都議会で初?3会派が退席・欠席する中、小池知事与党2会派で強権進行

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日は先週木曜・金曜と深夜2時過ぎに及んでも決着がつかなかった、財政委員会の理事会が再開。

参考過去記事:
●100名以上の都庁職員も終電逃す?議会の「0時流会」慣習はなんとかならないのだろうか… 
●進まないのは誰のせい?都議会における委員長の「権限」と「責任」

「小池知事を参考人招致して、しっかりと築地市長跡地について議論するか否か」
「そのために、合同審査会を設置するか否か」

大きくこの2点を巡って会派間の意見が別れ、膠着状態に陥っています。

都議会サイトより:編集部

結論から申し上げますと昨日、全会一致が大原則・不文律である常任委員会理事会において、3会派が退席・欠席する中、2会派のみで進行が決定されるという前代未聞の展開となってしまいました。

これが許されるのであれば、「委員長」を持つ会派がすべてを独裁することすら理論上可能となる、極めて由々しき事態であり、当会派としては厳重抗議の上で、昨日の決定撤回を求めていく所存です。

まず簡単に、共有できる範囲で昨日の流れを振り返りますと。

断続的に行われていた「水面下協議」もうまく行かなかったようで、昨日13時から再開された理事会は冒頭から、理事が全員揃わないという事態に陥ってしまいました。

もう欠席者は欠席者として委員会を進行させたい会派と、理事が欠ける状態では理事会が成立していない・意思決定ができないはずだと主張する会派で激しく意見が別れ、断続的に休憩・再開が繰り返されます。

もちろん私としても、「ボイコット」まがいの戦術が好ましいものだとはまったく思っていません。どこかのタイミングで意見をまとめなければならない、という委員長の責務についても理解しています。

ただ、そもそも昨日は財政委員会は予定されておらず(財務局長不在のため、もともと開催不可)、今日19日の13時から開催されることになっています。

であれば、今日の委員会までまだまだ時間はあります。

深夜まで職員を含め全員で待機をして会派間交渉をする必要はありませんが、理事会は夕方で締めて、翌日の昼まで会派間交渉・理事会正常化の努力を続ける時間は十分にあったはずです。

私およびもう1会派は、小池知事が出席するか否かという論点は極めて重要なものであり、翌日の日程もまだ残したまま、理事が欠ける中で意思決定をすることは認められないと再三に渡って申し上げました。

それでも委員長が強引に理事会を「(知事を呼ばない方向で)取りまとめ」しようとしたため、誠に遺憾ではありますが、私ともう1名の理事は2会派で理事会の場から退席を致しました。

その後、3会派(理事6名中3名)が不在となる中で理事会は進行し、

・小池知事は委員会に招致しない
・合同審査会も行わない

ということが意思決定されたようです。

念の為申し上げますと、委員長および副委員長も、理事会正常化のための努力を完全に怠っていたわけではないと思います。

特に昨日は小刻みに休憩を入れながら、少しずつ議論を前に進めてきました。実際、欠席会派を除いたところでの意見の一致までは、十分に可能性があったと思います。

ですが結果として、夕方まで理事会は正常化できなかった。この責任は委員長にあり、強大な権限を持つからこそ、正常化に向けた努力をもう一度重ねなければならなかったはずです。

「そんなことを言ったら、『ゴネ得』が成立してしまうではないか」
「2日間も深夜委員会を開催して、十分に議論は尽くしたはずだ」

というご意見も一部は理解できます。「強行採決」をしてでも進めるというのも、政治判断の一つなのでしょう。

ですが、ここで申し上げなければならないのは、前期に自民党が第一会派だったときも、前々期に民主党が第一会派だったときも、複数会派の理事が不在で強権進行するような事態は発生していないということです。(議会局職員も記憶にないとのこと)

「理事会は欠席者がいたら成立しない・意思決定できない」

というのは、議会規則には明確な記載はないものの、これまで強固に守られてきた重要な慣習の一つです。

私がすでに在籍していた前期も、理事会の駆け引きは凄まじいものがありました。進行に不満を持つ会派が出席を拒否することは珍しいものではなく、議会では「あなぐら戦術」と呼ぶ人もいます。

しかしながら、これまでもその「あなぐら」に入った会派をどうにかして引っ張り出し、委員長たちは交渉のテーブルにつかせて前に進めてきたのです。「ゴネ得」にならないよう、かといって強権発動をしないように、かつての最大会派たちは知恵を絞って交渉をしてきたのです。

私も強引な委員会運営に異を唱えたことは一度や二度ではありませんが、最終的には何らかの結論の一致を見ています。

「舛添問題」の際も、舛添知事(当時)の委員会招致を絶対に拒みたい当時の「知事与党(自公)」とバチバチと火花を散らし、最終的には招致の方向で折り合ったこともあります。

また、例えばある特別委員会では、理事会への出席を拒む会派となんとか顔を合わせて協議をするため、委員長がさらに非公式の会議テーブルを作り、そこで全会派が膝を突き合わせて「譲歩できるポイント」をすり合わせました。

こうしたやり方が必ずしも望ましいというわけではありませんが、今回はこうした工夫も特段になく(少なくとも私には見えず)、委員長会派が欠席会派に出席を呼びかけるだけで終わっています。

「小池知事を何がなんでも委員会には呼びたくない」
「譲歩する余地など一切ない」

突っぱねる結論ありきで協議を進めたことに原因があるようにも思えますし、なぜそこまで議会のチェック機能を放棄して知事を守りたがるのか、そこには明確な理由も大義もあるように私には見えません。

「情報公開の徹底」「都民ファーストの意思決定」

を掲げてきた勢力が第一会派になった途端、このような事例がむしろ出てきてしまったことは大変遺憾ですし、会派内でも良識ある都議は異論を持つのではないでしょうか。

理事会から退席後、以上のような説明を行う記者会見を、同時に退席した池川都議とともに行いました。

自民党も別途、夕方に記者会見を行っていたようです。

知事の委員会出席を要請 都議会自民、築地再開発巡り: 日本経済新聞 

本日19日も財政委員会は理事会・委員会の開催が予定されています。

しかしながら、こうした強引な決定が生きたままでは出席することはできませんし、場合によっては委員長不信任案の提出も検討しなければなりません。

繰り返しになりますが、たった2会派で「知事を呼ばない」という決定ができてしまうのであれば、今後の都議会運営は「多数派の専横」がまかり通り、なんでもアリになってしまいます。

それは仮に今後、議会構成が大きく変わったとすれば、自分たちに降り掛かってくる刃にもなります。

だからこそこれまでの最大会派は、強権を振るわずに一致点を見出す「議会の知恵」の中で運営を続けてきたのです。

昨日、強権を奮った委員長におきましては、ぜひその決断を再考していただきたく、朝に改めて申し入れに伺う予定です。

果たしてこの重大案件が、「知事を呼ばない」と2会派だけで決められたまま、このまま進行して良いのかどうか。

都民の皆様もぜひ、強い関心を持って注視をしていただければ幸いです。

長くなりましたが、それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2019年2月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。