高須院長には、残念ながら勝ち目なし?!

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

少し前からネット上では、高須クリニックの高須院長が、国会答弁で高須クリニックを揶揄する発言をした民進党議員に対して「訴訟を起こす!」と宣言したことが話題になっています。

高須克弥院長、大西健介民進議員と蓮舫代表を提訴へ 厚労委の「陳腐」発言で名誉毀損と損賠1千万円
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170518-00000542-san-soci
民進党の大西健介議員と蓮舫代表を提訴することにした(本人ブログ)
https://ameblo.jp/drtakasu/entry-12275739100.html

しかし本件、すでに法曹関係者から指摘があるように、訴訟を起こしても勝ち目は極めて薄いものと思われます。

なぜなら国会議員は憲法によって、「議院で行った発言については、その責任を問われない」という議員特権が規定されているからです。

【憲法第51条】
両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

すごい特権ですね、これ。つまり国会議員が国会の中で

「おまえのかーちゃん、でーべそ!」

とか(良い例が思い浮かばなくてスイマセン…)特定個人や法人をどれだけあからさまに口撃したとしても、それは罪に問われることは原則としてないわけですね。

なので今回も、大西議員が高須クリニックを侮辱するような発言をしたことが事実であり、他の場であれば責任を問えるレベルであったとしても、それを責めるのは困難ということになります。

とはいえ、高須委員長にも顧問弁護士がついているわけですから、それくらいは承知のうえで訴訟を起こすものと思われますので、何か抜け道や例外(判例)があるのかもしれませんが…。

どうしてこの話題を取り上げたのかと申しますと、この議員特権、憲法で「両院」と規定されている通り、国会議員には適用されても地方議員には適用されないんですね。

実はこのことが、百条委員会を進めていく中で、ちょいちょい委員の間で話題になったことがありました。

百条委員会は、強制力をもって民間人を含む様々な人々に記録の提出と尋問を求めますから、その尋問の過程でかなりセンシティブな話題にまで踏み込む可能性もあります。

その場合、行き過ぎた追及(尋問)を行うと、地方議員は国会議員と違って、容赦なく名誉毀損などで訴えられる可能性もあるから気をつけましょう…と。

そんなわけで、色々とご批判やご意見はあると思いますが、百条委員会の委員たちは提出された公的な記録などの客観的事実に基いて、決して名誉棄損等の範囲に踏み出さないところであらゆる発言や尋問を行っていたのですね。

こうした国会議員と地方議員の違いをもって、ことさらに「差別だ!」と言い立てるつもりはありませんが、ほとんどの方は知らない違いだと思いますので、これを機会に取り上げてみました。

逆に言えば国会議員たちは、議会内で放言しても「法的な責任」は問われないからこそ、あれだけの失言が生み出され、次々と政治的責任を取らされていくのかもしれませんね。。

我々には免責特権はありませんが、強大な力で守られている立場である人間こそ、自身の発言や行動には細心の注意を払っていきたいものです(ブログも!)(自戒を込めて)

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

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編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年5月19日の記事より転載させていただきました(アイキャッチ画像は高須院長ブログから引用)。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。