子育て支援に所得制限は当然!  -前田拓生

2009年12月17日 09:53

「子育て支援」を支給すること自体には賛成ではありませんが、「支給する」のであれば、所得制限をするのは当然だと思います。長妻厚労大臣は「反対の意向」のようですが、おそらく、民主党のマニフェストを気にしているのでしょう。であれば、民主党が「所得制限すべき」といっている以上、政府である大臣が、党のマニフェストを気にすることはないように感じます。


「政」「党」一体といっても、「政府」は一つの主体なのであり、「党」からは一線を画くべきなのですから、「大臣」は「政党人」として考えるのではなく、内閣の一員として「日本国全体の事」を考えて行動してほしいものです。

子育て支援のためにおカネを支給した場合、この世帯は子供におカネがかかるので、そこに現金を支給すれば、その多くが消費に回ることになり、政策効果が高いということから、この政策が出てきたのだと思います。確かに子供がいない世帯や子供が成長しきった世帯よりも「子供のために」という支出が増えるのは理解できますが、一方で、この世帯は子供の将来を考える世帯でもあり、余分なおカネがあれば、できるだけ貯蓄に回そうとする世帯でもあります。

ということは、ある程度所得に余裕がある世帯であればあるほど、学資保険などに支給された資金を回すと考えるべきであり、この学資保険も貯蓄なので、当該保険を扱っている生命保険会社等が企業への貸出に回さない限り、政策効果は減退することになります。したがって、余裕があるであろう高所得世帯へ支給することは、経済政策という観点では意味があまりないといえます。また、福祉目的であれば、なおさら、所得の再分配機能が基本ですから、高所得世帯への支給はナンセンスといえるのではないでしょうか。

以上から、政府として「子育て支援」に所得制限をするのは、至極、当然なことであり、むしろ、政府の方から党へ「マニフェストとは異なるが、所得制限をかけさせてほしい」と申し出るのが普通のような気がします。

とはいえ、そもそも党から「所得制限」などの話が出てきたというのは「あると思っていた財源がなく、難しい状態になっている」という政府の懐事情を反映してのことなのでしょう。であれば、マニフェストの約束も含めて、大幅に政策を見直すべきではないでしょうか。自公連立政権が断末魔に行った「定額給付」のように、国民におカネをばらまいてみても、経済は良くなりません。無理に理由をつけて、マニフェストの内容を実行してみても、国民はますます将来不安から消費を手控え、デフレを加速させるだけです。

デフレを止めるために日銀に量的緩和を実行してもらったとしても、景気が浮上しない限り銀行は貸出を増やしませんし、そもそも企業側でも前向きな資金需要が存在しないことから、金融システム内だけに資金が滞留し、ホームレス・マネーを増加させるだけになってしまいます。実体経済が良くなってきた時に、それを確かなものにするという目的で金融的な補完をするのは正しい行動でしょうが、実体経済が悪い時に資金量だけジャブジャブにしても「全く意味がない」だけでなく、悪影響しか与えないものです。

現在、政府が行うべきは「どの方向に日本を導きたいのか」を示すことではないでしょうか?

「環境」「地域主権」「生活第一」などいろいろとテーマがありますが、テーマを羅列しているだけではなく、テーマの実現のために「何を」「どうしたいのか」を明確に示すべきだと思います。その実現のために「このような助成をする」「予算を付ける」「規制を緩和する」などが政治であるはずです。このような「国家戦略」をいち早く示すべきだと私は思っています。

「まだ3カ月しかたっていない」といっているようですが、そのような悠長なことを言っている場合ではないと思います。

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