会議員になった。

もともと無政府主義者だが、ボスニア戦争への軍事介入を支持したり、それなりに中道に近づいた現実派でなっている。彼は今回の結果を、「哀しいし、怒ってもいる」と熱弁を振るい、若者たちが圧倒的に残留を支持したのに、年寄りたちがこれを否定したと非難した。

また、この勝利が人々を政治家が騙したものだともいった。たとえば、EUへの多額の拠出金が丸々要らなくなるとか、EUの官僚のために福祉が削減され庶民の生活が犠牲になっているというが、EUの福祉などの予算を削るように要求しているのはキャメロン首相であってEUは抵抗しているのに騙したといった。 

そして、これから、ボリス・ジョンソンが英首相に、トランプが米大統領になるかもしれないが、すべてそれは騙してのものだとポピュリズムを非難した。そして、地球上で誰がいちばん喜んでいるか、それはウラディミール・プーチンだと付け加えた。 

今回の投票で左派はだいたい残留支持だった。反対したのは、西側の結束そのものが嫌な共産党系とか、なんでも文句をつけたがるだけの極左だ。

人々の生活や幸福追求における国際主義、自由を求める人々への支援といった価値観は本来、どこかの国のナショナリズムに踊らされたスターリン主義者の残党を除く左派の理想に適ったものだ。そういう意味でダニエルのいう言葉には、同世代の人間として共感できるものだ。 

いま離脱に賛成したイギリス人の多くが、愉快犯的な行動の思いも掛けぬ結末に呆然とし後悔している。キャメロンが気にくわないとお灸を据えたつもりが自分の家に火をつけたようなことになった。

日本でも、安倍首相の態度が気にくわないとか、安保法制が維持されると戦争に行かされて太平洋戦争のようなことになるとかいうデマに踊らされて、習近平、プーチン、金正恩を喜ばせるためにあらゆる無理な連合を試みる人たちがいる。戦争を引き寄せているようなものだ。 

そうでなくとも、トランプが日本は正当な負担をしていないとかいっているときに、安保法制をただちに撤回するなどというのが、良い結果をうむとは岡田克也も思っているはずはあるまい。 

もう、党派的な利害と愉快犯的な気分で国の運命をもてあそぶのはやめるべきだ。 

参考記事;http://telescoop.tv/browse/1541369/6/journal.html

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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