韓国国定歴史教科書の最新捏造建国史

韓国では朴槿恵政権が歴史教科書を国定化して、その近現代史についての内容について左派系から批判を浴びていることは、「幻の重慶の韓国臨時政府で新たな歴史捏造開始か」でも紹介したとおりだが、古代における建国の経緯についても実に興味深い。そのあたりは、『韓国と日本がわかる 最強の韓国史』(扶桑社新書)でも紹介したが、そのエッセンスを紹介しておく。

朝鮮半島における伝統的な公式歴史認識は、紀元前後に建国された新羅という小国が発展して、四世紀ごろから百済や高句麗と半島の主導権を争うようになり、唐と協力したり、対立したりしながら、唐の権威に従うことを条件に、平壌付近を流れる大同江以南を統一したことをもって統一国家が成立したとしていた。
ただ、高麗が事実かどうかはともかく、高句麗遺民によって建国されたという建前があったので、高句麗も自分たちのルーツのようにしていたのだが、その問題点は、別の機会に譲る。

しかし、伝統的な歴史観は、いつのまにか、三つの点で修正されている。

①壇君という伝説上の人物によって約四千年前に建国されたことになった。神武天皇が「日本書紀」や「古事記」が成立したときから始祖として位置づけられていたのと違い、檀君は民間伝承を集めた史書に書かれているだけだ。

②新羅と同時代に満州方面にあった渤海を朝鮮民族の国だとする考え方が、戦後になって北朝鮮で提案され、韓国もそれに同調して、「南北国時代」というようになり、新羅による統一という考え方は否定された。

③箕子朝鮮とか衛氏朝鮮といった古朝鮮の国々が中国人によって建国されたことや、半島主要部が楽浪郡とか帯方郡など中国の直轄領だった時代があること、半島南部のほtんどを領域としていた任那と呼ばれる日本領の所在は、ほとんど隠されている(箕子朝鮮、帯方郡、任那はその名も登場しない)。

韓国では、はるか昔からいちども存在しなかったものが、ある日、突然に主張されはじめ、威勢がいいとすぐに優勢になり、こんどは、それに固執する。古代史でもこんな具合ですから、近現代史についても公正さなど期待の外なので、そういうものだということで、対処する必要があるし、間違っても、足して二で割ることなどしてはあってはならないのだ。そのあたりを古代から現実にいま起きている問題まで紹介したのが、『韓国と日本がわかる 最強の韓国史』の執筆の狙いである。

韓国と日本がわかる最強の韓国史 (扶桑社新書)
八幡 和郎
扶桑社
2017-12-24