昨日(2018年1月8日)の、毎日新聞二面に、人工知能(AI / Artificial intelligence)に関する国会答弁のあり方について、私のコメントを掲載して頂きました。
経産省:AIに国会答弁の壁「かけひき」「ぼやかし」苦手 – 毎日新聞
IT企業の創業に携わったことがある中谷一馬・衆院議員(34)=立憲民主=は「いずれは正確かつ明確なものを作れるようになるだろう。そうなると、あいまいな答弁を繰り返してきた閣僚や官僚は、AIに明確な答弁を突きつけられる。自分たちの答弁を見つめ直すきっかけにもしてほしい」と期待する。
上記のコメントは、閣僚、官僚、議員それぞれが本来発言すべき質問や答弁の内容をAIが導き出せるレベルまで進化をすれば、もっと生産的で効率的な国会運営がなされるものと期待をして、発言をさせて頂きました。
世界では、先端技術を用いた競争が官民問わず活発であり、「Digitize or Die(デジタル化を進めるか、先がない状態を選ぶか)」とまで叫ばれるようになりました。
そして私も政界において、先端技術を活用した社会のスマート化を進めることが、多くの社会課題を解決していくと訴え続けて参りました。
しかしながら日本政界におけるデジタル化の取り組みは、世界的にも遅れており、看過できないレベルに達しております。
変化の激しい国際社会において、過去の栄光にすがっていても、国家の未来に理想を抱くことはできません。
そうした中、日本の行政では、基本的に前例踏襲型の組織運営が行われております。
これはリスクを最小限に抑え、まずは失敗しないことを目的とした運営が行われているということだと思います。
ただこうした慣例が理由で、閣僚や官僚は、先輩たちが積み上げてきたものを否定することを嫌います。
そして先人たちの発言や組織を守ろうとするあまりに、答えているようで逃げているといった曖昧な答弁を行う能力ばかりが進化をし、それを正そうする議員も重箱の隅をつつくような質問を繰り返し行わざるを得ないような状況となり、残念ながら国民国家にとって本当に必要な生産性のある議論が結果として停滞をしているように感じます。
日本国の発展や国民生活の向上を考えて行うべきである国会での議論において、『かけひき』『ぼやかし』『はぐらかし』など曖昧な発言を理解する能力が不足し、明確な答弁を突きつけるAIに問題があるのか、それとも曖昧な答弁を頻繁させる閣僚や官僚の方に問題があるのか、これは論ずるまでもなく、火を見るよりも明らかだと思います。
目の前の国会をなんとか乗り切るといった短期的かつ目先の事象に気を取られていては、世界の潮流や時代のスピード感に取り残されてしまい、結果として中長期的な失敗を招いてしまうのではないかと危惧をいたします。
これからの国家運営に求められる必要な能力は、「霞が関文学」「東大話法」と言った俗に言う官僚答弁能力を磨くようなことではなく、すでにある知識を組み合わせて新しいことを生み出すクリエイティブな能力や問題を分解・分析して解決策を導く具現性の高いコンサルティング能力、そして激変する様々な新しい情報を既知の知識と組み合わせて時代のニーズ・状況を素早く判断する環境適応能力などであると考えます。
そして新時代の政治家に求められている役割は、こうした能力をフル稼働させ、様々なモデルがある中で国家の課題解決や発展のためにどのモデルが一番に適しているかを集約・判断し、その良質なモデルを実用化することであると思います。
「保守せんがために改革する」
というエドマンド・バークの言葉にあるように、今ある生活や暮らし、素晴らしい日本を守りたければ、より良い国を目指して改革を進めていくことが必要です。
失敗をしない組織運営は、挑戦をしていないということであり、これからの日本国の未来を創造するために行う組織運営の指針にはそぐわないと私は考えます。
今日正しかったものが、明日も正しいのかどうかわからないくらい早いスピードで時代が流れる中、しっかり未来を見据えた政策を迅速的確に講じていかなければ、昨日までの勝者だと思っていた日本が一瞬で転落することも容易に想像が出来ます。
我が国がこれからの時代を生き抜く為には、変わることのない普遍的かつ独創的な高付加価値の創出とそれらを圧倒的なスピード感で実用化する国家運営を目指したチャレンジが求められております。
AIの他にも、IoT、Blockchain、Bigdata、Cloud computing、AR(Augmented Reality)、VR(Virtual reality)、Autonomous car、Droneなど先端技術の活用は、国会、行政事業の生産性、利便性を向上させるだけではなく、私たち国民一人ひとりの暮らしをより良くする一助を担うものであると確信を持っております。
私も微力ながら政界から新たな技術を活用した第四次産業革命を良い方向に牽引できるように、国民生活の向上に資する具体的な最先端の公共政策プランを引き続き構想して参ります。
中谷 一馬 衆議院議員 立憲民主党
1983年生まれ。横浜市出身。IT企業「gumi」(現在、東証1部上場)創業参画を経て、2011年神奈川県議選(横浜市港北区)で民主党から出馬し初当選。2度目の国政選挑戦となった2017年10月の衆院選は立憲民主党推薦で神奈川7区から出馬、比例復活で初当選した。公式サイト